こんなに違う!大谷と松井の175号 新旧和製長距離砲を
データで徹底比較
<写真>、、、<ドジャース・パドレス>初回、メジャー通算175号となるソロを放つ大谷 (撮影・光山 貴大)
◇ナ・リーグ ドジャース7ー8パドレス(2024年4月12日 ロサンゼルス)
「区切り」の一発だ。
ドジャースの大谷翔平投手(29)が12日(日本時間13日)、パドレス戦で松井秀喜(ヤンキースなど)の日本選手最多に並ぶメジャー通算175号の4号ソロを放った。
大谷は松井よりも2000打席以上早い2941打席目で、メジャー175本塁打の金字塔に達した。
両者の本塁打の内訳などのデータを各種比較すると、ホームランバッターとしていかに大谷が優れているのかがよく分かる。
一方で、通算打点に占める本塁打による打点の割合などを見比べると、本塁打だけに頼らない松井ならではの打撃の特徴も浮かび上がってきた。
長距離砲としてのスケールでみれば、断然大谷に軍配が上がる。
松井が175号を放ったのは米10年目でレイズ在籍時の12年6月1日オリオールズ戦。
通算1204試合、4970打席、4354打数目だった。
大谷は7年732試合、2941打席、2547打数目と、約4割も少ない打席数で到達した。
シーズン最多本塁打数は松井の04年の31本に対して、大谷は21年の46本。
昨季は44本塁打で日本選手初の本塁打王に輝いた。
松井は「昔はもう想像もつかなかったことじゃないですか。自分もかすりもしなかったですからね」
と感嘆していた。
通算長打率は大谷が.560で、.462の松井を圧倒。
1本塁打に必要な打数で表す本塁打率も大谷が14.57で、松井の25.38を当然上回る。
大谷は全安打の約25%が本塁打で、こちらも松井の約14%を引き離す。
特徴的なのは本塁打の方向だ。
松井は右中間も含め引っ張った打球が148本で大半。
対照的に大谷は中堅から逆方向への当たりが83本(松井は27本)もある。
この日も左中間へ、大谷らしい放物線。
全方向へアーチを描けるのは強みだ。
一方で安定性という意味では松井の数字にも光るものがある。
ともに左打者で、不利とされる左投手からの本塁打が56本で、大谷の45本より多い。
松井は通算打率も右投手に対する.281より、左腕への.284の方が高い。
試合のイニングを3段階に分けると、大谷は1~3回の序盤が74本と最多。
松井は4~6回の中盤が64本で、7回以降に60本。
シーズン全体で見ても、大谷は6月の43本が多く3~6月に97本と前半に飛ばすのに対して、松井は7月の38本が最多で、7~10月の後半に93本と終盤にかけて本領発揮するタイプだった。
通算打点のうち、本塁打での打点の内訳も差が出た。
大谷が約63%と半分以上を本塁打で稼ぐのに対し、松井は約38%止まり。
走者を塁に置いた際、相手守備位置を見て、時には内野ゴロや犠飛、進塁打など、一発に頼らずチームの勝利を常に考えた。
ヤンキース時代のジョー・トーリ監督に「RBI(打点)マシン」と高く評価され、常勝ヤンキースの中軸を任された。
何より松井には、大谷がまだ一本も放っていない勲章がある。
ポストシーズン通算10本塁打も日本選手断トツ。
09年ワールドシリーズでは3本塁打し、MVPに輝いた。
大谷が切望してやまない「10月の野球」。
まだ一度もプレーしたことのない舞台でのアーチを目指し、挑戦は続く。
<記事引用>