日本人が意外と知らない日本語…
「夜明け」をいくつ言い換えられますか
普段何気なく使っている、日本語の「言葉」。
立ち止まって、その語源に目を向けてみると、さまざまな新しい発見があります。
辞典編集者である神永曉さんが監修した「日本のことばずかん」シリーズ、最新巻となる「日本のことばずかん あじ」も発売されました。
本記事では「日本のことばずかん そら」から、季節や天気にまつわる表現について紹介します。
超有名な春の一節にも
少しずつ春めいてきて、朝の早起きも、だんだん辛くなくなってきたこの頃。
早朝のマラソンやウォーキングを始めよう、という方も多いのではないでしょうか。
早起きをしたときのご褒美といえば、空の景色の美しさ。
春はあけぼの。
やうやうしろくなり行く、山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。
こう「枕草子」に記したのは、かの有名な清少納言。
いにしえから、朝の光景が変わらず愛でられているというのも、おもしろいことです。
でも、この「あけぼの」っていうのは、いったい、どんな状況を指すのでしょう。
朝の表現をいくつ知ってる?
「あけぼの」というのは夜がほのぼのと明けようとする頃、夜明けの時間帯を指す言葉です。
ほかにも、早朝の時間帯を指す言葉はたくさんあります。
「未明」というのは、夜が明けきらない時のこと。
「朝ぼらけ」は、夜がほんのり明けて物がやっと見えるようになった頃。
「東雲(しののめ)」は昔、「しのの目」という明かり取りの窓から夜明けを感じていたことから夜明けを意味することになったといわれる言葉。
「あかつき」という言葉は、昔は、夜が明ける前のまだ暗い状態のことを指しましたが、現在では、明け方のやや明るくなったころのことを言います。
時代によって、少しずつ指し示すものが変わってくることがあるのも、言葉が生きている証です。
そんなことを感じ取りながら、言葉の表現を磨いていくことは、一日一日が豊かになりますね。
参考書籍:「日本国語大辞典」「美しい日本語101」(いずれも小学館)
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<記事引用>