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藤井聡太王将、前人未到の領域に 「AIに頼らない」勝負術光る

 

<写真>、、、王将戦第4局2日目、午後の対局再開を前に盤面を見つめる挑戦者の菅井竜也八段(左)と藤井聡太王将(右)

東京都立川市の「オーベルジュときと」で

2024年2月8日午後、幾島健太郎撮影

 

 第73期ALSOK杯王将戦は8日、藤井聡太王将(21)が挑戦者の菅井竜也八段(31)に開幕4連勝し、前人未到のタイトル戦20連覇を果たした。

「振り飛車はAI(人工知能)の評価値を超えられるところを見せたい」と意気込んでいた挑戦者。

その気合を空回りさせた藤井王将の周到な準備と勝負術が光ったシリーズだった。

 

 東京都立川市の「オーベルジュときと」で指された第4局。

カド番の菅井八段は三間飛車から角交換に誘導した。

「全棋士の中で菅井八段が一番研究している形」と、振り飛車党で解説の戸辺誠七段(37)。

藤井王将は経験値では劣るものの、受けて立ち、危なげなく完封した。

 

 菅井八段は昨年の叡王戦で藤井王将(叡王)を苦しめ、その後、夏から秋にかけて白星を量産した。

藤井王将は「(居飛車対振り飛車の)対抗形の経験値の差を埋める必要がある」と警戒していたが、戸辺七段は「(10~11月の竜王戦の後は)対局数が減って、対菅井戦の準備は十分できたのでは」と推測する。

 

 その象徴として挙げるのが、第2局の序盤で藤井王将が指した6六銀(25手目)の一手。

「普通は6六歩とするところで、菅井八段は意表を突かれたかも。前例やデータを重視した研究が進んだ結果、評価値は下げても、相手の研究を外した手を指す棋士が増えた」

と戸辺七段は言う。

 

 一方、昨年から振り飛車を多用している名人3期の佐藤天彦九段(36)は藤井王将が第1局と第2局で堅い穴熊囲いを選んだ点に注目。

「AIは居飛車側の穴熊をそれほど評価しないが、あえて穴熊を選んだところに、AIの評価だけに頼らず、作戦を練ってきたと感じた」と話す。

 

 最強の振り飛車棋士を攻略し、ますます死角がなくなったように映る藤井王将。

それでも、居飛車同士の対戦に比べれば、振り飛車は研究勝負になりにくい。

 

 振り飛車主体に戦法を切り替えた佐藤九段は「AIをベースにし過ぎて、居飛車の定跡は更に細密化されている。

将棋ファンに昔から好まれている振り飛車の指し方をプロの技術で再開拓し、プロならではの作品に仕上げたい」と力を込める。

 

 居飛車党のA級棋士、稲葉陽八段(35)も最近、振り飛車を指し始めた。

「さばきのアーティスト」の異名を持つ振り飛車党の久保利明九段(48)は「藤井王将は強いの一言しかないが、2番手集団はなんとか背中をつかまえようと、いろんなことを始めている」と、将棋界の変化を見つめている。

【新土居仁昌、丸山進】

<記事引用>