ご家族が亡くなれば葬儀の準備や手続き、遺品の整理など本当に多くのことに追われます。
更に資産や不動産の相続までやっていかなくてはいけない、だけどどうしていいかわからないから不安ですよね?
相続を何度も経験している人はほとんどいません。不安で当たり前です。
手続きの流れや必要なものの全体図が大まかにわかっていれば、不安もかなり解消されると思います。
この記事では親が亡くなって不動産の相続が発生する、という一般的なパターンをご紹介して、不動産相続の手続きを3つの側面から解説します。
- その1:不動産相続の流れ
- その2:不動産相続に必要な手続き
- その3:不動産相続にかかる費用
長くなるのでその1〜その3まで3つの記事に分けてご紹介します。
不動産相続の流れ
一般的な相続の流れ
まずは不動産に限らない一般的な相続の流れを見ていきましょう。
相続の発生
親が亡くなったその時点が「相続の発生」となります。
資産の評価も全て「相続発生」の時点で計算します。
役所などへ死亡の届出
親が亡くなったことを公的に届出ます。
- 死亡届などの提出:市町村役場へ
- 年金、社会保険などの停止手続き:年金事務所もしくは市区町村役場
遺言書の確認
遺言書があるかどうかを確認します。
- 自筆証書遺言:親が自筆で書いたもの。多くの場合は自宅に保管してあり、家族や弁護士さんなど信頼できる人にその旨を伝えてある場合がほとんどです。
- 公正証書遺言:親が公証役場を通じて作成したもの。公証役場に問い合わせて確認します。
相続財産の確認
相続財産としてどんなものがあるのか確認します。
プラスの財産だけでなくマイナスの財産(負債など)も同時に確認します。
相続放棄、限定承認、単純承認の選択
上で行った相続財産の確認を踏まえて、相続放棄、限定承認、単純承認のどれを選択するか決めます。
- 相続放棄:プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しない、というものです。
- 限定承認:プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続する、というものです。
- 単純承認:遺産分割協議で相続することになったものはプラス、マイナスに関わらず相続する、というものです。
例えば「親が借金を残した」ということについては、相続放棄もしくは限定承認の手続きをしていれば防ぐことができます。しかし期限があるので、その期限までに必ず手続きしなくてはいけません。
遺産分割協議
相続する人たちで誰が何を相続するか話し合います。
遺言書がある場合はそれがベースになりますが、必ず遺言書に従わなくてはいけないわけではありません。
特に別の記事で話題にする「遺留分」つまり、最低限これだけはもらえる権利については注意が必要です。
話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成し、相続人全員のハンコをもらいます。
預貯金、不動産などの名義変更
まとまった遺産分割協議書をもとに、預貯金、株、不動産などを相続人へ名義変更していきます・
相続税の申告、納税
確認した相続財産とまとまった遺産分割協議をもとに、相続税の申告書を作成し、相続人それぞれの税額を計算し、納税の手続きをします。
ここまでで一般的な相続の流れは完了です。
不動産の相続に特有の注意点
不動産の相続も一般的な相続と流れは変わりません。
しかし、不動産相続に特有の注意点もあるのでご紹介します。
不動産の評価が難しい
相続財産の確認をして財産の全体図を把握することで、相続放棄の判断や遺産分割の話し合い、相続税の計算など全てが始まります。
しかし、預貯金や株のように明確に金額が決まっているものと違い、不動産の評価はとても難しいです。
固定資産台帳に「価格」というものが記載されていますが、これは「固定資産評価額」つまり固定資産税を計算するために自治体が決めた「価格」のことで、相続税の計算に使う価格とも、財産の分割に使う価格とも異なります。
通常であれば税理士に依頼し、国税庁が決めたルールに従いながら相続という観点から見た不動産の価格を一つひとつ計算していきます。
親に不動産の収入があった場合
親が持っている不動産が賃貸アパートや駐車場などで収入があった場合、親は生前に所得税を確定申告していたはずです。
親が亡くなったのが9月だとすれば、1月1日から亡くなった9月までの収入と支出を計算して確定申告をしなくてはいけません。
これを「準確定申告」と言います。
ここまで、一般的な相続の流れと、不動産相続特有の注意点を説明しました。
その2では相続の手続きをより細かく説明します。