今宵ご紹介する映画は『結婚しない女』
ニューヨークに暮らす
マーティン(マイケル・マーフィー)と
エリカ(ジル・クレイバーグ)は結婚して16年
そんな幸せが、当たり前となっていたある日
マーティンの口から、いきなり投下された爆弾
『愛人がいる、彼女を愛しているんだ』
エリカにとって
それはまさに青天の霹靂でしたが
結局、マーティンとは離婚します
それからの彼女はまさしくメイズランナー
それも宜なるかなですよね
だっていきなり夫に捨てられたんですよ
これからわたしと娘はどうなるの
孤独です、不安です……
だから女友達に相談もしました
娘はエリカにつくと言ってくれました
試しに男性とデートもしました
でも!気持ちは晴れない
そこに飛び込んできたマーティンの再婚話
もう、ワケが分かりませんね
思い悩んで、心療内科のドアを叩き
知り合い、意気投合
少しづつ、少しづつ癒えていく
ココロの傷と、高まるソールへの想い
季節は夏を迎え
『時ぐすり』の効能を得たエリカが
新しい生活をはじめようとしていた時
偶然前夫のマーティンと再会します
実は不倫相手に捨てられちゃいました
ついてはエリカ、
貴女の元へ帰りたいのだけれど、どうかな?
……アフォか??
そっちがあかんようになったから、コッチって
んなもん『いいよ』なんて言うはずのない
ニューエリカ降臨
一方で、ソールとは順風満帆
彼にも結婚経験があり
バーモントには、子供もいます
『一緒にバーモントに行かないか?』
エリカとの結婚を考えるソールからの誘いも
エリカは断ります
わたしはもう大丈夫
これからは
重い荷物も1人で抱えて生きていくの
だってわたしはもう
『結婚しない女』ですもの……
まだ学生でしたが
コレ、劇場へ観に行ったんですよ
まだまだお子ちゃまでしたからね
愛人を作り、妻を裏切った側のマーティンが
何故泣くのか、不思議だったんですけど
でも、今ならなんとなく
その気持ちがわかる気がします
汚い手段ではありますが
先に泣いたモン勝ちなんですよね
これは、えてして仕事で成功を収めた男性に
多い傾向ではないでしょうか←個人的発想です
そしてマーティンからの告白を受けた
エリカが待中で嘔吐してしまうシーンにも
驚きました
人はショックを受けるとこうなるのか?
当時は意外でしたけど
これも今ならわかる気がします
あと、アメリカでは
心療内科がカジュアルなものであることも
この映画で知りました
こういった作り事ではない人間の
業やら生態やらをサラッと描いちゃったのは
ポール・マザースキー
(ついロマン・ポランスキーと
間違えちゃいますが)
もう大好きな監督さんでね
今作『結婚しない女』と
同じく1970年代に作られた
『ハリーとトント』
『グリニッジ・ビレッジの青春』もまた
あなたやわたしの身に起きても
おかしくないドラマを
丁寧に灰汁を取り除きながら撮っていて
やっぱりとってもいいんですよ
残念ながらマザースキー監督は
去年逝去され
また今作でヒロインエリカを演じた
ジル・クレイバーグは
アメリカのママさんといった容貌ですけど
(スタイルの良さは
ダイアン・キートンといい勝負)
夫の不貞による離婚に苦悩し、空回りし
そして自立する様にリアリティーをもたらし
今では当たり前となった
女性の意思や、選択、決心
そういったものを観せてくれましたね
その彼女も5年前、亡くなっております
『結婚しない女』を演じたクレイバーグ
実生活では
『結婚生活を優先する女』であったそうですよ