埼玉県和光市議会2022(令和4)年6月定例会報告です。(開催期間:6月9日~6月28日) | 金井のぶお(埼玉県和光市議会議員)オフィシャルウェブサイト

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和光市議会6月定例会では、和光市部設置条例の一部を改正する条例等10議案を審議し、部設置条例の改正案を否決(国の地方創生臨時交付金を活用した水道料金基本料金を8月から11月分まで全世帯対象に免除する議案など他議案は可決)、外環自動車側道の二車線化に備えた環境アセスメントと自動運転車専用レーンの工事着工差し止めを求める請願を不採択、アクシス利用継続に関する陳情を採択しました。

➨和光市部設置条例の一部を改正する条例を定めることについて

複雑多様化し、増大する行政需要に的確に対応できる組織体制に見直しを図るとともに不祥事の再発防止のために予算等が集中する福祉分野の権限を分散化する等の全庁的な分掌事務の見直しを10月から施行するとした条例改正案で、保健福祉部を福祉部と健康部に分割、子どもあんしん部を子ども家庭部に、建設部を都市整備部に改め、不祥事の再発防止のためのコンプライアンスの専門部署として法務と文書を一体的に取り扱う文書コンプライアンス課を設置してコンプライアンスの推進を行うなどの組織見直し。部長職等の長期在任による権限の集中を是正するため人事ローテーションを厳格化。不祥事の再発防止、チェック体制の強化を目的に主担当と副担当の複数体制の導入。職員定数を10%目標に増員する(現状正規職員442名ですが、10%増やすと職員1人当たり人件費年1千万とすると単純に4億4千万円の増加となり、市民の負担となります。)など不祥事の再発防止を見据えた組織見直しとなりますが、いくら制度を変えても運用する職員の法令順守の意識(コンプライアンス)が向上しなければ再発防止は図れないことは自明のことで、この組織見直しが不祥事再発防止につながるのか納得のいく説明が得られなかったことから反対し、賛成7反対9で否決されました。特に元職員の保健福祉部内の壮絶なパワハラ行為は係長時代から継続して行われていたのにかかわらず人事評価でこれを見逃していたことがパワハラを止められず、不祥事に至った要因と考え、管理職が適確な人事評価を行うことが最も有効な再発防止策とする立場から今回の条例改正案は問題の本質からそれ、解決策にならないと判断しました。

➨主な一般質問及び答弁要旨

1)無電柱化推進

➙市街地開発事業等における生活道路の無電柱化を支援する「無電柱化まちづくり促進事業」について

質)国土交通省は「市街地開発事業等における新設電柱の抑制を図るため無電柱化に対する支援制度を創設し、地方公共団体と連携を図りつつ小規模事業を含めた無電柱化の取組を促進する。」として「無電柱化まちづくり促進事業」を令和4年度創設し

た。この事業の交付要件は地方公共団体が策定する「無電柱化まちづくり促進計画」に基づく事業、市街地開発事業等において行われる事業、電力会社など電線管理者が地上機器・電線等を負担する事業。のいずれの条件にも該当すること。この事業で民

間の開発行為の無電柱化を進めるには市が無電柱化まちづくり促進計画を策定し開発行為を計画の対象とすることが必要となる。電柱のないまちづくりを推進する取組だが推進する考えは。

答)民間の開発行為に関して令和3年12月に各一般送配電事業者の託送供給等約款が変更され令和4年1月より新たに供給申込みが行われた案件から無電柱化に係る地上機器や電線等の費用は一般送配電事業者が負担することになった。また、国土交通省都市局は令和4年度予算において「無電柱化まちづくり促進事業」を創設し無電柱化について地方公共団体が実施又は助成するものを対象に国が財政支援を行うことになった。このように国が無電柱化を促進するため新たな制度の創設や一般送配電事業者の方針変更により無電柱化へのハードルが下げられたと認識している。開発行為における無電柱化については市としても積極的に協力していくとともに事前相談時から検討を働きかける。無電柱化を推進するためにも無電柱化まちづくり促進計画の策定に向けて検討する。

2)まちづくり

➙空き家等実態調査における個人情報の取扱いについて

質)令和3年度の都市計画基礎調査で実施した空家候補所有調査結果に基づいて市は令和4年度に空家候補に現地調査と所有者アンケート調査を実施する。その空家候補の所有者は1年以上水道の使用実績がない方が対象。係る調査は水道事業のために取得した個人情報を異なる事業に利用することになるが、個人情報の目的外使用とならないのか。

答)令和3年度に実施した都市計画基礎調査業務委託での空き家施設調査における個人情報は「空家等対策の推進に関する特別措置法」で固定資産税の課税などのために利用する目的で氏名その他の空き家等の所有者等に関する情報など、目的外利用が制限されていても、この法律の施行のために必要な限度で内部で利用することができるとの規定に基づいて利用している。

➙中古住宅市場の活性化による空き家対策について

質)日本の中古住宅市場は透明性に欠けるなど、その閉鎖性ゆえに取引が少なく欧米と比べ極端に中古住宅市場規模が小さく、新築住宅市場と比べても市場が未熟課題が山積した市場となっており、欧米と比べ特異な住宅市場を形成している。これが全国で空き家が増加する要因となっていると考えるが空き家の増加を放置しておくことは地域の住みよい環境作りに支障を来たし行政の負担が増すことになるので速やかに実効性の高い空き家対策を講ずる必要がある。そこで不動産仲介業者に市内の中古住宅取引における物件の仲介手数料を売り買い双方からとることを自粛してもらうこと。中古住宅の販売価格と詳細な物件情報をインターネットで公表することを要請し、オープンな中古住宅取引を行うよう呼びかけること。これを具体化することが最も有効な空き家対策と考えるが見解を問う。

答)今年度実施する空き家等実態調査により空き家の発生状況や管理状況などの調査結果を集計・分析していくことにしているので令和5年度以降に空き家等対策計画の策定及び実施に関する協議を行うための協議会についての検討の中で議論していく。

3)不祥事の再発防止にかかわる対応方針

➙対応方針における能力主義の徹底について

昨年12月に策定された対応方針では「職員資質の向上に向けて職員の士気を高め競争性による能力の向上を図るため、年功序列や性別にとらわれないダイバーシティーの確保に向け能力主義の徹底を図る」として、この4月から能力主義を徹底する。現在の職員評価では能力・意欲評価にサーバント・リーダーシップ、人材育成力、職場安全配慮、倫理観、自己認識力、自己管理力があるが、壮絶なパワハラを繰り広げていた元職員はいずれの評価項目も問題があったにもかかわらず、標準点で評価していたとの証言があった。また、元職員は係長のころからパワハラをしていたが上司は見て見ぬふりをしていたとの証言も得ている。パワハラしても人事評価に傷がつかないと若いころから慢心していたと思われる。部長時代のパワハラを止められなかった原因は能力意欲評価に係る職員評価が中間管理職の頃から画一的に行われてきたことにもよるものと考える。これまでの画一的な職員評価を対応方針の能力主義の徹底で変えられるのか。

答)能力主義の考え方については年功序列や性別に関わらず、昇任や適材適所の人事配置を行うことを考えている。職員評価は人材育成の観点を重要視し、それぞれの評価項目に基づき能力・意欲評価、成果評価を行っているが、評価視点、方法について

は今後の見直しの中で検討する。

質)能力主義の徹底を図るために能力に係る評価は何に基づいて、どのような基準で評価するのか。

答)能力主義の徹底は昇任試験の実施、勤務実績、職員評価等に基づいて評価をしていく。

質)これまでの画一的な評価のまま能力主義を徹底すると評価者の恣意的な意向に左右されてしまい、かえって職員のやる気をそぐことになるのではないか。

答)評価方法については和光市職員評価制度マニュアルに評価する際の注意点や心構えについて記載しており、事実に基づいた評価をすること、職務行動が評価の対象であること、評価対象期間を限定すること、評価項目に照らして絶対評価すること、人材育成につなげることの5つのルールに基づいて評価を行っており、恣意的な評価にならないと考えている。

➙対応方針における職員定数の改善について

質)第三者委員会の報告では「業務のブラックボックス化を防止するため各業務は主担当、副担当を定めるなど複数の職員で行うことが必要である。」として職員定数の増員を求めていることから、対応方針でも「再発防止対策の確実な実施と職員の働き方改革のために職員定数を概ね10%を目標に増員する。」としています。しかし、この業務のブラックボックス化と称する問題の本質は保健福祉部内で元職員が部長でありながら担当者に直接報告、連絡、相談をさせ、この結果、中間管理職の役割・機能を麻痺させ、部下に朝令暮改な指示を行い組織を私物化していたことにある。人事評価を適確に行っていたら、このような中間管理職が機能しない事態を止められたはず。本件を全庁的な問題とするより、当時の保健福祉部内の問題として、管理職のパワハラを適確に把握し職場環境を健全化する人事評価制度の構築が先決ではないか。また、職員定数の増員については前期の平成27年に策定された職員定員管理計画の業務分析の結果、正規職員400人中90人分の23%にも及ぶ業務の担い手変更が可能としている。担い手変更計画については計画策定後、取りやめますと一方的に答弁したが、改めて今回の定員増の方針にあたって計画を途中で取りやめた理由は。

答)人事評価についてはハラスメントを適確に把握し、職場環境の健全化を図ることは重要と認識している。職場環境に対する配慮を評価項目として設けることは職員のハラスメント防止意識の醸成につながると認識しているので今後の見直しの中で検討する。また、前期の職員定員管理計画では担い手変更が可能とされた業務時間には正規職員が行うべき業務と密接に関連し分離することが困難など担い手変更が難しい業務時間が含まれていた。このため現在行っている業務調査においては現行計画に沿った調査をしている。

4)和光市における学校・家庭・地域の連携・協働を支える社会教育の役割について

質)本件に係る答申が去る3月、社会教育委員会議から提出された。令和4年度から地域学校協働本部の事務局を坂下、南、中央の各公民館内に設置し地域と学校が連携・協働した教育活動を行う。地域学校協働本部は学校支援活動、家庭教育支援活動、放課後子供教室、地域活動等に取組み地域学校協働活動を推進する。これまでのコミュニティースクールをベースとした新たな取り組みだが、どのような予算規模でこの事業を行い、どのような地域住民の活動を想定しているのか。

答)学校を取り巻く課題や教育に求められるものは多種多様・複雑なものとなり、学校内だけで取り組むことは難しい状況。地域学校協働活動は、そのような課題に対し学校・家庭・地域の連携・協働によって解決を目指す。これまでも学校支援に地域が関わることはあったが、地域のつながりが薄く個人の人脈頼みになっていたことや連絡調整を行う教員の負担が大きいこと等の課題があった。これらの課題を解決するため各学校に地域学校協働活動推進員を兼ねるコミュニティ・スクールディレクターを置くとともに各中学校区にコミュニティスクール・チーフディレクターを選任しコミュニティ・スクールディレクター、地域コーディネーター、地域連携担当教職員で構成する地域学校協働本部を設置した。本部では、これまで学校を支援してきたPTA・保護者の会や学校応援団・自治会や地区社協などの地域活動団体に加え市民活動団体やNPO、学校法人、企業等を結び、そのネットワークを活かし課題解決等のための調整や支援活動を公民館を拠点に進めていく(各小・中学校のコミュニティ・スクールディレクターの中から中学校区ごとに選任されたコミュニティスクール・チーフディレクター1名を各公民館に配置し週に2~3回、2時間程度活動する予定)。予算についてはコミュニティ・スクールディレクターの報償費として46万円を計上している。また、想定される地域住民の活動は学校の課題解決や目標達成への支援となるが学校の目標に即した一体的な活動を想定している。

質)この度、岸田政権はデジタル人材を5年後に100万人から330万人に増やす目標を掲げた。公的職業訓練を補完する形で公民館の生涯学習事業を活用しデジタル人材育成の支援に国と一体となってやらないと目標は到底達成できないと考えるが、教育長の見解を伺う。

答)実践的、専門的な学習機会の提供という中でデジタル人材育成についても公民館事業に取り込んでいけるか検討する。