和光市議会12月定例会報告を以下の通り報告します。
和光市議会12月定例会では一般会計12月補正予算、和光市個人情報保護法施行条例など議案18件審議し、すべての議案を可決しました。「国道254バイパスに関係する陳情書」の県と市が同席し和光254バイパスが地域を分断するルートに決まった経緯などを改めて説明するよう求めることについての陳情は賛成多数で採択されました。
➨和光市職員(以下一般職の常勤職員)の定年延長と給与改定について
地方公務員法の改正により職員の定年年齢を2年に1歳ずつ段階的に引上げ令和13年度には定年が60歳から65歳になります。また60歳を超える職員の給与は60歳時の7割水準となります。さらに人事院勧告を受け職員の給料表の改定、勤勉手当の割合を令和4年度から0.1月分引上げ、期末手当と合わせた年間支給割合を4.4月とした結果、今回の給与改定に伴い20,870千円人件費増となります。終身雇用、年功序列賃金の公務員の待遇は自民党長期政権のもとさらに優遇されますが、民間との給与格差は広がり、低迷する日本の低い経済成長の要因と言われる雇用の流動性は一向に高まりません。
➨和光市職員定数条例の改正について
市は市民サービスの多様化に加え、コロナ感染症対策など行政サービスの充実を図るために必要な業務量が想定を上回って増加しているとして、現状の和光市職員数421に40増員し461とし、水道及び下水道事業和光市職員数も24から28に増員する条例改正です。しかしながら今回の条例改正で増員しても来年3月には組織改正が予定され、不祥事再発防止対策として予定する複数担当制による和光市職員の増員、組織改正による部局の見直しでさらに増員が必要になる可能性もあるとの説明でした。過度な職員人件費の増加につながりかねない懸念がありますが、現在の業務量に対し職員数が足りないという市の説明は一定程度理解できますので今回は賛成し、全員賛成で可決しました。今後は事業の選択と集中の観点、不祥事再発防止に便乗した職員増とならないか注視し、行動して行きます。
➨主な一般質問及び答弁要旨
1)DX(デジタルトランスフォーメーション)推進
➡自治体情報システムの標準化・共通化への対応について
質)和光市DX推進全体方針では行政事務の合理化の観点から国は令和7年度までに住民基本台帳などの基幹的な17業務について他市町村との標準化・共通化に対応したシステムへの更新を求めているが、本市においては該当する17業務のうちの多くを住民情報電算システムにより処理をしていて次期の住民情報電算システムの更新時期を視野に入れつつ、令和7年度までに地方公共団体の情報システムの標準化・共通化の対応を行う。としている。デジタル庁が期待通り機能していないと言われる中で目標達成に向けた市の取組状況を伺う。
答)標準化・共通化の対象業務について当初は住民基本台帳、子ども・子育て、介護、税、就学、選挙等の17業務とされていたが、戸籍、戸籍の附票、印鑑登録の3業務を加え20業務となっている。令和7年度までに当該20業務をガバメントクラウドを活用した標準化・共通化システムへ移行する目標に向けて準備を進めている。滞納整理や乳幼児医療業務といった標準化・共通化対象外の業務では既存の住民情報電算システムを使用するかどうかも含め検討している。
➡マイナンバーカードの普及促進について
質)行政のデジタル化が進まない要因としてマイナンバーが普及しないことにあると考える。例えば、医師のハーシス(新型コロナウィルス感染者情報把握・管理システム)への入力が負担となってコロナの陽性者の全数把握を政府は全国的に行うことを止めたが、マイナンバーが100%普及していればハーシスとマイナンバーを紐づけて医師が個別に入力しなくても感染者を把握できた。政府は今年度末には国民のほぼ全員が保有することを目標としているが市の普及率は50%を超えたところで目標にはほど遠い状況。目標達成まで残り少なくなった今、市として普及策を考えているのか。
答)当市のマイナンバーカードの交付率は令和4年10月31日現在56.61%で県内63自治体のうち2位、市では1位の交付率となっているが令和5年3月末までに国が示す普及目標を達成することは難しい状況。一方、マイナンバーカードの普及に伴い今後新たな行政サービスを予定しており、マイナポータルを介してオンライン上で転出の手続きが行える引っ越しワンストップサービスを令和5年2月から、住民票の写し等証明書のコンビニ交付を令和5年3月から始める予定。
➡健康保険証のマイナンバーカードへの一本化について
質)政府は2024年秋に現在の健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に一本化する方針を決めた。マイナンバーに一本化する唐突な政府の方針転換はこれまで停滞してきた行政のDX推進が本格化するきっかけとなるのではないかと考える。和光市国民健康保険を所管する市としては、今から2年後には原則健康保険証を廃止してマイナ保険証を加入者全員に普及させる義務が生じる。一方、DX推進本部の工程表にはマイナ保険証について記載されておらず、DX推進の新たな課題となるが普及にむけた段取り、今後のスケジュール等どのように進めて行くのか、また紙ベースで毎年健康保険証を加入者に送付する事務がなくなることによるコスト削減は郵送費含めてどの程度見込まれるのか。
答)マイナンバーカードは社会全体のデジタル化を進めるための最も重要なインフラであり、健康・医療に関するデータに基づいた、より良い医療を提供できるとしてマイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めて令和6年秋に従来の健康保険者証の廃止を目指すとしている。一方では、マイナンバーカードは申請に基づき交付されるものであり、マイナンバーカードを持たなくても保険診療を受けることができるのでマイナンバーカードの取得は義務づけされないとしている。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化に当たっては医療機関でオンライン資格確認を行う体制の構築やマイナンバーカードの取得促進が必要となるなどの課題がある。今後のスケジュールなどについて国は様々な例外的なケースや資格を確認する方法など細部にわたるきめ細やかな環境整備が必要として課題解決に向けた検討を開始するとしている。市では、今後国の方針等が示された段階で適切に対応する。また、国民健康保険被保険者証の送付事務がなくなった場合の削減額については郵送費など500万円程度が見込まれる。
所見)全国に自治体は1,700ほどありますので和光市の被保険者証の送付事務に500万円かかるということは、全国で毎年100億円近い経費をかけていることになり行政のデジタル化が急がれます。また、運転免許証のマイナンバーへの一本化が2024年度中に予定されていますが、世界から取り残された日本の行政のデジタル化は課題山積です。
2)緑地の保全:住宅開発で減少する湧水や斜面林を保全する施策について
質)今年3月には和光市みどりの基本計画が策定され、和光市の課題として開発等により減少の危機にさらされている湧水や斜面林といったみどりを保全していくことが必要で、特に緑地は民有のものが多く存続が懸念されることから担保性を高める必要がある。と指摘している。しかし、現実はみどりの基本計画とは裏腹に斜面地での住宅開発がすすめられ貴重な緑地が和光市から消失し、止めることができていない。今後住宅開発を規制する措置を講じ、みどりの存続を担保する方策を具体化する局面に来ているのではないか。
答)良好な居住環境を有する和光市では、ある程度の民有の斜面林の開発は避けられないものと考える。みどりの基本計画では全ての斜面林を公有地化や法制度を活用し保全することまでは定めていない。どの斜面林を保全すれば湧水を効果的に残せるか調査を重ね、残すべき貴重なみどりを保全していく。併せて、開発時における斜面林について、みどりの基本計画の趣旨も含め説明し保護への協力を求めていく。
3)北インター東部地区土地区画整理事業
➡電柱の無いまちづくり
質)平成28年に施行された無電柱化の推進に関する法律では、「都市計画法第四条第七項に規定する市街地開発事業その他これらに類する事業が実施される場合には、これらの事業の状況を踏まえ電柱又は電線を道路上において新たに設置しないようにする。とされ、新たに土地区画整理事業を実施する場合には無電柱化まちづくりを推進することが求められる。埼玉県が無電柱化を計画している和光バイパスの延伸と一体的に整備される当地区においても電柱のないまちづくりを計画し、良好な景観と災害に強い交通安心な付加価値の高い街並みを形成することで当地区の発展と活性化を図ることを計画したらどうか。
答)北インター東部地区については埼玉県事業である国道254号和光バイパスで無電柱化を実施する予定。それ以外の区画(生活)道路における無電柱化については電気通信事業者及び進出企業の意向を確認するとともに無電柱化により事業費が増大することで地権者への負担にも繋がることになるので、国の補助制度の活用も含め、土地区画整理組合設立準備会と協議、検討していく。
所見)無電柱化を推進する法律ができてこれまで消極的だった電気通信事業者は今年から無電柱化にかかる費用を事業者負担とする大きな方針転換を行っている。民間の開発事業者の負担が軽減されるはずで市としてどの程度コストの削減が図られるのか電力会社などに調査し、組合設立準備会に提案するよう要請、また北インター東部地区のようにこれから事業化する段階にある土地区画整理事業では無電柱化が義務化されるのではないかどうか法律の所管の国交省にしっかり確認して事業を進めるよう要望しました。無電柱化まちづくりは、良好な景観と交通安心、災害に強いまちづくりを担保してくれるので、将来空き家になりにくいまちづくりに寄与すると考えます。
➡国道254号和光バイパス沿いに生活道路を整備することについて
質)和光バイパスが建設されると横断する地域の生活道路が分断され1本に集約されることになり、地域住民の生活に支障を来たす恐れが生じる。一方で和光バイパスの歩道は10m幅で計画されているので、その一部を副道として生活道路を整備することで地域の分断化に配慮したらどうか。
答)一般的に国道254号和光バイパスのような多くの交通を処理するバイパス道路では、バイパスの円滑な交通処理や生活道路への通過交通の流入防止等を考慮し地域の生活道路の接続を集約する整備が行われる。和光バイパスにおいて歩道を活用した副道整備については今後、周辺の土地利用が大きく変化した場合、県としても検討する可能性があると伺っている。
4)長期未着手土地区画整理事業:まちづくり団体設立の意義について
質)長期未着手土地区画整理事業区域の整備方針を令和5年度中に策定する予定だが、105haに及ぶ当地域について、これまで市は地域の特性に応じたミニ土地区画整理事業を検討してきた。今回の整備方針策定に当たっては、まちづくり会社を設立するとし、主にこれまでの地権者で構成された組合を通じて土地区画整理事業を推進してきた市の経緯・実績から離れ、まちづくり会社を設立してまちづくりを進めることに至ったが、その理由・背景を伺う。
答)昭和45年12月に都市計画決定された中央土地区画整理事業施行区域で約100haの整備を行うにあたり、従来の都市計画法などに基づいたまちづくり手法では計画策定、都市計画法の手続きなどまちづくりの課題の解決に多くの時間を必要とする。社会経済情勢や住民要望などが大きく変化する中で、早期に対応できる機動性を備えたまちづくりの手法が今後は必要と考える。都市計画マスタープランで定めた、まちづくりを推進する団体は市民・事業者・行政などとの連携を深めながら、解決困難な地域課題に対応することや早期の住民合意形成を図ることができるなど、持続可能なまちづくりの実現に取り組む担い手として位置づける。柔軟性・機動性・専門性に優れたまちづくりを推進する団体を組成し中立性を保ちつつ、まちづくりの方向性に沿った民間開発誘導により良好なまちづくりに取組む。
5)介護保険事業:地域密着型と施設サービスにおける待機状況について
質)現在、長寿あんしんプランの第8期介護保険事業計画に基づき、市内に認知症高齢者グループホームを新設するための公募による事業者選定が行われているが、現状の市内の認知症高齢者グループホームの計画上の利用者数と実際の受け入れ可能数及び潜在利用者の待機状況、また他の介護施設サービスにおける利用者の待機状況を伺う。
答)認知症高齢者グループホームは計画上では9施設、定員135名であり、まだ1施設、定員27名の整備が出来ていないことから現状での受け入れは8施設、定員108名となっている。直近での待機者数は37名となっている。他の施設サービスにおける利用者の待機状況は特別養護護老人ホームで待機者数47名、地域密着型特定施設で2施設のうち1施設で待機者数12名となっている。
❇先の9月定例会の議会報告で和光市報酬審議会に議員報酬引上げの諮問を行うとお伝えしましたが、最終的には市長が諮問するかどうか決めるということでしたので訂正します。(去る11月7日、議会は和光市特別報酬等審議会の開催を市長に依頼しています。)