前書き

ん?

―――

午前中の部も終わり午後のヤツ等に交代となった。食事も終え屋上へと向かう。
いち早く向かわなきゃいけないのだが……まあ売り上げ貢献って事で自分のクラスで食べたのだ。

「軽い食事だけじゃあ持たないかも知れないが……後で大山の辺りに何か買ってきてもらうか」

大山だって俺の事情をわかっているはずだし承諾してくれるはず。
それにヤツは人気の無い場所の巡回という楽な仕事だ。人気の無い場所ってことはそこで休んでても気づかれないし。

屋上の扉を開き誰も居ないことを確認するとでかいスピーカーを確認する。
ここから音を出す……らしい。何処にコレを買う金があったか知らないがとりあえず頑張って今回はコイツに頑張ってもらおうじゃないか。

屋上からグラウンドを眺める。コレぐらいしか娯楽と言えば無いのだ。
見つからないようにゲームなど持ってきても良いんだが見つかったときが恐ろしいのでやめておく。見つからなきゃ良いとかそういう問題じゃないんだそこは。

グラウンドでは外でいつも部活をやっている運動部が何かしらやっていた。内容は少し聞いたような気がするが具体的なことは聞き流していたのでわからない。
時折聞こえてくるキーン、という音が何か心地良いような……でも眠ってはいけないのだ。

他にも運動部のヤツが出すでかい声が聞こえてくる。俺も何かしら部活に入っていれば楽しかったかも知れないな。
そんな事を思いつつ背後に視線を戻す。俺がやるのは運動部観察ではなく屋上に入って来るヤツを止めることなのだ。

「それはすでに失敗していた」
「ああ、そうだな。心臓に悪いから静かに近寄ってこないでくれ」

視界に入る神立の顔に驚きつつ屋上の隅から安全地帯の真ん中へと移動する。
いくら友達だからと言ってもやはりここは帰ってもらわなければならない。

「神立、ここは立ち入り禁止なんだぞ?」
「差し入れ」

差し入れ? それよりオレの言葉が完全に無視されているんだけれども。
まあ神立の事だからしっかり聞いているだろうな。照れ隠しだと思えば良いんだ、うん。

「それで、差し入れって何だ?」
「これ」

神立の手に持っている物を注目する。
何ていうか目立つ物だ。それは俗に言う立て札という物だろう。何処から持ってきたんだおい。

「ちょいとお化け屋敷やってるところから」
「そうか。返してきなさい」
「こっちもある」

張り紙か。なるほど、それも返してきなさい。

「内容も読まずに……」

……内容ね。

『立ち入り禁止』

「……それじゃあ代わりにならないかな」
「そう……」

残念そうな顔。いや、騙されるなよオレ!
神立はイタズラ好きだからなぁ、何か裏があるに決まってる。

「ま、一応オレの仕事だからさ。ここで立ち去ったらこんな事もできないのか! ってなるだろ?」
「…………」

ふてくされてますよこの子!!

まあしばらくならここで休んでて良いという約束を渋々してしまうオレ。話し相手がいなくてさびしいのだ。何でここは一人なんだろう。

「……そう言えば」
「ん?」
「なんでもない」

……物凄く気になる。
じぃー、と神立を見つめてみる。

「……聞きたい?」
「気になるのが普通だろう?」
「これ」

取り出されたのは高そうな指輪だ。具体的な値段はわからないが宝石が輝きで本物かどうかぐらいはわかる。
しかしこの指輪、神立の物ではないよな。

「校長室の前に落ちてた」
「返してこい」

本日三回目だぞ!!
この指輪完全に校長先生の物じゃねぇか!!

説教でもしてやろうか、と思ったところで校内放送が掛かる。
優しそうな声がオレの耳に入ってくる。

『えー、校長室の指輪が無くなりました。誰か心当たりのある人は校長室まで来てください。よろしくお願いします』

放送が終わる。

「……神立」
「一人では無理かも知れない」

……うん、オレも一人で行けといわれたら無理だと答えるね。
神立のそばに置いてある張り紙と立て札を見る。

「行くか」
「うん」

屋上から出て立て札を立てかけその隣に立ち入り禁止の張り紙を貼る。
これで防げるとは思えないが……一応。

「しっかり謝れよ」
「向こうが感謝するべき!」
「理屈は?」
「わたしが落ちてた指輪を拾って届けたから」
「その手柄、オマエ一人に譲ろう」

ぎゅっ、と服の袖がつかまれる。振り払う事はできるが……まあ良いか。

「校長室まで行ったらすぐに帰って来るからな?」
「中まで」
「それはもう帰れない状況じゃないか」
「校長室の前とは言ってない」

屁理屈を……言うのが神立だよな。
うん、もうしょうがないや。




























どうやって完結させれば良いかわからないっ!
何とかしてみせるしかないのか!! 伏線残しまくってる気がするけど気にしない。
前書き

昨日も書いたけど……100話で終わらない……。終わるきっかけが作れない。

―――

騒ぎなどめったに起こるものでもない。
なので暇だった。呼び込みだってただ叫ぶだけだ。そのうちもっとも効率の良かったのが『ウェイトレスの愛情のこもった手料理ですよー。中魅と神立による手料理で――待て、そんなに入れない』ここら辺か。

それにオレ達の作業が客寄せから客払いに変わってしまっている。
なんと中魅と神立もウェイトレス係りだったらしくその姿を一秒でも長く見ようとするヤツが多く、食べ終わったヤツ、それに食べるのが妙にスローペースなヤツに忠告しているのだ。
その割合は男子が多いが女子も中にはいるから困りものだ。男子は言うことを聞いてくれるんだが女子ともなると屁理屈を言われる割合が多い。
そんなに繊細な心を持ってるなら邪魔になるような行為を普通しないだろ? ってヤツも居る。
本当に困ったところだ。まあ二人のおかげでかなり売り上げが伸びていることは間違えが無いのだが……、注文さえ取れれば腹をすかしたヤツが何人いようと関係ない。
つまりたくさん二人を見ようよ不特定多数の男子(または女子)がたくさん一気に料理を注文するのだ。ただオレの立場からするとあまり良い事態とは言えない。

「コレでテーブル何個目だよ。教室に入るのか?」
「連結でもさせて相席させるんじゃないか?」

椅子はクラスのものを使えば良いとして、机の調達に忙しい。
固定客というのも扱いにくいものだ。

教室内に入り机を一旦置く。

「ご苦労」
「どうも、というか中魅。オマエは注文を取ってけよ」
「むぅ、少しぐらい良いではないか。と、まあ話があるから話しかけているわけだがな。その机はあの窓際の席とくっつけてくれ、でお前は午後から暇か?」
「暇じゃないな。屋上で寝るのに忙しい」
「疲れてるのか?」
「まだこれから疲れる予定だな。残り三つぐらいか」
「……それもそうだな」

それから顔をうつ伏せて次の言葉が中魅から出てこないので言葉通り窓際の机へと運んできた机をくっつける。
何だか狭くなってきたなこの教室も。やっぱり三つも入らないぞ。

「どうする? もうやめとくか?」
「いや、お前の言うとおりあと三つは必須だな」
「どういう事だ?」
「客の出入りを活発化させるために残り三つの机は必須なんだよ黒斗」

どういう意味だ? 客の出入りを活発化させるね。
まあそれができるならそうした方が良い。休まった体を動かし立ち上がる。

「でかい机ばかり狙わなくても良いんじゃないか?」
「小さい机ばかりだと往復しないといけないだろ?」
「……それもそうだな。じゃあ次は体育館か?」
「時計を見ろ。公演中だ、今行くべきじゃあない」

邪魔になるだけか。
となると何処へ行こうか。

「最後だ。生徒会室に行くぞ」
「そこがあったか」

なるほど。あそこの机なら妙に綺麗だ。
まあテーブルクロスをかけたらわからなくなるがそのまま使っても良いぐらい綺麗なのだ。

人通りが多いってわけでもない廊下を歩きながら少し考える。
そういえば最近大山にいじられすぎているせいか生徒会長が怒り気味なんだよなぁ。これ以上刺激したら不味いんじゃないか?
……最初の標的にされるのは大山だろうし、良いか。

納得し終わると意識を前に戻す。

「……ん? あの人は……」

黒いスーツ姿だ。明らかに怪しい。背丈から見ても高校生には思えない。教師でもないだろうな。
……絡むとろくなことにならないだろうから見なかったことにしよう。

そのまま生徒会室に向かいその扉を開ける。

「な、誰っ!!」
「って誰かいたぞ!!」

大山の方を見る。想定内だとでも言うような顔。
なるほど、対処方法があるわけか。

オレも声の主の顔を確認しようと前を向く。
……敵は生徒会長か。

「最近良く会うな」
「な、何でここに居るのよ!」
「ふっふっふ、決まっているだろう? なあ黒斗」
「まあ、やることは一つだな」

机を盗む、っていう。

「な、犯罪よ!!」
「ちょっとぐらい良いだろ?」
「ダメに決まってるでしょう!!」

生徒会長という立場上注意しなきゃダメなんだろうな。
しょうが無い、ここは大山に任せよう。

「じゃあ机借りてきますね会長」
「つ、机?」
「はい」
「あ、ああ……うん」

おお、すごいなオマエ。

そのまま一つ目の机を持ち上げる。
机の上に乗った一枚の色紙(しきし)、それにオレの目線が向かう。少し気になるところのあるサインが書いてあった。

「……こんのサインか?」
「な、見るなっ!!」

バンッ!! と手を机に突く会長。その机がオレ達の持っている机じゃなかったら良かったんだけどなぁ。

指が引きちぎられるような痛さに我慢できず手を離してしまう。それは大山も同じだったようでそのまま机が落下する。

「あうっ!!」
「いつぅ……」

オレと大山の足の指を見事に刺激してくれる机の足。
間抜けな叫び声もあげてしまった。

「感動的になりすぎですよ会長」
「誰のせいよ」
「自分自身の自制できてないと損しますよ」
「貴方達のせいでしょうが!! ああ、もうっ!!」

色紙を持って生徒会室から出て行く会長。
完全に怒った様子だった。

「小指は危ないんだぞっ!! つぅ」
「いや大山。そうじゃないだろ」

痛そうにしてた大山だったがある程度痛みが引いてきたのか机を再び持つジェスチャーをする。
もう良いらしい。

「よし、持ち上げるぞ」
「おう。そういやお前が気になってたさっきのスーツの奴は雪野こんのマネージャーだ――痛いっ!!」
「お、おおう。ごめん」

あの人がマネージャーなのか。
離してしまった机をもう一度持ち上げる。

今日はよく大山の指が犠牲になる日だな。オレまで一度巻き込まれたし。

その後の三回往復も終わり教室の前に三つの机が並ぶ。

「アレ? これは中に運ぶんじゃないのか?」
「廊下の壁にくっつけろ」

大山の言うとおりに机を廊下の壁にくっつける。
何だか周りから視線を集めているような気がするな。

「さて、少し待ってろよ」
「何するんだ?」
「待てばわかる」

……待ちぼうけはイヤだぞ?

教室の中に入っていく大山。小さな機械音が何度か聞こえてくる。ああ、そういう事か。

「印刷してくるな」
「完璧な客寄せを期待してるぞ」

大山が持ってくる客寄せ道具(写真)に期待していよう。
三度の往復で疲れたので廊下の壁に背を下ろす。

「ほお、これは何かな?」
「え、あと……」

下げていた顔をあげる。
……見間違いじゃなければ海原先生だな。体育の授業中に一緒にトランプやった。

「あ、君のクラスなのか」
「はい。えと、まあ客寄せの一種です」
「……で、この机は?」
「先生、あなたは何も見ていない」
「会話は聞いていたよー、後で個別に頼んだよ」
「オレに言われても……。はあ、まあ良いですけど」

この人にウェイトレスの写真の需要なんて何処にあるんだ?
……えと、まさか……無いよな。うん、可能性は無くないけど無いに決まってるよ。

再び腰を下ろす。

「黒斗ー、印刷終わった……と、先生居たのか」
「買収済みなのでご安心を。他の先生はどうだかわかんないけどね。じゃ、期待してるよ」
「大山、今すぐあの人に写真を投げつけてやってくれ」
「データで良いか? コピーもしてきたし」
「良いぞ」
「了解、買収内容がわかった気がするな。まあ俺の写真じゃないし良いか」

さて、と言ってクリップボードが無いので写真をそのまま机の上に置いていく大山。
ざわざわと見物人が増えていく。

「これはサンプル、と。買う人は中で注文してきてね」

教室の中にも聞こえる声で叫ぶ大山。
中に居る固定客もなんだ? と顔を覗かせようとするが店員に止められている。

しょうがなく金を払い一旦外に出ている。

「……あくどいな」
「まだ写真の種類は増えていくぞ。また半分も出してない。それと家族が居て見つかりたくない人用にデータで渡すって事もできるぞー」


値段も高めなんだろうなぁ。

それとウェイトレス達は了承したのか?
立ち上がり店内に入る。さすがに見慣れた顔なのでオレに対しいらっしゃいませー、などと言うヤツは居ない。
しかしイヤそうな顔をするヤツは居た。

「これの全責任は大山にある。オレに写真を印刷するなんて技術があると思うか?」

あるけど。

何だか少し和んだ雰囲気になる。

『そうよね。黒斗君に機械が扱えるわけ無いわ』
『そうそう。良くわからないけれど』

うん、良くわからないのに罵られてます。



このまま数時間。売れ行き絶好調のまま午後へと突入することとなった。
勿論今日の分の宣伝係りもおしまいだ。中魅には屋上で寝る、と言ったが実際は屋上に入ってこないヤツを見張る、ってところか。
屋上には夜のキャンプファイヤーのときに流す音楽をだすでかいスピーカーみたいなものがあるらしい。音質が良いものに買い換えたらしいが……風があったらあまり変わらなくなると思う。




























頭の中では暇だけど、小説が浮かんでこないから忙しい。
……どういう意味だろう。
前書き

ああ、もう次の話で九十話行くんだよな。
……終われないよ。どうすればいいんだ。

―――

早朝、学園祭の一日目の朝は比較的静かだった。ただオレ達は話があるということで体育館に呼ばれた。
呼ばれたのがオレと大山と、あと名前と顔をぼんやり知っているぐらいの女子二名と共に体育館に向かうわけだが用事というのも特に正式名も無い学園祭を守る警備員兼学園祭の主役への話のことだろう。
まあ実際には呼び込みという役割のため主役とは到底言えないのだが……自由度が高いって意味では主役かも知れない。

「ところで大山」

女子に聞こえないようにこそこそと呟きあいつつ大山のほうを目だけを動かして見る。
待ってましたとばかりに話を広げていく大山。

「何故中魅達が選ばれずこの二人が選ばれたか、だろ? まず、中魅達が強いことを生徒会長は知っているか?」

知っているも何もあの強さだ。知らないわけ……待て。
生徒会長は知っているとして、この学校の生徒全員は知っているか? たぶんオレのクラスのヤツ等の大体は知っているだろうがその他はわからない。
という事は例え中魅が強いと知っていても生徒を納得させられるだけの理由が無いので表向きは生徒会長は知らない、という事にしないといけないのだ。
ファンクラブまで出来る熱狂ぶりだ。この警備員みたいな団体に入れるということは危険が伴うことになる。反感を買うのは好きじゃあないんだろうあの生徒会長は。

「知らないんだろうな」
「だろ? だから名実共に優秀なあの二人の出番だよ。片方は空手、片方は柔道で、中学生大会ですごかったらしいぞ」
「ほお、そうなのか」

知らなかった。オレ達のはるか前を歩く女子二人を見る。
華奢な体躯をしているが、一般的に見て強いんだろうな。視線を大山に戻す。

「毎年でるものなのか? 暴れる馬鹿は」
「酒の販売が良いって事になってるからなぁ。出るだろうな」

溜息を吐く大山。なるほど……そういえばオレのクラスの出し物は普通の喫茶店ということだが……まさか酒は出ないだろうな。
考えても無駄なので考えをやめる。大山に聞くこともできるがそろそろ体育館も近いし口を閉じねばならない。きっと体育館の中は静かだろうから。
喋り声は目立つだろう。





静かな体育館の中で待つこと数分、生徒会長が壇上に立つ。

「おはようございます。えー、今から不審者への対処方法など、トラブルの詳しい対処方法を教えようと思います。一日目、この学校の生徒だけでやる祭りとなるわけですが……そうそう不審者は入ってきません。出るとしても日程を間違えた人への簡単な対処ですかねぇ。間違って校内に入って来ているのを見たら間違えを教えてあげてください」

間違える人もいるだろうな。まあ二、三人程度だとは思うが。
オレのクラスは玄関からは少し離れたところにあるし、その役割をすることはあまり無いだろう。一日目は生徒が客になるのだ。つまり校舎の外で呼び込みはしないわけだ。
クラスのまん前で『美少女達のウェイトレス姿が見られるよー』とか『美少女による手料理はいかがー?』とか言ってればいいだろう。まあ実際には料理グループの大半が男だったわけだが。
女の大半はウェイトレスに回ったようなので客寄せに使う叫びは前者を使うことが多いかも知れない。

「まあもう一つの売りは作りたてって事なんだけどね」

軽食ばかり作るわけであるからして少ない時間で済むのだ。つまり作りたてで提供することが出来る。
今更だがバイキング形式にしたらもっと楽なんじゃないか? とか思い始めたがそういうの考えてたらきりが無いのでここで一旦打ち切りだ。
生徒会長の話をしっかり聞こう。

「で、二日目は一般解放されるわけです。つまりどんな人でも入れるのです。ここからが貴方達の出番となることでしょう。得に狙われるのが入学したての高校一年生っ!! 気を引き締めることね」

ね、狙われるのか!?

まあ段階的に上に行くごとに不良が多くなるのは感じられたが……やはりそういうのが少ない一年が狙われるのか。

気を引き締める。良く見れば悲惨そうな顔をした男子が隣でぽけー、としていた。
たぶん二日目のことを考えているんだろう。待て、狙われるとは言っていたが多いとはまだ言っていないぞ!! 気を保て!!

「ちなみに、言いたくないけど今年度の一年は美人が多いから、たぶんそういう人も多くなると予想できるわ」

涙を流すなんて青春だなぁ。

その後対処方法など聞いたことのあるような内容を長い時間を使い聞かせられる。
一つだけ注意すべきは『新聞部の部員はある程度までなら止めなくていい』って事か。まあ腕に新聞部って書いてあるヤツを付けているみたいだから間違えることは無いだろう。
けれども去年、いや一昨年かららしいがこの学校の制服、そして新聞部と書かれた目印を付けているらしい人物がうろちょろしているみたいだ。
何処から漏れているかは知らないが、やはり気をつけなければならないな。

「では以上」

あっさり解散していく学園祭警備員共。
さてオレも帰ろうかといったところで誰かに首を掴まれる。

「うぐっ、な、何すんだっ!」

後ろを向けば大山が嫌そうな表情をしながら体育館の角を指差していた。
そこにはうちのクラスから選ばれた警備員の女子が居る。

「……なるほど。逃げようか」
「おい、後で殺されるぞ」

クラスにオレの居場所が無くなりそうなので大人しく従うことにする。
あくまで普通に接すれば何も起こらないはずだ。そうだろう?

「えっと、こっちが白神で……こっちが大山。いや、呼びにくいから下の名前でいい? 教えて」
「黒斗」
「通」

顔を見合わせる。
確かに二人とも華奢な体で顔だって大人しいほうで綺麗には見える。ただ威圧感がすごい。
オレには劣るが二人合わせれば無敵だー、ってな感じだ。

「黒斗、と通ね。よろしく」
「よろしく、ってお前も名前を名乗れよ。それとそっちのも」

むっ、という表情になる二人だが完全に忘れていただけらしい。次の瞬間にはしまった! といった顔をしていた。
当たり前だ。クラスの中でも女子はグループを作っているわけであるからして普段話しかけることなど無いのだ。

「アタシはあだ名でいい? ルミってのが呼ばれなれててさ」
「そんな事言うから本名が気になってくるじゃないか」
「そうかぁ? 胡桃(くるみ)って言うんだ」

木の実かお前は……。まあルミってのも納得だな。
もう一人を見る。一向に喋る気配が無いぞコイツは……。

「川越(かわごえ)秋津(あきつ)、生年月日は――」
「な、何で知ってるのっ!?」
「おお、やっと一言目喋ったな。まあ自己紹介はこれで終わりでいいだろう黒斗?」
「オマエな……」

ちらりと驚いている二人のうち一方を見る。さっきのルミはというと『コイツストーカー?』的な視線を送っているが本当にストーカー行為と認められるようなことをしているので弁護しない。

「まあ言いや。秋津ね」
「勝手に仕切るなっ!! で、役割分担したいわけよ」
「オレ達が教室から外! オマエ等が教室内で終わりだな」
「そうだけど……休み時間とかあるわけよ」
「そこら辺もあの優秀生徒会長なら把握して組んでるはずだけどな」

オレの一日目は午後より休みとなっている。午後からが本当は良かったんだが二日目が逆になると聞いて急いで逆にした。
別に午後からじゃイヤなんて事は無いが散々遊んだ後に労働が来るのはイヤなだけだ。

「そ、そうなの? アタシ良く知らないんだけど」
「なら傍若無人とだけ覚えておけばいいぞ。そしてあれの悲痛な声は聞いてて気分が良いって事も覚えておけ」

完全に大山の中でいじられキャラになってるな生徒会長。
まあ良い。

「もう話すことは無いだろ?」
「まあお互い頑張りましょ」
「だな」
「うん」

あれ? 大山?
一人だけ掛け声の中に入ってこなかった大山を見る。
絶望にゆがんだその顔……その視線の先を見る。

「……秋城先生を見てしまったか」

女子二人に苦笑いを見せつつオレは大山の担ぐ。

「さ、さて走って帰るぞ大山ー!!」
『おぅー』(オレの裏声)

ルミの呼び止める声が聞こえた気がしたが勿論そんなもので止まってられない。
こうしてオレの学園祭一日目が始まった。




























とりあえず怪獣でも出して黒斗に戦わせ見事勝利ー、じゃあ意味不明ですよね。