こんにちは。今回は論文を紹介します。
 
抗生物質のクラリスロマイシンには、薬物トランスポーターであるP糖蛋白を阻害する作用があります。ジゴキシンを飲んでいる患者さんがクラリスロマイシンを飲むと、肝臓でのジゴキシン排泄を阻害することでジゴキシン中毒を起こしやすくすると考えられますが、実際はどうでしょうか。
 
相互作用をどのように考えたら良いかの参考になると思います。観察研究の論文です。

 

【サマリー】ジゴキシン服用者にクラリスロマイシンを投与した場合、投与しない場合と比較して、ジゴキシン中毒による入院のリスクは調整オッズ比で14.8倍だった。エリスロマイシン、アジスロマイシンは3.7倍、セフロキシムは0.8倍だった。
 
いかがでしょうか。この論文を考えると、ジゴキシンを上限に近い用量で服用している患者さんには、クラリスロマイシンよりアジスロマイシンやセフェム系の抗生物質を使用した方が安全かも知れません。
 
以下、Pubmedで公開されている英文アブストラクトです。
 
1. Clin Pharmacol Ther. 2009 Oct;86(4):383-6. doi: 10.1038/clpt.2009.127. Epub 2009  Jul 15.
Macrolide-induced digoxin toxicity: a population-based study.
 
Gomes T(1), Mamdani MM, Juurlink DN.
Author information:  (1)The Institute for Clinical Evaluative Sciences, Ontario, Canada.
 
In this 15-year, population-based, nested case-control study, we investigated the association between hospitalization for digoxin toxicity and recent exposure to individual macrolide antibiotics. Clarithromycin was associated with the highest  risk of digoxin toxicity (adjusted odds ratio (OR) 14.8; 95% confidence interval  (CI) 7.9-27.9), whereas erythromycin and azithromycin were associated with much lower risk (adjusted OR 3.7; 95% CI 1.7-7.9; and adjusted OR 3.7; 95% CI 1.1-12.5, respectively). We found no increased risk with a neutral comparator, cefuroxime (adjusted OR 0.8; 95% CI 0.2-3.4).
 
PMID: 19606089  [PubMed - indexed for MEDLINE]
 
Googleによる機械翻訳を添付しておきます。
 
マクロライド誘発ジゴキシン毒性:集団ベースの研究。

Gomes T(1)、Mamdani MM、Juurlink DN。
著者情報:(1)カナダ、オンタリオ州の臨床評価科学研究所。

この15年間の母集団ベースのネステッドケースコントロール研究では、ジゴキシン毒性の入院と個々のマクロライド系抗生物質への最近の暴露との関連を調査した。 クラリスロマイシンは最もジゴキシン毒性と関連が高かった。エリスロマイシンとアジスロマイシンはより低いリスクに関連していた。調整オッズ比は、クラリスロマイシンで14.8(95%CI;7.9-27.9)、エリスロマイシンとアジスロマイシンで3.7( 95%CI; 1.1-12.5)であった。 中立の比較対照であるセフロキシムは調整オッズ比0.8(95%CI 0.2-3.4)で有意なリスク増加は見出されなかった。