不安を訴える患者に対して、抗うつ薬(SSRIまたはSNRI)の処方経験がなく、処方の仕方が分からないという医師はいまだに存在するとのこと。
一方、不安に著効する抗不安薬は常用量依存の問題があり処方しにくい。
さらに、薬を服用したがらない患者もいる。
これは、私が漢方薬局で仕事をしている時にも数多く経験した。
そんな時に実施するといいのが呼吸法。
これなら、家庭でもできる。
これは、認知行動療法と呼ばれる手法の一つ。
医療現場でも指導されている方法だ。
では、何故いいのか?
不安を感じると交感神経が優位になり、興奮した状態になり、血圧も上がり、心臓もバクバクしてくる。
呼吸法により、逆に副交感神経を優位にすることができ、交感神経の過剰な緊張を解くことができるわけ。
不安とは、生体に備わった自衛反応で、不安を感じることで心身が緊張し、危機から脱しやすくなるのだが、心身の緊張がさらに不安を増すという悪循環のループに陥る。
不安症とは、その不安が生活に支障を生じるほど高まった状態。
そこを、副交感神経を有意にすることで緊張を解き、この悪循環のループを断ち切る効果が期待できるというわけだ。
呼吸法で大事なことは息を吐くこと。
息を吐くことで血液中の酸素分圧が減り、胸腔の圧力も下がってリラックスできるようになる。
また、呼吸法を学ぶことで、いつ、どのような場所で不安に襲われても、抗不安薬を飲まずとも、不安に対処できるようになることも少なくないらしい。
呼吸法をうまく使えるようになれば、不安時に薬に頼る状態でも、薬に頼らずに生活できるようになり、実際、多くの患者が薬物治療から離脱していくといいます。
で、その呼吸法ですが・・。
呼吸に関わる筋肉をリラックスさせる必要があり、1日1回、呼吸筋のストレッチを行うようするといいとのこと。
呼吸筋ストレッチ体操は、国立精神・神経医療研究センターの関連サイトを参考にしてみると良いです。
その上で、
(1)軽く息を吸い
(2)息を6秒ほどかけてゆっくり吐く
(3)3秒間息を止める
というサイクルの呼吸法を1回5~10分間、1日3回練習します。
以上、「ベンゾ1錠より呼吸法、不安時は「息を吐け!」」という日経メディカルの記事。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の金吉晴 先生のお話しを引用させていただきました。
この不安症ですが、ほんとに多いです。
多くの薬剤を併用している方がたも数多くいらっしゃって、なんとか薬を減らしたいと、漢方薬にすがっておられる方が多かったですね。
実際に、私も、服薬指導にあわせて、この呼吸方法についての情報は活用させていただいていました。
抗不安薬で、転倒したり、骨折される方も少なくありません。
とにかく、できることは、すべてやって、なるべく薬は飲まない、減らせるようにした方が良いと思います。
薬剤師からの切なるご提案です。
でわでわ。