宗教は人間の精神の大地を耕すものです。そして、その広大な大地の上に、芽吹き、花開き、結実する草木が、政治も含め、広い意味での文化です。私たちは、精神の土壌を耕し、政党という種子を植えました。今後も、全力で応援しますが、それがいかに育ち、どんな花を咲かせ、実をつけるかは、草木自体に任せるしかありません』
重ねて、ジャーナリストが鋭く質問した。
『今までのお話からしますと、宗教は、必然的に、政治に関わざるをえないということになるように思えますが、ブラジルでも政党をつくる計画があるのでしょうか』
これが、彼の一番聞きたかった問題のようだ。
伸一は、微笑みながら言った。
『私は、信仰上のことでしたら、アドバイスもしますが、それぞれの国にあって、政治にどう対応していくかということは、その国のメンバーが話し合って決めるべき問題です。日本人である私が決定し、指示するようなことではないし、また、そんなことがあってはならないというのが、私の考え方です。
そのうえで、個人的な感想を申し上げると、ブラジルをはじめ、各国にあっては、政党結成の必要は、全くないと思っています』
すかさず、次の問いが返ってきた。
『さきほど、宗教は、よりよい社会をつくるためにあると言われましたね。それなのに、なぜ各国で政党をつくる必要はないと思われるのですか』
さらに踏み込んだ質問であった。
『よき時代をつくり上げる、また、よい社会をつくることは、仏法者の社会的使命です。また、政治という問題が、人びとの生活に深く関わり、社会の在り方を決定づける重要な要素であることも確かです。しかし、だからといって、必ずしも政党を結成するなど、教団として、まとまって何かを行うということではありません。
創価学会は、各人が信仰によって、それぞれの人生を充実させ、完成させ、勝利していくことを指標としています。つまり、幸福を創造する人格をつくることであり、これを人間革命といいます。
そして、人間として幸福に生きていこうとするならば、よりよい社会を建設していかなければならない。そのために、宗教を根本に、自身の信念のうえから、“よき市民”として、社会のために貢献していこうというのが、私たちの生き方です。そうした人格を磨くことこそ、宗教の大きな役割であると思っています。
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