もう気仙沼を去る朝がやってきた、今朝は雨だ

 

エコビレッジビルダー兼、料理研究科の銀さんが作った胡麻油たっぷりのチャーハンを弁当に詰めて出発

 

今日からは恋人と二人、車で山形を目指し一泊、そして東京へ向かう予定

 

目指す先にはタンザニアエコビレッジで七歳の娘ちゃんと二人で移住しているマヤさんが一時帰国していたので会いに行くことにした

 

しかし山形は雪深いと聞いていて、あまり車で行くのは乗り気ではなくなっていた、というのも最近山梨で雪が降り、だいぶヒヤヒヤしたもんで、山形でついでに訪ねてみたい所などは別の季節にしようと決めたほどだった

 

この旅の前に、先に東京入りする両親と姉を高速バスの乗り場まで送って、途中で後輪が滑って上がれない坂もあり、幸いバックは出来たので道を変えてやっとの思いで帰ったあげく家の鍵を持っていなくて、急いで高速バスの休憩で停まるサービスエリアまで雪の降る中、ヒヤヒヤ走った

 

乗って来たバスを見送り待っていてくれた父親から鍵を受け取った後、人生初のチェーン装着(買っといてよかった)そして下道で帰ることにしたのは、滑った車に突っ込んでもらわれては困るし、自分が突っ込んでもいかんと安全性を考えてのことだったがチェーンも走りだしは滑るでヒヤヒヤ、道は渋滞して通常一時間もかからないところ3時間もかかってしまったので体もヒヤヒヤ(冷や冷や)

 

だから雪という慣れない物に心配していたが、気仙沼にいた数日は過ごしやすい暖かさで、山形も同様晴れ続きで行く当日に、雨というのも道路の雪を溶かしてくれてたので安心して向かうことができた

 

3時間かけ一度休憩し、お弁当のチャーハンを食べた、胡麻油がスルスルと体の中を潤滑していき山形滞在がよりワクワクしてきた

 

移動中は恋人とお互いの家族の話などをした、彼女はおじいちゃん子でよく一緒に野山に出かけ植物を観察し自然と戯れていたという

 

山形でマヤさん達と合流、娘ちゃんも相変わらずな様子で、昨日は日本の学校に行き事業参観だったという、よく見るとタンザニアで作ってあげたドレッド2本がまだ生えている、というか育っている!

 

ママもよく許してくれたと思うが、タンザニアでシャンプーもリンスも使っていないしクシもかけていないと、そもそも髪の毛同士がくっついて全部天然のドレッドになりかけるそうで帰国前に頑張ってクシをかけたそうだ(その時に2本のドレッドが少し邪魔らしい)

 

学校で何か言われないかと思ったが、そもそも娘をタンザニアに連れて言っている母親に口を挟んでこないそうだ

 

ついでにドレッドは自分の一度目と二度目の滞在で一本ずつ作ってあげたもので、髪を見ればタンザニアに訪ねた回数がわかるというのだ、じゃあ次行ったらもう一本増やすのかな?

 

そして今回はもう一人メンバーがいる

 

それは同名のオサム

 

今回山形でオサムが二人、ややこしいが、まあ自分はサムで通っているのでいいだろう

 

まず山形ではトマト農家さんを訪ねることになっていた

 

山形は道路の雪は溶けていたものの、それ以外の場所、道路側、家、田んぼ、見渡す限りが白く、そして量が半端ではない

 

まるで雪が地層のようになり、もはやガードレールや歩道があるのかもわからない

 

びっくりしていたが通常の半分くらいだという、マジかよ

 

山形には(多分東北全域で)雪吊り、雪囲いという木を雪から守る木の柱みたいなのが庭に立っている

 

確かにこの降雪量は庭木を折りかねない

 

住宅街も家、雪、家と家と隙間さえあれば雪が積もっているのだ、場所によっては玄関が二階にもある、一階が雪で埋まってしまうのが日常茶飯事なのだ

 

山梨でヒヤヒヤしていたのがアホらしくなってしまった

 

 

さて本題に入ると、なぜトマトなのかというと、タンザニアの砂浜っぽい地質でどうやったらトマトが育てられるか助言をもらいにきたのだ

 

自分はトマト農家はどうでもいいと思っていたが、facebookで写真を見たときにハウスに蜂がいる写真を見て興味を持ったから来たのだ

 

そしてマヤさんがタンザニアの、不毛ではないが、そもそも地質が農業に向いていない所で本気で自給自足しようとしている心構えを知った

 

農家さんは予想を裏切って面白い人で、名は小野さんといい、トマト以外の作物も栽培し、多趣味でタイ語も出来るという

 

まず玄関先に雪板と言われるスケボーの板だけのようなもので雪を滑る板が置いてあり、部屋の中には明日にでも出かけるというスノーボードが用意され、最近習得したというダイビングのライセンスが飾られていたり、さっきまでタイ語の勉強をしていたなど、ただの農家でわないことがわかった

 

さらにはドレッドに「綺麗なドレッドだと」お褒めの言葉をいただいた

 

トマト以外には里芋、山菜を手がけているそう

 

マヤさんが本題を伝えると、彼はパソコンで光合成や地質のことをプレゼンテーション形式で解説してくれた

 

そう農家さんもマヤさんも農大卒、農大ではきっとこういうことを勉強しているのかと初めて知った

 

いつも実技の農業にしか触れたことがなかった、自分の目の前に農業や自然の仕組みが科学によって説明されているのはとても新鮮なことだったが意外や意外、これが面白いのだ

 

すぐさまメモをとった、よく知識は経験を通して知恵になるというが、経験が先行して知識が入るとこれまた知恵になるというもんだし、こっちの順番の方が面白い

 

土壌には物理性、化学性、生物性という必要な要素があり、それが整っていると作物および植物がよく育つという

 

詳しくいうと排水性・通気性・保水性があり、土の養分、例えば窒素・リン・カリウムなどの三代要素のバランス、そして土中の微生物や有機物が多様であること

 

ここで語られることは何も農業や園芸だけでなく生活や環境(人、自然、宇宙)にまで関係してくると思った、人間関係も通気性がよく、かつ潤っていて、その構成する役割などハッキリし、多様であるといった具合に

 

 

この日の出来事は長いので次回に続く