James Setouchi
2025.7.29
参院選(2025.7.20)の結果からその3(続きです)
重ねて予(あらかじ)めお断りします。私はいわゆる「支持政党無し」の「無党派」層です。また政治や経済や国際関係の専門家ではありません。ここでは素人(しろうと)なりに気付いたことを書きますが、賢明なる読者諸氏はそれぞれに勉強を深めていってください。
・今日7月28日(月)は両院議員懇談会(こんだんかい)だった。石場氏に続投を求める声と、いわゆる石破下ろしの声とがあったとか。重ねて申すと、石破さんはやめなくていいし、続けて欲しい。
石破さんは、対話によって国会を進めた、困っている人の肉声も聞いた、いい総理大臣だ。誰かさんのときのような多数決専制独裁主義(25%の支持しかないのに小挙区の「歪(ゆが)んだ鏡」でかつて圧倒的多数議員を占有した(死に票だらけだった)ことをいいことに、何でも閣議決定で決めてしまい議論をしない。野党の質問時間を短くした。良識に基づき反対する高級官僚をクビにし多くの官僚を萎縮させていった。国民を「あんな人たち」呼ばわりした。結局、75%の国民の不満がたまり自民は転落。そこから来ていますよ。)ではなかった。石破さんは対話し国民に声を聞こうとするいい宰相だ。
今日7月29日(火)の報道では、大きな声で辞任を要求する人がいて、実に残念だった。問題の核心を見誤り、石破さんだけのせいにして、結局自分の勢力を伸ばそうとする腹ではないか? 昔の問題の多かった派閥単位でまた動こうとしているのか? 多くの国民がまたウンザリして、自民党離れを起こすばかりだ。私は自民党国会議員ではないのであの場に乗り込んでいけないが、行って大きな声で反論したいと思った。対して、石破さんが適任だ、石破さんにやっていただくしかない、という声を力強く言って下さる議員もあった。私はありがたいと思った。良識ある人はまだおられると思った。
新聞によれば、
・世論調査では、石破さんが「やめるべきだ」41%、「その必要はない」47%。
・自民支持層に聞けば、「やめるべきだ」22%、「その必要はない」70%
・無党派層に聞けば、「やめるべきだ」37%、「その必要はない」44%
(朝日新聞2025年7月28日(月)朝刊1面)
となっており、「石破さんはやめる必要はない」が多い。自民支持層では圧倒的に多い。
「民意」はこれだ。やめろやめろと叫んでいるのは、自民党の国会議員の中の、腹に一物ある連中だ、(旧派閥の私怨(しえん)とか早く自分の番に回ってきて欲しいとか)ということになる。無党派層も選挙では自民に入れなかっただけでどちらかと言えば石破政権存続でよい、というのが「民意」では?
今回の参院選でも、最も当選者が多かったのは自民、次が立民だ。
非改選を合わせた新現有勢力でも、第1党は自民、野党第1党は立民だ。
国民と参政がのびたのびたと大きな声で言うのに騙(だま)されてはいけない。国民と参政は少数政党なのだ。過去においてブームをつくった新党も、その多くは結局消えていった。今回の「敗因」はしっかり分析すべきだが、石破さんにやめろやめろというのはお門違いだ、と私は思う。野田さん(立民)も「敗因」を分析すべきだが、必要以上にがっかりしてはいけない。
自民と立民(野田さん=首相経験者)は責任ある立場として財源のために消費税を下げない、と言っていた。
自民と公明と立民は年金改革で「あんパンにあんこを」入れようとした。これは実施すべきだ。あれほど説明して合意したのだから、やるべきだ。自民公明立民で過半数だから十分できる。他の野党も賛成する。賛成しない野党があれば、国民の生活を考えていない党だと言える。
「税金は下げよ、しかしあれもこれも税金を投入してやってほしい」。・・では、予算はどこから? となる。(れいわ新選組は国債(こくさい)で行けると言っていたと思うが、それなりに一貫性はある。だが本当に国債で行けるのか? 私にはワカラナイ。)負担を減らすという目先の利益に有権者が飛びついた面はあろう。もちろん今の暮らしが厳しいから、というのはある。が、先を見通す力がない、ということもありそうだ。積年の愚民化(ぐみんか)政策の結果でもある。各種の仕事には税金を投入してやってほしい(やるしかない。日本の現実では。)が、消費税もガソリン税も下げてほしい、とおっしゃる。だが、財源は? もうけてきた巨大企業(円安で輸出業者は稼いでた。IT企業は稼いでいる。インバウンド業界も稼いでいる)から法人税をがっつりとるのも一法だが、対米輸出の関税が高くなったところで可能か? の問いは残る。年収1億円以上の富裕層、5億円以上の超富裕層から所得税をがっつり取ります、という見通しがあるのなら、それはそれで賢い。国民新党や参政党にそれらをやる気があるかな? 彼らにはぜひ田舎で認知症の高齢者(あなたの親です)や限界集落や空家(あなたの親の家です)や放置された農地・山林や崖(がけ)崩れ寸前で洪水を引き起こす予備軍の斜面やシロアリにやられた山の神社(あなたやあなたの先祖のふるさとです)などなどが山盛りで存在する土地に居住し、無償(報酬0円)で支えてみて欲しい。昔赤尾敏(あかおびん)という右翼(愛国党)の大物が数寄屋橋(すきやばし)で「日本の田舎のおばあちゃんの心を・・!」と演説していた。(演説は心に訴える演説で、うまかった。)愛国党の主張がいいかどうかは別として、「田舎のおばあちゃん」を具体的に大事にする気が果たしてあるのか、都会の新党のみなさんに?
自民が少数与党だったことは過去にもある。今は誰が総裁になっても苦労する。どの野党の組み合わせでも安定政権はできない。誰かさんが総裁になると自民が分裂し、さらに多党化が進む。今石破さんがやめたら、総裁選か。総選挙だと自民は大敗する。いずれにせよ政治空白が生まれる。内外の情勢が厳しいときにそれどころではあるまい。せっかく決めた方向性などを粛々(しゅくしゅく)と法律にするなど実行しないといけない。もう一回言うと、年金も自民公明と立憲で「あんこのあるあんパン」にしたのだから法案を出して実現しないといけない。野党はあれほど盛んに主張したのだから賛同すべきだ。対アメリカの関税も対応しないといけない。今一番分かっておられるのは、石破さん、森山さん、赤沢さん、加藤さんら、今まさに当事者として前面に出てやってこられたみなさんだろう。今のスタッフでやるのがベターでは?
自民党内では責任を石破さん一人に押しつけて騒いでいる人があるが、それぞれに腹に一物あるからだろう。外から見ると「また自民党の派閥がもめている」という印象で、「石破おろし」は票が逃げていく原因となる。「T一教会やURA金関係の議員が石破おろし」をやっている、と誰かが書いていた。
森山幹事長もおやめにならなくてよいです。「コメは安ければいいというものではなく・・」と理に基づいて発言されたのは(私が申し上げることでもありませんが)さすがです。戦後(戦中も)の苦しみが分かり地方の人の痛みが分かり農協や農家の苦労がわかる人が要職におられるべきでは? さもないとますます外資に全てを売り飛ばす(右ネジのかかったポーズで実は外資ベッタリ)といった社会になってしまうのでは? どうでしょうか?
森山さんがおやめになったら、野党と話のできる人がいなくなって、森山さん石破さん以外の他の誰が幹事長や総裁・総理になっても、少数与党はもっと苦労し、法案は通らず政治空白が長期化、ついには政権交代、自民党は野党化して分裂(旧A派が「新党A派」をつくるとか?)もあるかもしれませんよ。石破さんと森山さんを攻撃している人は、自爆的な言動だと気付いておられるのでしょうかね・・どうですか?
郵政民営化で結局簡保(かんぽ)と郵貯(ゆうちょ)が外資に狙(ねら)われ、メルパルクは短期間に次々閉鎖、今や郵便局自体が狙われている(駅前の一等地にありますよね)感があります。
同じように農協も農地も水路も片端から壊すのでしょうか? 農地も水路も誰かが維持しないといけません。K農水相やT木さんやY村さんやM原さんやK谷さんやT市さんが地方に住んで農具を担(かつ)いで水路の泥サライに参加されますか? 税金を投入してやりますか? 農協に改善すべき点が多々あるとしても、潰してしまっていいのでしょうか? 疑問です。
参政党首はかつて「キリストの幕屋(まくや)」(手島郁郎=てしまいくろう)のフロント団体と関係があったとか。今は切れているのでしょうか。手島郁郎はキリスト教無教会派(むきょうかいは)の内村鑑三を尊敬していましたが、矢内原忠雄らからは「異端」と言われたそうです。私見では手島さんと「幕屋」は内村の「二つのJ(JapanとJesus)」のうち「JAPAN」に傾斜しすぎているように思います。内村は『代表的日本人』の1908年版の「はじめに」などでは、「日本、日本」と人々が声高に言うことに内村が失望している印象があります。1923年の「日本の天職」などを読んでも、日本は「武の国」ではない、またイギリスなどの商工業・海軍の大国と日本は違う、あれは日本のとる道ではない、と言っています。高校日本史や倫理(りんり)で学習する表面的な情報だけでは不足です。内村鑑三を実際に読んでみて下さい。
なお内村鑑三は非戦論者です。内村鑑三の正統な継承者たちは非戦・平和主義者です。そもそもキリストは武器を捨てよと教えました。ペテロが武器をとったとき、武器を捨てよ、武器を取る者は武器によって滅ぶ、とキリストは言いました。
「幕屋」はナショナリズムが強烈なだけではなく、異言(いげん)など奇蹟(きせき)を重視しています。そういうセクトがあってもよいのですが、あまり政治的な主張が強まり政界で発言力が出だすと、警戒します。アメリカの、何とか派やかんとか派などは、大丈夫なのでしょうか?
参政党の主張を新聞で見ると、T一教会に近いかと思いましたが、「日本会議」にも近く、「幕屋」とも近かったのだなと今回知った次第です。
信教の自由はあるべきです。私は、どの信仰もそれぞれに事情があって信じておられるので、尊いと思います。但しカルトで、信者から財産を巻き上げたり、信者をロボットにして殺人兵器にしてしまうようなのは、ダメです。戦前の大日本帝国の国家神道(こっかしんとう)は、国民を洗脳して殺人ロボットにしてしまいました。そういうのは、ダメです。その批判と反省から、戦後は出発し、とにもかくにも平和な80年間を続けてきました。戦後80年の談話は石破さんにお願いしたい。9月2日(降伏文書調印の日。国際的には8月15日よりも一般的。)でもかまいません。話のわかる石破さんは、「憲政の常道(けんせいのじょうどう)」を歩んでおられるのであって、立派な宰相(さいしょう)だと私は思います。
私はもともと「無党派」層で「支持政党なし」ですが、今回は見ていて「石破さんガンバレ」になってしまいました。
孫子(そんし)の兵法について私は詳しくありませんが、動かないことも戦法だと聞いたことがあります。ここは落ち着いて為すべきことを粛々と為されればよいと思います。
今日はこれくらいにしておきましょうか。有り難うございました。
2025.7.30付言。上記と直結しないがここで書いてみる。誰か(平宮康広さんという方)が書いておられたが、
・再エネ発電や電気自動車にはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使う。かつリン酸アンモニウムは肥料にも使う。すると再エネでリンを使うと農業の肥料ができなくなるというアポリアがある。リンは国内で産出できず多くを中国から輸入している。では、どうすればいいか? 家畜の糞尿を使って有機肥料にすれば、肥料用のリンを減らせる。その分再エネや電気自動車のバッテリーにリンを回せる。中山間地域の限界集落に肥料会社が頑張れば地方創生にもなる。
・コメの1000万トンの備蓄のためには水冷コンビナートを、海辺の限界集落に、低温の海洋深層水を使って作るといい。地方創生にもなる。
・・・これはいいと思ったが、海辺の方は津波があったら怖いかも。食料備蓄庫は津波も土砂崩れもないところに作りたい。山村の方も、土砂くずれ(断層)のないところに。私は化学ができないので厳密にはよくわからないのだが、「ほう」と思ったので、紹介しておく。ありがとうございました。
追記2025.8.4 TBSのNEWS DIGの記事によれば、
JNN世論調査(8月2日、3日)(全国の電話調査)でも、
「石破首相は辞任しなくてよい」は47%で、「辞任すべき」を上回っている。
やめろやめろと騒いでいるのは自民党の議員の腹に一物ある人たちだけで、国民は石場さんに続投して欲しいと思っているようですよ。
また、
「自民党が敗北した理由が何だと思うか聞いたところ、最も多かったのは、▼「自民党に期待できないから」で46%、次に、▼「石破政権に期待できないから」が20%、▼「ほかの政党の方が期待できるから」が15%でした。」とある。
「敗北」は石破さんのせいではなく自民党の、T一教会やウラガネや旧派閥(A派とかA派とか)の一部の人で利権を独占する、古い体質のせいだというわけです。
それを石破さんのせいにしてやめろやめろと騒げば騒ぐほど、ああ自民党はまた見苦しい足の引っ張り合いをやっている、国民一般はおるすですか、となりますよね・・石破さんと森山さんと公明党が(こんな言い方は失礼ではありますが)かわいそうです・・・それよりも今はやるべきことが沢山あるのでは? どうですか?