James Setouchi
2025.4.26
NHK フロンティア 日本人とは何者なのか
2025年4月20日(日)深夜1:22~放送
DNA(ゲノム)解析によって、日本人はどこから来たか? を研究する最前線を紹介していた。大変面白かった。
結論:当然まだ仮説だが、
20~30万年前にホモ・サピエンスがアフリカで誕生
6~7万年前に西アジアへ
そこから北西に行ったグループ、東北に行ったグループ、東南に行ったグループがある。
東南に行ったグループはインド経由で4~5万年前に東南アジアに到達、ホアビニアン文化をつくる。狩猟・採集文化。
しかし農耕民が入ってきて、東南アジアでそれは絶えた(少数の生き残りが、タイ南部のマン族で、30人あまりで密林で暮らしている)が、東南アジアから海岸沿いに北へ移動したグループが、3万年前に日本(当時は大陸と陸続き)にやってきて縄文人になった。
氷河期が終わって海面が上昇し、日本列島は大陸から切り離されたので、縄文人は1.6万年以上も独自の縄文文化を発展させた。青森や礼文島にも遺跡がある。数十から数百人の集落を作った。高度な精神文化を持っていた。
やがて北東アジアから弥生人がやってきた。これで縄文人と弥生人のDNAは6:4になった。
3~7世紀に東アジア各地から(中国大陸の動乱のためか)大量の人がやってきて古墳時代を築いた。これで縄文人1割、弥生人2割、残りの7割が第3のグループという古墳時代のDNAができた。
これが今の日本人(本州、東京)のDNAに繋がっている。
なお、アイヌの人びとは縄文人のDNAが7割、沖縄の人びとは縄文人のDNAが3割である。
こうして、今の日本人は、東南アジアからやってきた縄文人のDNAをベースに、弥生時代の渡来人(北東アジア由来)、古墳時代の渡来人(東アジア全域由来)が混血してできあがったものである、と今の段階では言える。かつては縄文人と弥生人の二層構造のように言われることが多かったが、実は三層構造と言う方がより確からしい。
*今の東京人は、モンゴル人・北京の人びと・南中国の人びと・ベトナムの人びと・タイの人びとのどれとも離れたDNAを持っている。彼らと縄文人との中間にいるのが今の東京人だ。
*東南アジアにかつていたホアビニアンと縄文人はDNAが非常に近い。驚くべきことだが。
→JS:有益だった。縄文人はどこから来たか? は気になっていた。今日の放送の説明で得心できるものがあった。大野晋(おおのすすむ)が日本語はタミル語(南インド)と似ている、と言ったこともどこかで繋(つな)がるだろうか? わからないが。
今日はあまり言っていなかったが、日本人は北(オホーツク経由)からも東(太平洋経由)からも来ているだろう。縄文1万年以上をベースに置きつつ、様々なものを(DNAも文化も)取り入れてきたのがわれわれだ、ということに間違いはなさそうだ。世界中の人が親戚だ。仲良くしよう。
(加藤周一の日本=『雑種文化』論などに基本的に賛成。但し加藤周一が見たフランスは対ドイツ独立でナショナリズムに燃えている時期だった。フランス文化も実は(当たり前だが)ごちゃ混ぜである。今回とは別の問題だが。)
なお、コメ(ジャポニカ米)は朝鮮半島経由ではなく長江下流域から直接来ているとか。
(冒険心、挑戦心があって移動してきたのが日本人、と放送では言っていたが、見ようによっては、ほかに圧迫されて仕方なく逃げてきたのが日本人、かもしれないですね・・)
この番組を再放送やNHK+で御覧になることをお薦めします。