参考

 

安倍内閣閣僚の学歴(H29.3とR1.9)

 

 大臣をされている方の学歴(学校歴)を調べてみると、一定以上学歴(学校歴)社会だが、それ以上に(?)2世3世の議員が大臣になっており、階層社会(平安時代や江戸時代のような身分制・家柄時代、と言うべきか?)になっていることがわかった。民主主義はそれではダメなんじゃないか。福沢諭吉や孫文が聞いたら「間違っている」と言うだろう。

 

 天は、人の上にも人の下にも、人を作ってはいないはず。人間は平等、機会は平等にする、生まれつきで差があらかじめあってはいけない・・はずなのに!?

 

 慶応義塾(福沢諭吉が作った)出身の首相や大臣も大勢いるはずなのに?

 

 いや、結果も平等でいいのかもしれない。ヒトはチンパンジー系統の祖先と700万年前に分かれて以来、獲物は群れで平等に分け合い、特に子どもなど弱者に優先的に分配してきた。王が権力を持って差別や戦争を始めたのは、ここ数千年くらいだろう。つい最近の出来事に過ぎない。ヒトの一番深いところには、競争や闘争や戦争では無く、分かち合い助け合い共に生きる、という遺伝子(本能)があるに違いない。

 

 新渡戸稲造『武士道』のラストを読んでみよ。「人間には、闘争本能よりももっと深いところに、愛の本能がある」と書いてある。

 

 幕末の使節がアメリカに行って「初代大統領ワシントン殿の御子孫はどうしておられるのか」と質問し、アメリカ人に怪訝な顔をされた、という有名な話がある。家がらや血筋で、エリートの子はエリートのまま、排除され差別されている人の子は排除され差別されたままなどというのは、改めないといけない。

 

 では、どうやって?

 
 

           
本人のHPや新聞記事などをもとに作成。 安倍
第3次改造内閣の閣僚の学歴
H29.8.3
発足
     
大学(学部、学科) 院(専攻) 2世、3世か 官僚出身か
総理 安倍晋三 成蹊(法、政治)   岸信介首相の孫  
副総理財務金融 麻生太郎 学習院(政経)   吉田茂首相の孫  
総務女性活躍 野田聖子 上智(外国語)   義父は野田卯一大臣。  
法務 上川陽子 東京(教養) ハーバード(政治行政学)    
外務 河野太郎 ジョージタウン(比較政治学)   河野洋平衆院議長の子  
文部科学 林 芳正 東京(法) ハーバード(政治学) 政治家4代目。父は林義郎大臣  
厚生労働拉致働き方改革 加藤勝信 東京(経済)   加藤六月大臣の娘婿。 大蔵省
農林水産 斎藤健 東京(経済) ハーバード(行政)   通産省
経済産業 世耕弘茂 早稲田(政経、政治)   祖父は経企庁長官、叔父は自治大臣  
国土交通 石井啓一(公明) 東京(工)     建設省
環境原子力防災 中川雅治 東京(法)     大蔵省
防衛 小野寺五典 東京水産大(海洋環境工学) 東京(法学政治学) 義父は気仙沼市長  
官房 菅 義偉 法政(法、政治)      
復興原発事故再生 吉野正芳 早稲田(商)      
国家公安防災 小此木八郎 玉川(文)   父は小此木彦三郎大臣。祖父も国会議員。  
沖縄北方消費者 江崎鉄磨 立教(文、教育)   父は江崎真澄大臣  
1億総活躍少子化対策 松山政司 明治(商)   父は福岡県議  
経済再生人づくり革命 茂木敏充 東京(経済) ハーバード(公共政策)    
地方創生規制改革 梶山弘志 日本(法、法律)   父は梶山静六大臣  
五輪 鈴木俊一 早稲田(教育)   鈴木善幸首相の子  
           
東京7、早稲田3、東京水産1、上智1、学習院1、法政1、玉川1、立教1、明治1、日本1、成蹊1、ジョージタウン1(ほとんど東京)  
大学の学部で見ると法5、経済3、政経2、商2、文2、教育1、水産1、工1、教養1、政治1、外国1  
院も見るとハーバード4、東京1。専門は政治行政、政治、行政、公共政策、法政治。  
国会議員・大臣の子や孫などが20人中11人。他に地方政治家の子が2人  
           
以上から、非大卒はいない。全員大卒。かつほぼ全員東京の大学。国公立は東大含め8、他は私立。院も増えた。  
2世、3世が過半数  
           
(コメント)人間の値打ちが学歴で決まるわけではない(当たり前である)。だが日本はどれくらい学歴(学校歴)社会であるかを考えるための一つの指標として、上記の観察・分析をすることができる。昔は田中角栄を始め非大卒の大物政治家もいた。今は全員が大卒。かつ地方大学(広島や青森)の人が皆無。東京ばかりだ。国立では東大が多い。東大→官僚→代議士は4人。学部は法、経済、政治などが多い。ハーバード大の院で学んだ人が4人いて、昔より増えた。今の大きな特徴は、2世、3世が増えたことだ。首相や大臣の子や孫がずらりと並んでいる。階層が固定化しているのだろう。
 

 
       
違っていたらごめんなさい        
本人のHPや新聞記事などをもとに作成。 第4次安倍再改造内閣の閣僚の学歴 R1.9.
11発足
     
大学(学部、学科) 院(専攻) 2世、3世か 官僚出身か
総理 安倍晋三 成蹊(法、政治)   岸信介首相の孫  
副総理財務金融 麻生太郎 学習院(政経)   吉田茂首相の孫  
総務 高市早苗 神戸(経営)   (松下政経塾)  
法務 河井克行 慶応(法)   (松下政経塾)妻も参議院議員  
外務 茂木敏充 東京(経済) ハーバード(公共政策)    
文部科学 萩生田光一 明治(商)      
厚生労働 加藤勝信 東京(経済)   加藤六月大臣の娘婿。 大蔵省
農林水産 江藤 拓 成城(経済) ハーバードで研究員 父は建設・運輸など衛藤隆美大臣。  
経済産業 菅原一秀 早稲田(政経)      
国土交通 赤羽一嘉 慶応(法)(政治)   公明党  
環境 小泉進次郎 関東学院(経済、経営) コロンビアで政治学修士、CSISの研究員 小泉純一郎首相の子  
防衛 河野太郎 ジョージタウン(比較政治学)   河野洋平衆院議長の子  
官房、拉致問題 菅 義偉 法政(法、政治)      
復興 田中和徳 法政(法、法)      
国家公安防災 武田良太 早稲田(文、英文) 早稲田 院 田中六助官房長官(大平内閣)は伯父  
1億総活躍沖縄北方消費者 衛藤晟一 大分(経済)      
IT,科学技術 竹本直一 京都(法) カリフォルニア大バークレー校・コロンビア大の院へ(建設省で)   建設省
経済再生社会保障 西村康稔 東京(法) メリーランド(国際政治経済学)修士(通産省で)   通産省
地方創生 北村誠吾 早稲田(政経、経済)      
五輪女性活躍 橋本聖子 駒大苫小牧高校   五輪選手(スケートと自転車)  
           
東京3、早稲田3、法政2、慶応2、学習院1、成城1、成蹊1、明治1、関東学院1、大分1、神戸1、京都1、ジョージタウン1(ほとんど東京)、非大卒1  
大学の学部で見ると法7、経済5、政経3、商1、文1、経営1、比較政治1  
院も見るとハーバード2、コロンビア1、バークレ-1、メリーランド1。専門は政治、公共政策、国際政治経済など。アメリカが多い。  
国会議員の子・孫・甥などが7、妻も議員が1。特に元首相の子・孫が3は大きい。  
以上から、非大卒は1。ほぼ全員大卒。ほとんど東京の大学。国公立は東大含め6、他は私立。院も増えたがアメリカばかり。  
           
(コメント)人間の値打ちが学歴で決まるわけではない(当たり前である)。だが日本はどれくらい学歴(学校歴)社会であるかを考えるための一つの指標として、上記の観察・分析をすることができる。昔は田中角栄を始め非大卒の大物政治家もいた。今はほぼ全員が大卒。かつ地方大学(広島や青森や)の人が僅少。東京ばかりだ。官僚→代議士は3人。学部は法、経済、政経が多い。理系はいない。外国の院で学んだ人が昔より増えたが、アメリカばかりなのは気になる。最近の大きな特徴は、2世、3世が増えたことだ。首相や大臣の子や孫、身内が並んでいる。階層が固定化しているのだろう。

*公表されている本人のHPや新聞報道などをもとに作成した。

 適菜収『自民党の大罪』祥伝社新書(2024年8月)はすごかった。昔の自民党と今の自民党は全く違う政党だ、とする。小泉(父)さんと安倍さんに割くページ数も多い。

 振り返ってみれば、
・トランプと話ができているように見えたが実は不要な武器を法外な値段で買い付ける約束をしてしまった。
・プーチンと話ができているように見えたが実は北方領土四島返還をホゴにし二島返還まで(それもできるかどうかわからない)後退してしまった。
・北朝鮮の拉致問題を解決するのは自分だと言いつつ何も進展がなかった。
などなど、「外交の安倍」が有名無実どころか国益(国民益)を損なってしまっている。
・森友問題では、まじめな官僚に死者まで出している。
・統一教会との癒着は明々白々なのにウソをつく。R6.9.17火の朝日新聞一面には、安倍さん、荻生田さん、岸信夫さんと、統一教会系団体(勝共連合も)のトップや幹部が並んで写っている写真(2013.6.30、自民党本部総裁応接室での撮影)が載っている。そもそも岸さん(安倍さんの祖父)の家の隣に統一教会の本部があった。
・「桜の会」もあやしい。「お友達」にはニコニコする。
・国民の意見を吸い上げず「あんな人たちに負けるわけにいかない」と自国民を差別・排除し分断を助長する。
・自民党内部の反対意見を圧殺する。反対者にはいわゆる「刺客候補」を出し、例えば広島の自分に忠実な河合議員(法務大臣だったと思うが・・)には1億5千万だったかの資金援助をする。
・朝日や毎日や沖縄の新聞を偏向しているとレッテル貼り。読売と産経がお気に入り。読売と産経の偏向には気がついていないご様子だ。
・内閣法制局長官(例の安保法制・集団的自衛権の時の憲法解釈で)、日銀総裁(白川→黒田)、NHKトップの人事、学術会議の人選、などなどに対して権力を用い、事実上の独裁をする。検察庁人事にまで手を出そうとしたがコロナ時の賭けマージャン問題でアウトになった。
・・・他にも沢山ある。

 それなのに、「あれほどの偉業をした方」などと安倍さんを持ち上げるのは、おかしな話だ。勉強が足りないのか、いわゆる世論工作に騙されてしまっているのか。かつ「安倍信者」的な人たちが、どうしてそれだけの時間とお金があるのか知らないが、ネットで書きまくり、反対や疑問を表明する人をたたいていく。ファシズムのやり方だ。
 それで儲けているのはアメリカの資本家ですか? いや中国やもっと他の国の資本家ですか? 


 

 名門・超大国の梁(りょう)の恵王(けいおう)は言った。「食糧不足の地方の民を豊かな地方に移住させる。私は人口や食糧資源に関する調査(データ)に基づいて注意深く他国よりもいい政治をしている。それなのに我が国は人口が増えない。なぜだろうか。」
 孟子は言った。「王よ、あなたのやり方は根本が間違っている。あなたのは仁政ではない。民を大事にする王道政治ではない。」

 ここで王は、国力=民の数、と考えていて、恐らく、民を家畜程度にしか考えていない。「人口が増えれば兵力も増える。国富(その正体は王の私財)も増える。超大国としての王のメンツも保てる。」その程度の発想しか、この王にはなかった。

 孟子はこの王に対し、「根本が間違っておる!」と叱責する。王は自分の利権、自分のメンツ、他国に対する優劣しか考えていない。王には民の苦しみが見えていない。そんなところでいかにテクニカルな政治技術を弄しようと、根本が間違っているのだから、うまくゆくはずがない。王は根本に立ち返り、民を大切にする政治をしなければならない。仁政を行わなければならない。それを忘れて、苦しんで死んでいく民のことを「自己責任だ」「天災、異常気象だからいたしかたない」「想定外だった」と言い張る。自分の政治の責任を考えず他に責任を押しつけようとしておる。それではダメだ。王は民を大事にする政治をおこなうべきだ 。民に対して責任を負う政治を行うべきだ。そうすれば天下の民は王のもとに集まってくるでありましょうぞ。」

 こうして孟子はその具体策を述べ始める。(『孟子』梁の恵王章句上「五十歩百歩」の箇所。かなり意訳。)

 東方の超大国・斉(せい)の宣王との対話も御覧下さい。

 現代はどうであろうか。

 
「人口が増えれば兵隊の数も揃えられる。GDPも大きくなる、国富(その正体は一部富裕層やリーダーたちの私財、あるいは最前線で働く人の暮らしとは関係のない本社ビルのデカさなどなど)も増える。大国としてのメンツも保てる。」おや、梁の恵王と全く同じではありませんか・・・孟子が聞いたら激怒する、とはこのことです。

 「ウチだけじゃない」? なるほど、あなたの考えでは、あの国もこの国も「ウチ」の国も非人間的なのですね。私は他国のことは知りませんが、せめて「ウチ」だけでもいい国にしませんか?

 言っておくが、戦国時代を法家思想と軍隊で強引に統一した秦の治世は民意を失い15年で崩壊したのだ。そのあと儒教を取り入れたもっと穏やかな漢王朝が長く続くことになった。