信州の「とうじ蕎麦」を何度か家でつくってみたところ、これが実にイケます。そこで、どうしても本来のレシピで味わいたくなりました。「昔は野鳥とキノコからダシをとった」ですと。問題は野鳥です。この難題を友人のビリーザキッドが解決してくれました
野鳥は川島町(別名・埼玉のテキサス)で仕留めてきました。私も同行。獲物はヤマバト(キジバト)です。通常はスーパーの鶏肉です
そば粉は信州高山村にて購入
カットは田中式製麺機 小野式より0.1mm細いカッターを装備しています。ギアは斜めのヘリカルギア。これほど精密なギアを製麺機に採用するとはさすが日本。シャフトを押し込めば1:3のギア比で帯麺ローラーを回し、シャフトを引くと1:1でカッターを回します
たっぷりのお湯でさっと茹で上げる 今日も大成功ですな
冷水で締めてから、小分けにしてザルに盛る。 あまり長い蕎麦は盛りにくいので、ある程度の短さが大切。製麺機の蕎麦は長くなるので、ここに注意が必要。このまま置いときます
キノコと野鳥の汁をつくる キノコ汁のコツはシイタケを入れないこと。味は醤油仕立て
★とうじ蕎麦は食べるタイミングを急がない。おそらく、寒い晩に帰宅する家族のために、帰ったらすぐ夕食が食べられるよう準備されていた料理でしょう。最大の特徴は、すぐに蕎麦を食べる必要がないというところ。ゆえに、キノコ汁を肴に熱燗をやる余裕があります。これが最高に良い。画像はキジバトの胸肉
キノコがまたうまい。 ユズの皮などあしらう
熱燗を九谷の盃に注ぐ これを何杯かやったあとで、
そろそろいってみますか。ザルの上で少し時間を置いた蕎麦は、持ち上げやすくなってます。ここもポイントです。その蕎麦を 「とうじ籠」に入れてシャブシャブします。小分けの蕎麦はすぐ熱々。昔は囲炉裏に掛けた鉄鍋でやったのでしょう。今はイワタニのカセットコンロが囲炉裏の代わり
蕎麦を椀に「投じる」 この籠で、次々と椀に投じていく様子が名前の由来なんだろうなあと思います。昔は家族も多かったから、どんどん投じていったのでしょう。ちなみに、このまま食べてもウマイ
投じた蕎麦にキノコ汁をかける 小分けで熱々の蕎麦を何杯か食べると、すぐに体が温まります。とかく熱い汁の蕎麦は、ゆっくり食べてるとコシがなくなってしまうわけですが、これはそうならない。
鍋の汁は減っているので、そこに蕎麦湯を足してからご飯投入 信州の山間の地域では、昔は1日に2食は蕎麦を食べ、1食だけが米だったとのこと。そういう歴史を今に伝える郷土料理。ご飯は最高のおもてなしです
とろみのある雑炊の完成 風味がまた良い。蕎麦雑炊ですね これが今夜の仕上げです
肉も野菜も摂取できるオールインワンの料理です。しかも日本酒に合う。この後、もっと大きな土鍋を使って6人でやってみたところ、大変盛り上がりました。とうじ籠はテーブルの両側に1個ずつあると便利