椋(ムク)の木を使ってマグカップの製作開始。椋は天秤棒に使われるほど強靭な木です。比重0.65~0.9  ククサが本来つかう白樺は0.64    

木工ドリルで穴を開けておく

椋は堅い木です。戦国時代は軍船の楯板として使われ、火縄銃の弾丸を通さなかったという記録あり

ノミとペーパーディスクで整形 ペーパーディスクはダイソーで100円 60番

取っ手のデザイン 本家のククサは水を汲むための機能を有するとか。なるほど合理的な考えです。そこで取っ手は長め

ここは慎重に切り出す

形が現れました 年輪の芯がちょうど取っ手の付け根に位置したのは偶然

車のブレーキ整備で使うセパレータで専用の作業台を製作

これで両手が使えて安全作業。どんどん削れます

フックナイフで内側を削る。このナイフはNetで購入。(その後、ワイルドワンに売ってることが判明)

サクサク削れます。このナイフは右利き用と左利き用があります

完成近づく

白樺で防水実験 ①未処理、②塩茹で+乾性油、③蜜蝋ワックス、④乾性油 すでに1時間経過。本家の作法とされる『塩茹で+乾性油』に防水効果は確認できず。

防水性能は蜜蝋が圧倒的。防ウイスキー実験も同様

方針決まる。スーパーVIVAの塗料コーナーで固形蜜蝋を購入。マグカップはダイソー

固形蜜蝋を湯煎

木材の繊維の奥まで蜜蝋を浸透させて防水処理する。日本の汁椀は「木固め」といってウルシを浸透させる。日本の木椀に塩茹での工程はない。北欧の塩茹ではいかなる効果があるのだろう。。。殺菌とか、中の虫を退治とか、そういう理由ではないのかなあ。

外側は乾性油を塗る。乾性油とは、クルミ油、亜麻仁油、桐油、エゴマ油、べに花油など、空気中で完全に固まる植物性油。オリーブオイルは乾性油ではありませんから注意が必要です。

硬化時間をおく

ドライヤーで温めながら蜜蝋を取り出す。蜜蝋はまた使えます。ここまで蜜蝋を固めると取り出しに苦労します。2号機からは、柔らかい内に竹ベラで除去。紅花油は完全に硬化完了。

オールドビレッジの蜜蝋も内・外に塗りこんで、さらに乾かす。そして完成。 オールドビレッジの蜜蝋もスーパーVIVAで売ってました

本家フィンランドでは白樺のコブを使うとのことですが、日本はケタ違いに多くの種類の木があるわけで、せっかくだからいろんな木で作ってみたいものです。塩茹でしなければ、コーヒーがしょっぱいこともありません。というか、飲み物の味が変わっちゃうような容器は問題がある。

 ↑椋(むく)の木  大地にふんばる「板根」が特徴。台風や大雪で周囲の木が倒れようとも、椋は傾くこともありません。この木で作ったマグカップでウイスキー飲んだら最高です。なにしろ水軍の楯になった木だし、白樺より強そうだ。

★★↓ 問題発生! ホットウイスキーを飲んでいると、渋みが現れる。どうやら椋はタンニンを豊富に含むらしい。毒ではないけど、ウイスキーの味が変わるのは困る。そこで茹でる。30分沸騰させてから24時間放置。翌日水を換えてまた同じ工程。繰り返すこと7回。

本家ククサの塩茹での工程もアク抜きのためだと思われます。塩を入れる理由はまだ不明。初日は軒下で乾燥。その後は室内で乾燥。急激な乾燥はあまりよくないようです。

↓ナント取っ手に割れ目あらわる。もしかすると、木材をアク抜きのために茹でると、当初の状態以上に乾燥して割れやすくなる、ということか。  ククサが塩を入れて茹でるのは、塩分により完全な乾燥を防いで、割れないようにするためか。日本の汁椀に塩茹での工程がないのは、極限まで薄く削ることにより、アクの影響を減らしたのかも。

1号機は取っ手のデザインを変更。 再度防水加工。内側は溶かした蜜蝋。外側はべに花油のハケ塗り。べに花油は手打ちうどんの麺棒にも塗れます

そして2度目の試飲  偶然出来上がったデザインも意外にイケます。ではティーチャーズのハイボール。 お!アクを感じない。3杯飲んでも外側に沁みださない。これは大成功。 いつでもキャンプで使えます。ククサつくりは「水が漏れない」「アクが出ない」が重要なポイントです。あとは木の香りかなあ。香りがキツイ樹種は向いてません。

木目を「縦目」で取ったのは、この1号機だけなんですが、虎の尾のような模様が案外イケテます。芯を避けて作れば大丈夫かもしれません。