燗銅壺の補修 その1 小豆島の燗銅壺 | James-kozoのブログ

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小豆島に残されていた燗銅壺を友人がGet!

茶道具のカテゴリーに出展されていたので、入札は1人のみでオークション終了という幸運の燗銅壺

非常にユニークなスタイルです サイズ的には「中型」ですね。火壺も大きくてこれなら炭火焼きもバンバンできます


ロストル(炭置き台)が欠品しているということで、自作することにします

漏水は無し 

大事に保存されていたようで、少し洗っただけで銅の地金の色が出てきたので、急きょ、洗浄中止。せっかく江戸時代の貫禄があるのに、あまりピカピカになってはもったいない


詳細データ 重量864g 水量1700cc 火壺直径10cm 

高さ 13cm

横  21cm

幅  12.5cm


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火壺内を観察すると、ロストルを置く台が加工してある「段差構造」になってます。

この場合のロストルは、脚なしの1枚ものでOKです


ホームセンターで0.5mmの真鍮板を買ってきました

型をとって穴の位置を決めます


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先に穴を開けておいてから金切りバサミで丸くカット

カットしてから穴を開けようとするとパーツごと回転するので危険です


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中央の穴を大きくすることにより、取り外しがスムースになります ここ重要!

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完全な円形にすると、洗うときに出しにくいので、両端を1センチほど直線にカットします

この加工は、我が「飛龍丸」のロストルを見習いました こういうところにも江戸の職人さんたちの伝統を感じますね まん丸の方が見た目が美しいに決まってますが、実際に使ってみると、この形がベストです



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湯煎室内の火壺を観察

とても綺麗な状態です ロストルを置く段差の加工がはっきり見えます 実に手間のかかった作りです


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吸気口下の「漏水ポイント」はまったく漏れる気配なし! 江戸の職人の技や恐るべし!

この燗銅壺は本体を4隅で浮かせる「フローティング構造」です

熱をお膳に直接伝えないための工夫でしょう


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裏側には墨でなにか書いてあります

なんて書いてあったんでしょうねぇ

花見に使ったはずなので なにか風流な言葉でも書いてあったのでしょうか

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この燗銅壺のすばらしいところはまだあります!

湯煎室の「フタ」が取り外し式になっています

これならラクに手が入るので補修もしやすいですね



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そしてナント!中型の燗銅壺なのに、お銚子が2本お燗可能!!スゲ~~!!

しかも、火壺の直径が10センチもあるので、肴を炭火焼きするのもお手の物です

これは小豆島の歴史資料館から出たもので、保存状態も抜群

火壺の中もほとんど焦げてないんですよ 何度も使われないうちに長期保存されて、その後は資料館にあったのでしょう 


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大変気に入ったので 西洋桐を使って箱をお作りいたしました

塗料はオイルステインとクリアラッカーを使用

お花見に行くときには、この箱とフタがお膳代わりに使えます


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炭火焼きとお燗が両方とも本格的に楽しめる造りです

たった一つの欠点あり 修理依頼品なので私の燗銅壺ではないこと(笑)