●今週のあらすじ
ドリームトーナメント決勝戦、8対8で10回の裏、スーパースターズの攻撃は2番殿馬から。
殿馬は、中西がすべてストレートで攻めてくると読む。

初球、秘打花のワルツの構え。
160キロをジャンプスイングで叩いた。
ファール、地面をこする打球の砂塵は花の形にならない。

2球目は秘打白鳥の湖の構え。
打ちに行ったが、かすらずツーストライク。

3球目は、秘打G線上のアリアの構え。
バントを警戒したサード微笑、ファースト牛之介がダッシュ。
しかし殿馬はバスターした。
これが微笑の頭上へ飛ぶ。
微笑はジャンプ、倒れこみながらキャッチしてアウトとなった。

3番星王への初球は163キロのストレート。
バットが折れてファールとなった。

●秘打の歴史は『ドカベン』の歴史
花のワルツと白鳥の湖は中学時代の東郷学園戦、G線上のアリアは高校時代のクリーンハイスクール戦で初披露されたもの。
いずれも殿馬の代表的な秘打といってもいいものばかりだね。

岩鬼の悪球打ちと殿馬の秘打は、『ドカベン』らしさが色濃く出るプレー。
代表的な秘打を振り返る、的な展開はいかにもラストゲームという雰囲気を醸し出しているなと思ったよ。

さて、今回の三つの秘打は順に、内野安打狙い、長打狙い、内野安打狙いを試みたわけだ。
2017年11月2日のブログ「ポテンヒット系秘打、回転系秘打の集大成」で、ポテンヒット系や打球に回転をかける秘打を振り返ってみた。
これらの多くは主に内野安打を狙った単打系が多い。

かつて徳川監督は明訓対赤城山高校戦を観戦しながらこう言った。
「殿馬にゃうまさがあっても逆に力がない」

そんな非力な殿馬ではあるが、長打系の秘打もいくつかあるのだ。

今回は長打系の秘打を振り返ってみよう


・秘打白鳥の湖(無印『ドカベン』8巻、対東郷学園小林、ほか)
・秘打美しき青きドナウ(無印15巻、対土佐丸高校犬飼小次郎)
・秘打円舞曲別れ(無印31巻、対土佐丸高校犬飼武蔵)

・秘打チゴイネルワイゼン(『大甲子園』5巻、対室戸学習塾犬飼知三郎)

・秘打ロッシーニウィリアムテル(『大甲子園』6巻、対室戸学習塾犬飼知三郎)

・秘打美しき青きブルーウェーブ(『プロ野球編』1巻、対マリーンズ伊良部投手)
・秘打交響詩ティル・オイレンシュピーゲルの「愉快ないたずら」(『プロ野球編』21巻、オールスターホームラン競争)
・秘打ウィンナーワルツ(『プロ野球編』33巻、対オールスター犬神)

・秘打くるみ"割り"人形(『スーパースターズ編』4巻、対ホークス和田投手)

・秘打オーバー・ザ・レインボー(『スーパースターズ編』13巻、紅白戦)

・秘打マドンナ(『スーパースターズ編』13巻、対アイアンドッグス不知火)

・秘打風林火山(『スーパースターズ編』21巻、対オールスター藤川投手)


技ありな打法は美しき青木ブルーウェーブと愉快ないたずらくらいで、その他は力強く素直な打球が多い。

非力な分を技術でカバーしている殿馬も魅力的だね。

いずれも成功しなかったけど、この打席の殿馬は、単打系、長打系の秘打を織り交ぜていろいろ策を講じた。
その分、中西球道がいかに難攻不落な投手かというのがあらためて実感できたよ。

●次回以降の希望的予想
星王がワンストライクのところで終わった。

球道のことだから、かわすピッチングはしないだろうね。

そこでこんな展開はどうだろう。

 

2球目も160キロ越えの速球にバットが折られる。

悔しさをにじませながらバットを交換しにベンチへ戻る星王。

そのとき、ふとあることを思い出した。

 

戻ってきた星王は、ベンチ前でブンブン素振りした。

マウンドの中西に風が届くほどに。

 

それを見ていたファースト牛之介が星王をなじる。

「おいおい、金属バットなんか振ってどうするつもりだ。

球道の球は木製じゃ打てないと降参したのか」

 

そう、星王が振っていたのは金属バットだったのだ。

山田「あっ、もしかしてそのバットは」

岩鬼「それはわいがおまえにあげたバットやないか」

星王「ああそうさ、おまえがこのおれからギネスブック級のホームランを打ったバットさ。

がむしゃらに白球を追っていたあの頃を思い出せたよ」

 

冷静さを取り戻した星王は、3球目のストレートをジャストミート。

レフト前ヒットとなった。

 

なんてね。

回想シーンも交え、星王にもうひと踏ん張りしてほしいな。