●今週のあらすじ

ドリームトーナメント決勝戦は7対5とウォーリアーズがリード。

6回の裏スーパースターズの攻撃はワンアウトで二塁に岩鬼を置き、2番殿馬に打順が回った。

 

球場内に殿馬の打席入場曲として「皇帝円舞曲」がこだまする。

ウォーリアーズのピッチャー中西は殿馬を詰まらせて打ち取ろうとする。

一方殿馬は詰まらせてのヒットを狙う。

 

初球の160キロをセンター返し。

「秘打甲子園円舞曲」と称された打球は揺れながら飛んでいく。

セカンド堀田、ショート先斗、そしてセンター沖田が追う。

 

岩鬼はスタートを切った。

打球は沖田の手前でワンバウンド。

 

岩鬼は三塁を蹴る。

沖田がバックホームするもヘッドスライディングした岩鬼のベースタッチが早く、ホームイン。

殿馬も二塁へ達した。

 

7対6と追い上げたスーパースターズ、ワンアウト二塁で3番星王が打席に入る。

 

●秘打の集大成

秘打甲子園円舞曲は、ポテンヒット狙いの打法だった。

 

ポテンヒット系の秘打といえば……

・秘打ポテトチップ(無印『ドカベン』11巻、対白新高校不知火)

・秘打ハイジャック(無印35巻、対白新高校不知火)

・秘打モーツァルト魔笛(『ドカベンプロ野球編』26巻、対ライオンズ松坂投手)

・秘打ブルーマウンテンチェーン(『プロ野球編』、対ホークス佐久本投手)

・秘打未完成交響曲カープ(『ドカベンドリームトーナメント編』16巻、対カープ剛球仮面)

がある。

力でなく技でヒットを狙うのは殿馬らしさがあるね。

データは少ないけど、ポテンヒット系の秘打は速球派の投手向けに使う傾向があるようだ。

 

一方、打球に回転をかける秘打といえば……

・秘打花のワルツ(無印9巻、対東郷学園小林)

・秘打黒田節(無印24巻、対甲府学院賀間)

・秘打ハイジャック(無印35巻、対白新高校不知火)

・無名(神打、バナナシュート打法)(『大甲子園』21巻、対青田高校中西)

・秘打華麗なる大円舞曲(『大甲子園』26巻、対紫義塾近藤)

・秘打美しき青きブルーウェーブ(『プロ野球編』1巻、対マリーンズ伊良部投手)

・秘打引き潮(『プロ野球編6巻、練習時)

・秘打剣の舞(『プロ野球編』40巻、対ホークス犬飼小次郎)

・秘打アラビア風奇想曲(『ドカベンスーパースターズ編』3巻、対アイアンドッグス不知火)

・秘打皇帝円舞曲(『スーパースターズ編』11巻、対札幌華生堂メッツ青田)

・秘打くるみ割り人形(『スーパースターズ編』35巻、対ホークス大友剣)

・秘打花のワルツ(『ドリームトーナメント編』21巻、対水原)

うん、結構あるね。

軌道を操り守備をかく乱するのも実に殿馬らしい。

 

回転+ポテンヒットの秘打がドリームトーナメントの決勝戦で出るとは、殿馬の秘打の集大成らしくていいね。

 

●ポテンコースにドラマあり

今回の見どころは、殿馬の秘打のほかに岩鬼の走塁の好判断もあった。

岩鬼の見切り発車は、岩鬼の猪突猛進な性格もあっただろうが、長年のチームメイトの殿馬への信頼もあったんだろうね。

聞いたところで岩鬼は否定するんだろうけど。

岩鬼と殿馬の関係も『ドカベン』にいい味を出させてるよね。

 

さて、捕られるかどうかの外野フライは、走者としても判断が難しいところ。

今回は得点につながったけど、別の場合も振り返ってみよう。

 

○足利の場合(無印17巻)

明訓対いわき東戦、いわき東はワンアウトで一塁に足利を置き2番佐久間。

打球はセンター前へのポテンコース。

センター山岡、セカンド殿馬、ショート石毛が猛然と突っ込む。

 

足利はヒットになると判断しスタート。

山岡がヘッドスライディングでダイレクトキャッチした。

俊足足利はすでに三塁を回っていて、落ちていればホームインの可能性大だった。

 

今回の殿馬の打球と同じようなところに飛んだが、結果は紙一重で大違いだね。

 

○清正高校の場合(『極道くん』7巻)

苦楽園対清正、1点差を追う清正高校は5回の裏、清正高校鶴監督は勝負に出た。

ヒットで出塁した5番嵐山に俊足田中を起用したのだ。

送りバントでワンアウト2塁となったところで、鶴監督は三塁コーチを変えることにする。

候補は、なんでもかんでもゴーの京極、慎重な埴輪、野球をよく知る主将の中村の三人。

鶴監督は中村を三塁コーチに選んだ。

 

次打者東の打球はライト方向へ。

ポテンコースだが、ファーストとライトが追っている。

二塁ランナー田中は中村の指示を待つ。

「ハーフウェイ」

中村は様子見を選択した。

結果はヒット、一三塁とチャンスは広げたが、ハーフウェイの判断はホームインにつながらなかった。

 

中村の判断も悪くはなかったが、そう判断させた裏にはファースト宮本のファインプレーがあった。

「よーしおれのタマだ」と叫んだが、実は元々捕れそうにない球だった。

宮本はあたかもダイレクトキャッチできるように見せかけて、二塁ランナーをホームインさせないように縛るハッタリだったのだ。

 

ポテンコースにはドラマがあるね。

 

●次回以降の希望的予想

思いのほか本文の記事が長くなったので、予想はさらりと。

勢いづいたスーパースターズだけど、星王はバットを折られてキャッチャーフライ。

 

一打同点あるいは逆転の場面で球道対山田。

際どいコースを突き変化球も混ぜつつ、ファールや見送りでフルカウントに。

決め球は……、というところで来週へ続くかな。