マハ・カーン・フィリップス 「ペルシャ王女の棺」(集英社文庫)

 

パキスタンの首都・カラチ在住で気鋭の考古学者であるグルフサ(グル)の元へ入った深夜の緊急電話は、余りにも唐突で衝撃的なモノであった

郊外の洞窟で発見された古い棺には、黄金のマスクや王冠を身に付けた女性のミイラが収められていたのだッ!? そして御供かのようなマフィアの死体も一緒にッゲッソリ

グルはコレは「幻のペルシャ王女まじかるクラウン」なのではないかと推測し、本物であったら世紀の大発見となるが・・・

政府の思惑・隣国イランからのよこやり・そして地元マフィアからの襲撃が次々と押し寄せる

鑑定を急ぐ他に、グルには3年も前から行方不明となっている《最愛の姪》の消息が気に掛かる問題であったのだが、コノ騒動の最中に手掛かりが浮上し・・・

南アジアを舞台にした、考古学的歴史的な国際スリラー乙女のトキメキ

 

 

一応「ミステリ好き」としては、翻訳モノもそれなりに読んではいるが・・・パキスタンが舞台と言うのは初めてで、しかもイスラム圏で女流作家というのも珍しかったりする

ストーリー的には、マフィアが暗躍する郊外の洞窟内で発見された棺と、中に納められている女性らしきミイラを端に発し、政府・外交・社交界と裏社会勢力との絡みが巻き起こり、ミイラの真贋と共に大騒動になり、博物館のキュレーターでありエジプト考古学者のヒロイン・グルが様々な妨害横槍専横に会いながらも真実を求めて・・・DASH!

と言う展開となっている

一方で、も1つのメイン的なストーリーとして、グルの最愛の姪であり現在行方不明であるマフナズの消息と、兄であり裕福なセレブである兄・嫁との一家との軋轢が描かれている

となれば、自然にコノ2つのマルチストーリーは絡み合い縺れ合い、次第に1つに収束されていくコトになるのだが・・・

その辺りのスリリングさが堪らなく、ある種の「お約束な展開」ではあり、若干の既視感はあるモノの、物語の中に引きずり込まれて行く感覚が実にグッド!

またパキスタンと言う、私らには実情がまだよく分からない理解できない部分があり、またムスリムが多勢を〆、近隣諸国とは火の粉が舞う物騒な地域である【途上国】ならではの不安定さがあり、その辺りの諸事情も+して一級品のスリラーとなっていた

こ~いった余り知らない・分からない地域のコトも知れるのが読書の楽しみの1つであり、そ~いった点でも充分に満足させられた作品であったスター

 

 

高木彬光 「黄金の鍵」(角川文庫・光文社文庫)

 

余所の人はわたしのコトを〔愉快な未亡人(メリー・ウイドウ)]と呼んでいる

5年前に夫と死別し、遺された財産で自由気ままに暮らしている

そんなある日、名曲喫茶<黄昏>でベートーベンの「皇帝」を暗譜で弾く謎の中年紳士・隅野朧人と出会い、すっかり彼に惹かれてしまったのだラブラブ

百年以上前の不動明王の絵と埋蔵金に絡む連続殺人事件が発生するッガーン

現場には1枚の小判が残されており・・・わたしは直ぐに彼に連絡を取り、救けを求めると・・・

古式ゆかしい【探偵小説】の復活を目論む作者渾身のシリーズが開幕

 

初出は’70でカッパノヴェルスとして刊行され、↑の←は角川で文庫化された初版でS53(’78)ので、→の光文社版のは新装版で’98のモノ

ドチラも当然のコトながら(ウインク)古本で買っているが、珍しく両方「BO」ではなく、ドッチから古本市で偶然・片方は多分神保町のワゴンで1コインで買ったと思う

では何故、同じ本が2冊もあるのかッ??

・・・まぁ~「Wり」ってヤツですナ 特に光文社の方は後からになってからなので持ってる・読んでるのを忘れてて・ってコトですワチーン ハハハ笑ううさぎ

イマドキの若いコらには説明が必要かもしれないが、まぁ~高木と言えば戦後の日本推理小説界を牽引した大御所の一人であり、今も「日本三大名探偵」の一人として挙げられる神津恭介の生みの親である

高木は、古チックな・というか当時は当然だった大仰な仕掛けと表現が大向こうを張る探偵モノをメインに書いているが、他にもジョゼフィン・ティーに影響を受けた「歴史ミステリ」や、ボロネズ・オルッネィの影響をモロにそのまま生かした今作の様なモノも書いている

でネーミングもまんまの「隅野朧人」が活躍するシリーズを書いており、1stである今作では、最早「都市伝説化」してしまった徳川埋蔵金に纏わる連続殺人事件と不動明王の謎を絡めており、東京~群馬(赤城ではなく安中びっくりマーク)~軽井沢と、舞台も変わり、ストーリーを盛り上がている

近年では、こ~した大掛かりな大仕掛けな大仰な大袈裟な雰囲気をまとった「新本格」が隆盛を誇っているが、こ~した本格が普通であった時代の、チョッとゆったりゆるりとした作品も味わい深いと感じている

まぁ~ソレも、私が我が師である森村誠一の師匠格である高木も好きである・からなんですけどネもぐもぐ