下村敦史 「ガウディの遺言」(PHP文庫)

 

オリンピックを翌年に控えた、スペインの第二の都市にして、カタルーニャ州の中心・バルセロナ

ガウディ設計で世界遺産の『サグラダ・ファミリア』にて彫刻をしている父と二人で暮らしている佐々木志穂は、ある雷の夜に衝撃的な光景を見てしまうッ雷

尖塔の先に吊るされた遺体・追われているコトをしてきたきり姿を消してしまった父の謎の伝言・・・そして志穂の周りに現れた警察と怪しげな集団

志穂は恋人のホルヘと共に逃亡し、残された言葉の真の意味を探し始めるアセアセ

「ガウディにも・サグラダファミリアにも近づくな」

混乱騒乱のバルセロナを舞台にした、歴史的建造物の謎に迫るサスペンスフルなミステリ

 

 

下村に関してはココで何作もUpしてきたが、デビューとなった乱歩賞作は不穏な空気が漂ううミステリだったし、他にも難民問題を扱うセンシティブな作品もあれば、ホテルを舞台にしたエンターテインメントもありと、何でもこなせる面白く書ける作家である

で今回はバルセロナ・そしてソコで今も現存し継続中の世界遺産のサグラダファミリアと設計したアントニ・ガウディについての、壮大なストーリーとなっている

雷鳴の夜、尖塔の先に吊るされた父の石工仲間の遺体・迫り来て信頼できない警察と暴力に訴えてくる謎の集団・主人公の志穂は恋人のホルヘと共に逃亡しながら、殺人事件の・そしてソノ背後に蠢くガウディの謎を追っていく・・・

そ~したメインのストーリーが進行しながら、バルセロナとカタルーニャとスペインという国家観と対立と歴史を書き、不世出の天才建築家・ガウディの生涯と仕事についても詳細に書き綴っており、一気に・でも断片的ながらも「スペイン」についての知識も増えていくのが面白く嬉しい

尤も、ソチラの説明が多すぎな感じもあり、肝心の謎を巡る追いかけっこの方が時折疎かになるのはチョッと・・・ネガーン

でも仕掛けもあるし、長年暮らしていて馴染んでいるとは言え外国人の志穂の孤独と疎外感と恐怖によるスリルが、ガウディの謎とも絡みあっている

*作品内でガウディについては、カタルーニャ読みである「アントニ」となっているので倣ったてへぺろ

一般的な「アントニオ」読みは、カスティーリャ(スペイン)語とのコトだそうです

下村のには「サハラの薔薇」という、文字通りサハラ砂漠を舞台にしてスリラーもあり、ソチラに続くタイプの作品となっていて、今後もソッチ方面にも更に手を伸ばしていくかもしれないと思うと興味が湧いてくるウインク

今後も期待の「賞作家」Ⅱ | みかんjamのブログ

 

 

堂場瞬一 「バビロンの秘文字」(中公文庫・上下)

 

カメラマンの鷹見は、恋人の理香に会う為にストックホルムを訪れたのだが・・・眼前で理香の勤める国際言語研究所が爆破されたッ爆弾

現場から姿を消した理香には、研究所所有の未解読で太古の粘土板≪バビロン文書≫を持ち出し疑いが掛けられる

その後、鷹見は謎の襲撃者が迫害を始め、理香の行方を探す為と躱す為の逃亡が始まる

背後に蠢く大国の陰謀・4500年間にも及ぶある民族の悲願があり、鷹見を追い詰めるが、彼はある一人の天才日本人少女の元を訪れ、一緒に謎の文書の解読を謀るが・・・【預言の日』は刻々と近づいていたメラメラ

全世界を舞台にした壮大なスケールで歴史と民族を描く国際スリラー秘密

 

’16に中央公論社から刊行されたのを、’19の文庫化に際して上下巻にした、圧倒的なスケールと1100p OverのVolを誇る国際冒険アクションスリラー

も~散々、毎年毎年、数々の堂場をUpしてきているのでご存知かもしれないが、堂場のメインは「警察モノと始めとするミステリ」と「スポーツもの(断然モノが多いが)」。そして彼の出である「ジャーナルもの(新聞系がメイン)」となっている

モチロン、ソレら以外にも今回の様なスリラーもあるが、今回の様に舞台が海外・しかも1カ国だけでなく全世界を股にかけ・というのは珍しい・・・というか他には記憶にない

しかも冒頭できなりの爆破事件が発生し、怪し気で不穏な空気を纏った謎の集団による襲撃と、かなり派手なアクションシーンが展開されていて、コノ辺りは海外ミステリやハードボイルド・スリラー好きな堂場なので、フォーサイス辺りの影響があるのかも?もしくは目指したという部分があったのではないだろうか!?

今回の↑の下村のもそ~だが、やっぱり秘められた古代の文書(或いは文言)というのは、歴史的なロマンを感じるし感じさせられので、ストーリーが作りやすいし、盛り上がりもてんこ盛れるので、きっと書いていて楽しかっただろうなぁ~と思えてくる

でもその反面、資料集めと精査は大変だろうけどえーん

また今作での大きなテーマはタイトルにある様に「バビロン」であり、つまり「イラク」である

というコトは未だにずっっと混乱し混迷の地となっている紛争地を描くのは苦労も多かろうと思ったりもする

その辺りを解説で「ミステリーハンターの竹内海南江」さんが書いているウインク