佐々木譲 「闇の聖域」(角川文庫)
日露戦争に勝利したコトにより、租借地となった中国北東・ソ連南部の満州国は遼東半島の大連だが、不穏でキナ臭い空気感が漂っていた![]()
東京の警視庁から赴任してきた河村修平は着任早々、頸動脈を斬られた殺人事件に遭遇するが、その傷や手口が東京に遺してきた事件と瓜二つであるコトに疑惑を抱く
大連の波止場で独り、むせび泣く中村小夜は、「帰って来る」と約束した男を待っていたがソレが無惨に敗れた所だった・・![]()
が、その場で白人男性と知り合い、出会う度に徐々に謎多き青年に惹かれていくのだった
画家として生計を立てていたが、襲い来る病に不安を抱えていた小夜にとって、それは唯一とも言える希望の灯火だったのだが、頻発する殺人事件の容疑者として、ソノ青年・ルカが浮上していると知り驚愕する
開戦前夜の燻る満州を舞台に描く、警察サスペンスロマン![]()
ココ最近の読んだ佐々木モノというと、「日露戦争に敗北した後の統治下の東京での事件」を描いたシリーズなのだが、今作は史実通りに租借地となった大陸・大連での一連の殺人事件を追うという、時代と舞台は昔であるが王道とも言えるミステリである
警視庁を辞し、大陸へとやってきた河村はいきなり事件に遭遇するが、ソレが東京で解決しきれなかった事件と同様の手口なので驚くが、東京と大連との距離を考えると・・・
一方で、画家として暮らしながらも徐々に身体の機能が衰えていく難病の影に怯える中村小夜と、白系の青年ルカーシャとの出会い・邂逅・逢瀬などが描かれ、徐々に謎めいた青年に
を寄せる様が平行して描かれる
やがて連続殺人事件へとなり、容疑者としてルカの名前が挙がり、更に関東軍までが加わり、只でさえ一触即発状態で、今にも開戦の火蓋が落とされても不思議はない満州で、軍関係者と軍人が襲われる始末に・・・と、サスペンスは否が応でも盛り上がるッ
うぅ~ん・・・が、結末が個人的には頂けない・納得できない・面白くないのである![]()
えぇ~ッ
ソレがEdですかッ
となってしまう まぁ~解説によると佐々木自身もそ~いった展開を目指してコレから新しいフェーズを目論んでいるとのコトなのだが・・・
3/4程までは楽しんでいたんだけどなぁ~・・・ま、あくまでコレは個人の意見ですが、今後もソッチ系に行くのなら、私はPassするかもです![]()
今までの様なのなら喜んで買うし読むと思うけどネ
鮎川哲也 「ペトロフ事件 鬼貫警部事件簿」(光文社文庫)
満州の大連付近で射殺体で発見されたロシア人は、富豪として有名なイワン・ペトロフであった![]()
莫大な財産を持つ氏の死に3人・いや、彼らの恋人も含めると総勢6名の容疑者が浮かんだ
いずれも甥である、アントン・ニコライ・アレクサンドルである
しかし、彼ら6名にはそれぞれ鉄壁のアリバイが存在していたッ![]()
捜査を担当する貫警部は、持ち前の粘り強さを発揮し、執拗で丹念に調べを進める
警部の前に立ちふさがる満州鉄道の時刻表が語るトリックとは如何にッ![]()
日本の本格推理モノの祖の一人である鮎川の、衝撃の傑作
本書は’01の文庫化初版なのだが、モチロン真の意味での初版ではないのは当たり前
コレも例によって「BO」で購入・一時期、鮎川と土屋隆夫の両名の作品を「BO」で漁るコトを楽しみしていて、ソレで結構な数を集めたモノだ
今でも「積み」として本棚などに鎮座マシマシている![]()
構想と初書きは戦前で、「宝石」に発表されたのは戦後まもなくの頃という
その後「宝石」「光風社」「立風書房」~角川文庫・講談社などでも作品かされ、今回の光文社版は、講談社を元にしていると書いてあった
≪推理小説・ミステリ好きの端くれのコバ
≫にいる身だが、角川や講談社のが70年代の終わり~80年代初頭のコトであり、その頃はまだ自分で文庫を買う・というコトまで懐事情が許してなかった・まだ単に子供だったので、存在スラの知らずだし、その後はご存知の通り森村メインでいた為、師匠格である高木彬光には手を伸ばしたモノの、鮎川や土屋などには至らず・・・で、後年、こ~して接した訳である
鮎川の再評価・再脚光は、島田や綾辻・そして今作でエッセイを寄稿している二階堂らの動き・隆盛がものすごく大きい
彼らの「新本格」が呼び水となって、昔の良作に当たるのは気持ちが良く、私らも廉価で入手が容易になったコトは嬉しい![]()
イギリス古典推理の名作・クロフツの「樽」の影響は濃くはあるが、決して模倣ではないし、独自の色が濃く現れた名作で、針の穴を通す様な緻密な時刻表トリックは、今も人気だしフォロワーもあり、主に2時間ドラマでも取り上げれらている程だ![]()
森村などと並んで、まだ鮎川のはあるし土屋のもあるので、機会があれば関連でUpして行こうと思っている![]()

