松岡圭祐 「続シャーロック・ホームズ対伊藤博文」(角川文庫)
年齢も50の坂をとうに超え、自身の頭脳の冴えにも些かの疑義を感じ始めたシャーロック・ホームズは、ロンドンを離れサセックスの田舎で養蜂を営んでいた
再び妻帯し二人の子供にも恵まれたワトソンと、久し振りの再開を果たし旧交を温めていると、かつて親交が合った伊藤博文が韓国でテロリストに襲撃され死亡したとの知らせが入った
ロンドンに戻った所、伊藤の≪惜別の会≫への招待状が届き、遠く離れた極東の地へと再び、ワトソンと共に赴くコトを決意すると、ソコへ謎の美女が現れ古ぼけた仏像を手渡す
背面には【伊藤博文を殺した真犯人がいるッ】とのメッセージが彫られており・・・
前作で大いにファンを狂喜させた、ホームズ譚のパステーィシュの続編の登場
前作は、アメリカでの翻訳され大いに話題となり、「驚くべき才能」とまで称された松岡のホームズパステーィシュの続編が7年振りに書き下ろされた
今回は、自身の衰えを思い知らせれ自覚し、サセックスの片田舎へ隠居した身となったホームズと、新たな妻を娶り娘と息子を授かったワトソンが訪ねてくるトコから始まるのだが・・・そこへかつての「大空白時代」にで共に事件に巻き込まれた伊藤博文が暗殺されたッとの衝撃の報せが届き、老骨に鞭打って遥か極東の地へ向かい、相棒と共にアノ頃の冒険を・というのがストーリーなのだが
謎の美女に怪し気な仏像のメッセージ・到着したでは旧知である山県有朋・桂太郎などからの冷たいあしらい・ロシアやドイツなどの怪しげな動向・そして襲い掛かって来る正体不明の敵・・・
と、聖典に勝るとも・というか以上の謎とアクションが満載となっている
モチロン、作中には聖典からの引用や仄めかし、擽りが多くあり、ファンをより一層楽しませてくれる
書き下ろしながら書評家と、前作でも書いている今や日本のNo1シャーロキアンでもある作家の北原尚彦の解説も末尾を飾っているのも嬉しい
サスガにこのタイトルでの「続続」は難しいだろうが・・・ソコは松岡のコト
ルパン&明智小五郎のパステーィシュもあったりするので、ポアロorマープル・クイーン・ファイロヴァンス辺りと、金田一か神津とのコラボもの・なんていう企画モノがあったりするのでわと興味も楽しみも尽きない
「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」(講談社文庫)
ライヘンバッハの滝で、「犯罪界のナポレオン」ことジェームス・モリアーティ教授と共に滝つぼへ堕ちたシャーロック・ホームズだったが・・・
得意の<バリツ>を駆使し生き延びていた
所謂「大空白時代」であるッ
その間、チベットを巡り、遂に極東の地・日本へと辿り着いていた
かつてロンドンでの邂逅があり知己を得ていた伊藤博文の元、ホームズはその時発生していた大事件の謎を解き、国際社会へ参加し始めたばかりの新生・の助力をするコトとなった
聖典のあらゆる矛盾をも解消・解明・論証した驚異のホームズパステーィシュ
文庫書き下ろしの形で’17に刊行され、’19には翻訳され全米で発売・大いに話題となった作品
ホームズのパステーィシュものは、当然本国であるでも・本場である
でも盛んに刊行されており、中には「コナン・ドイル財団公認」となり、聖典扱いされている作品もある
正統派()なモノもあれば、自由な発想で時の偉人とのコラボを果たしているモノもあったりする
今作もそ~なのだが、じゃ誰と組ませると面白くなるのかがポイントで、日本では既に夏目漱石とコラボした作品が幾つかあったりする
で、松岡が選んだのが伊藤博文
初代総理大臣で、幕末には幕府には内緒で渡英した経験を持つ(「長州ファイブ」ですネ)彼なら、色々と想像の幅が広がり、物語を進め展開させる上でも大いに勝手がE~し、「大津事件」が起きるなど、国際的な問題も勃発しており、ソコにホームズが暗躍()できる余地があり、ただでさえ面白いのに、更により楽しませてくれる仕掛けとなっている
また、聖典内の大いなる矛盾の論証もしており、ソノ辺りは現在「eclitule」シリーズで文学界の謎を解きまわっている松岡ならではの筆の冴えを感じさせてくれる
*そのシリーズでも「ホームズもの」を取り扱ってるしネ
とココまで書いてて・・・
「アレコレって『関連』でUpしてなかったけ」と思ったのだが・・・
でもまぁ~ココまで書いたらしょ~がないっしょ このままでッ
と後、疑問なのは「続」が角川からなのが
最初は講談社だったのに・・・ココからの何冊も松岡出してるのに
ってか、コッチも角川が新装版で出してるし
ソノ辺りの「気生臭い駆け引き」があったりするのかな
まぁ~今、ほぼ毎月・と言っていい位なペースで角川から刊行してるし、他のトコから出てる気配も時間もない感じなのは、ナニかあるのかなぁ~
と邪推してしまったりしていますです・・・