佐々木譲 「降るがいい」(河出文庫)

 

都会の片隅で、日夜繰り返される日常の一コマカメラ

しかし、ソレは当人たちにとっては、決して忘れられぬ・消し去るコトの出来ない重要な出来事なのだ

突如、再就職の採用を断られた男・余命数か月ながら敢えて入籍した女

貸した金をアレコレ言い訳をして決して返さぬ元上司・ローマの街で昔、体験した不可思議な出来事を探す偶然出会った青年と老人・・・

人生のワンモーメントを、ソリッド且つビビッドにカッティングし、スリリングにプリントアウトした13ものストーリーをまとめた短編集キラキラ

 

 

と、↑の最後の紹介文では、自分でナニを書いてるのか訳が分かんなくなってしまったウシシ

佐々木は、も~言わず知れたベテラン作家で、警察モノを始めとするミステリ・太平洋戦争3部作などが人気の戦記モノ・北海道出身と言うコトもあって取り分け熱を込めて書いた歴史モノ・などなど、様々なジャンルを書き分け、しかもソノドレもが人気&評価を得ている

ココでも毎年、少なくとも1冊は読んでUpしているが、やはりドレもが面白く興奮させられている拍手 

まぁ~ホンとは「道警シリーズ」の続きも読みたいトコなんだけどネ

で今回は佐々木にして珍しい短編集で、しかもお得意のミステリではなく、サスペンスチックではあるモノの、基本的には日常に起きる・起きた出来事の1コマを切り取ってミステリアスに仕上げた作品集

一番古い作品で’15のモノで、新しいノでも’20に雑誌に掲載された作品に+2の書下ろしが加わって系13篇の物語が綴られている

佐々木程のベテランだと作品数も多いし、ソレなりに読んでいるのだが、「短編集」は実はコレが初めてで、「連作短編」形式の作品も↓のだけなんですよねぇ~

で、サブタイでも書いた様に、佐々木の持ち味ってやっぱり「長編で活きる」と思うんですよ

じっくりねっとりジワジワと迫りくる展開・語り口が、興奮と迫力を産むと思っている

そして今作でも、そして↓のにしても、個人的にはも1つ、しっくりとは来なかった・と言うのが正直な感想

今作も13も収められている割には300p程度のVolで、1篇50p前後だと、やっぱりチョっと物足りなさを感じてしまったショボーン

 

 

「廃墟に乞う」(文春文庫)

北海道警捜査本部所属の刑事・仙道孝司は、とある事件のトラウマにより、現在は休職中の立場だが、そ~した現状を知った道内各地の友人知人から、「個人的な問題」の相談を受け、「個人的な調査」を頼まれる

13年前に札幌で起きた殺人事件と、同様の手口で風俗嬢が殺害された

犯人から名指しで連絡を受けた仙道は、独り、産まれ故郷の旧炭鉱町へと向かう・・・

現職でありながら、私立探偵的な動きをする敏腕刑事が、道内の各地で起きる事件・揉め事に首を突っ込み、事件に新たな角度からの光と闇を見出していく

第142回下半期の直木賞に輝いたハードボイルドな連作短編集十字架

 

過去に二度同賞にノミネートされてはいるが受賞には至らなかったのだが、家業31年目にして遂に・となったのが今作で、コレは佐々木本人も語っているが「永年勤続功労者」的な意味合いが強かったらしいお祝い

で、実際に読んでみて「うぅ~ん・・・ま、佐々木の言う通りだね」と感じたのが正直な感想ショック

決して面白くない・と言うコトはなく、面白いし惹き込まれるのが、コレも正直に言えば「道警シリーズの1st」の方が、賞には相応しいんじゃないの!?とは思った

がソノ感想も1度目のモノで、後に結構後になって読み返してみた所、非常に面白く痺れてしまった星

最初は佐々木の「短編」と言うのが馴染みがなく、ドコとなしの違和感を感じたままで読み進めていったというのが原因かもしれない

休職中の敏腕刑事と言う設定が、警察モノでは実現しない「道内を自由に動き捜査(というか調査)をする」というのが面白いし、当然行く先々で厄介者扱いされ、実際に地元警察署を掻きまわすので、そりゃ~地元民からしたら頭来るでしょってなモンで、その辺りのいざこざも楽しいし、また普段知れない道内の地方ローカル色・または僻地(失礼ッウインク)の情景・情感も感じ取れるのが、佐々木の本作に於ける狙いであり、地元民ならではの強みを感じさせたOK

 

本作の単行本が’09で文庫化は’12