月村了衛 「奈落で踊れ」(朝日文庫)

 

『ノーパンすき焼き』

誌面を飾った大蔵省官僚摂待汚職事件のコノWordは、ナンとも破壊力に優れ、そして読んで知った国民の腰を砕かせるモノであった・・・ネガティブ

コレら一連の報道により、’98の1月・大蔵省には前代未聞の大嵐が吹き荒れ、誰もが皆、恐慌状態に陥ってしまった

東大法学部→キャリアへの道を進み、【官僚の中の官僚】と自他ともに認める大蔵官僚の若手4人組も例に漏れず、パンすき接待を享受しており、戦々恐々としていた

彼が救いを求めたのが、同期の中でも変人で通っていた文書課の香良洲圭一であった

変人であった故に、ソノ時期は地方に飛ばされており、一連のスキャンダルとは無縁の存在であったからだ雷

時期事務次官最有力の主計局局長・大物暴力団と総会屋・政治家が入り乱れ、権謀術策・魑魅魍魎が蠢く伏魔殿で、香良洲が放った強烈な一手とはそしてソレは成功するのかッ乙女のトキメキ

スリリングな攻防が展開される、官僚ピカレスク<ワル>浪漫ラブラブ

 

 

本当の炸裂Wordは「すき焼き」ではなく「しゃぶしゃぶ」だったのだが・・・

まぁ~ソレは置いといて(ドッチにしても御下劣破廉恥なコトには些かも変わりない)、実際にあった銀行・証券などの金融関係者が、主に大蔵省のキャリア官僚をメインに接待に用いた≪飲食店(ガーン)≫が「パンしゃぶ」であって、内容や名称も含めて聞いた我々は全員が腰砕けとなった・というかコレ程情けない想いをしたコトはなかったのではないだろうかショック

しかも接待した方も受けた方も、ドチラもが東大法学部or経済学部を出た、<超>が付くエリート様の本性が暴かれたのだから・・・

今作ではその後の、パニックに陥った大蔵省と、その周りで蠢き犇めく有象無象のヤカラ達の騒動をスリリングでスピーディに描いたサスペンスもの

また登場人物も創作なのだが、所々現実の出来事や人物が登場する為、よりリアリティが増すという仕組みになっているグッ

 

官僚もその周りのモノ達も、口では「国家国民の安寧の為」「国家百年の計」などとうそぶくが、結局は自分の保身しか考えておらず、終始右往左往し隙あらば他人を蹴落とし、自分が伸し上がるコトしか考えていないという姿が喝破されている

主人公は、抜群に頭脳は切れるが今までの常識・少なくとも官僚の世界での経験と因習が通じない・「大蔵省過去一の変人」の名を抱く香良洲圭一

彼の現在の・そして将来の地位・出世などには頓着しない姿勢が()E~

かと言って、正義の旗印を掲げた・などという清廉潔白ではない・というトコもピカレスク<ワル・悪漢>なトコにも痺れるキラキラ

そんな彼が一癖処か、何十癖もある強者どもと、丁々発止の攻防を繰り広げる所が面白い

 

500pを超えるVolの作だが、アッという間に読了してしまった

うぅ~ん・・・コレは年末の候補にInだなッOK

 

 

江波戸哲夫 「小説 大蔵省 財政再建極秘指令」(講談社文庫)

一般消費税の導入を掲げた大原内閣は、昭和54年10月の総選挙で大敗を喫した

そ~した情勢の中、赤坂にひっそりと佇む料亭≪なかの≫に集結した、数人の大蔵官僚は、誰にも知られずにこっそり謀議を巡らした

既に空っぽになった国庫を、どの様にして回復させるのかッ札束

頼りない政治家には期待できない 自分たちでナンとかするしかないのだ

膨れ上がる一方の防衛費・社会保障費・医療保険費・・・

α作業とははてなマークそしてオペレーションDとは一体!?

リアリティMaxなエコノミカルサスペンスの秀作

 

初版はかんき出版という所からS59に・文庫化は’87(S62)で、↑のは’93の4刷目のモノ

コノ頃はまだ経済モノには馴染みがなく、ようやく高杉のを読み始めた頃で、コノ時期一気にハマり、その流れで江波戸を知り、彼のも読み集めだした

で今回は同じ「大蔵省モノ」なのだが、コチラの方がまだかなり時期が早く、舞台は昭和50年代の中頃の話しで、コノ頃は「省エネ」が叫ばれ、高度経済成長が終わりを告げ、マイナス成長だとか景気後退が盛んに喧伝されていた

様に思う まぁ~ソノ頃は私は小学生だったのでよく分からないし、覚えているのはやたらと「教室の電気を消せッ」と言われてたのと、大平さんの「シャラみっともない省エネルック絶望」だけで・・・

なので作中で描かれる危機感とかは、ソレ程迫ってはこないのだが、↑の月村の比較すると同じ大蔵省を取り扱っていても、だいぶ違うのだなぁ~というコトで、まだコノ頃までは日本人って、やっぱまともで真面目だったんじゃなかろうかと言うコト

言い換えれば垢抜けない・グローバル化ってナニはてなマークという状態だったのかなと言う感じがする

 

江波戸は今作はまだデビュー間もない頃のなので、文章だとかストーリーの展開・キャラの造詣など、まだまだなトコは多かったのだが・・・

コノ後はしっかりと、高杉と共に「経済モノの中興の祖の一人」となって活躍を見せてくれた

また今作では、大蔵省の高級官僚の生態などが、実に詳細に描かれていたのだが・・・

江波戸も東大経済を出て、短いながらもM井銀行に勤めていた・という【超エリートキラキラ】だったので、情報を集めるのにソレ程の苦労はなかったのかもしれない

コレを読んだ官僚たちが、余りの詳しさ精度に驚愕した・という話しもあるというびっくり

 

 

 

*ウワっ・・・隣にいるのイチローじゃんゲッソリ

 

 

 

*昨日の試合については今回はスルーします

来週、キッチリと立て直して勝ってまた笑でUpします

というか・・・したいですナパンチ!