早見和真 「ザ・ロイヤルファミリー」(新潮文庫)

 

大手事務所に勤める税理士の栗須栄治だったが、父親が亡くなり呆然自失となっていた所、偶然出会った人材派遣会社『ロイヤル・ヒューマン』のワンマンオーナー・山王耕造の強引な物言いと、初めて購入した馬券が当たったコトに運命を感じ、秘書として働くコトにッ

事業もだが、ソレよりも≪名物馬主≫として有名な山王と共に、レース本番はモチロン、買い付けや調教にも同行し、競馬という熱に惹かれ【ロイヤル】の名を冠する馬たちと勝利を目指し、ゆくゆくは『冬の年末最大の祭典レース・有馬記念』での栄冠を夢見るが・・・馬

馬主一家と共に過ごした20年間にも及ぶ、壮大なロマンを紡ぐ叙情詩競馬物語音符

 

 

早見の作はココでも何作か取り上げたが、1作ごとにテーマも語り口もジャンルも違い、ソレでいてドノ作も人気を評価を得ている、今「ウケ」に入っている作家で、今作も山本周五郎賞を獲っている

ソレも納得の内容と出来で、競馬というギャンブルと言う欲に塗れた世界でありながらも、列記とした純粋なスポーツでもあり、長い歴史を誇る一大産業でもある

そ~した世界の表舞台だけでなく、裏も取り上げ丁寧に描き、更に世間の成功者の証しともいえる馬主の世界についても詳細に描写している点が拍手

また牧場などの生産者の苦悩・毎年産まれてくる選ばれしサラブレッドの中でも更に厳しい選抜を潜り抜けて来て尚、更にソコから超・の文字を抱くTop Horseへの茨の道も描き、騎手・調教師・マスコミ記者・そして市井のファンの姿なども漏らさず記し、そ~した世界を一マネージャーの眼を通して私達に知らせてくれるし、またソノ目線が優しいのがナンとも・・・なので、成程・周五郎の名に相応しい受賞作と言える傑作だったベル

 

個人的に競馬はやっていない競馬

正確には2度だけ馬券を買ったコトがある程度

大学生時代、住んでいた尞が後楽園の隣という超が付く程の高級住宅街だったので近くて便利だった為、日曜の朝には、原チャでひとっ走りして前夜からの予想に沿った買いを、友人らがしていた

*土曜の夜は徹夜で麻雀して、ソノ流れで・と言う感じで、帰ってきてから一眠りしてメインが始まる3時頃に起き出して、(昼)飯を食いながら結果をTVで確認する・という感じだったニヤリ

で付き合いで購入した馬券がビギナーズで当たり、500円→7500円になったニコニコ

が、ハマるコトはなく、も1回は年末の有馬で買った程度でコチラは見事に外れた

因みにその「かったレース」と言うのが↓の 今も名前だけは憶えてる

 

 

 

阿佐田哲也 「麻雀放浪記(一)青春編」(角川文庫)

 

長く辛く厳しい戦争がようやくと終わりを告げた、昭和20年9月の上野

勤労動員から解放された哲は、工場で一緒に働いていた虎を再開を果たし、流れでそのままチンチロリンの鉄火場へと辿り着くサイコロ

素人ながら・だからこそのツキに恵まれた哲はその夜、大勝ちする札束

ココから≪坊や哲≫の博打人生が始まったッメラメラ

出目徳・上州虎・女衒の達・チン六・まゆみ・ママ・・・そしてドサ健

生き馬の目をくりぬき、生き血を啜る勝負の世界を描く、ピカレスク娯楽浪漫

 

確かに麻雀を知らないと、コノ世界を作品を充分には楽しめないかもしれない

が、ソレでも無頼の生き様を徹底的にRealに描き切った今作と、後に続くシリーズ・阿佐田の他作・そして以後拡大再生産され続けたギャンブルエンターテインメント作の祖がコレで、ソノ意義・いや、そんな堅苦しい言い方でなく、面白さは今も全く色褪せるコトはないという大傑作なのだ

戦後焼け野原の中に放り出された一人の少年が、博打の世界で熾烈過酷な世界を戦い抜くというハードボイルドの世界は、痺れる程()E~のだ流れ星

「この世界にはね、ボスと手下と・・・そして敵しかいないのよッ」(ママ)

「そ~ゆ~ヤツは、人間を亡くすんでしょうナ」(達)

「上野に健さんと言う、勇ましい博打うちがいるっていう話しだったが・・・そいつがそ~抜かしたんだな インチキだから払えねぇってなッ」(出目徳)

「死んだ奴は負けだ 負けた奴は裸にならなきゃいけねぇ ソレが決まりだ」(ドサ健)

 

上の文庫本はH4の29刷目のモノ 角川の初版はS54 最初は「週刊大衆」で連載されており、初出は双葉社から刊行されていたと記憶している

が現在は角川からのみシリーズ全4巻が刊行されている

ホンとは、昭和の終わり頃に買っているのだが『借りパクネガティブ』されてしまったので新たに買い直しモノ

 

出来れば、コノ世界観に一度浸ってほしい

 

ソレには映像作品が一番で、実にコノ世界観を現している

イラストレーターで、原作者の阿佐田とも親交があった和田誠が脚本・演出・そして初の監督として世に送りだしたのが↑の

で、隣のはシナリオ版の文庫(*昭和59年の11月 神保町の古本屋で偶然見つけ、即購入した1品で、今となるとかなり貴重だと思う)

映画の方は、も~何度観たか覚えてない程観てて、ソラで全シーン・全台詞を言える位

*ソレはチョッと大袈裟 でも殆ど覚えてはいるウインク

映画は、高校生の時にTVで観た

その1年後に大学生となり、ビデオデッキをバイトして購入したのだが、初めてレンタルしたのが「麻雀放浪記」*一緒にH関係のも借りたけどドキドキ

後に寮生の仲間がデッキを購入すると、ダビングするコトが可能になり、再度レンタルして所持していて、ソコで多分20回以上は観てる

で今はDVDを持ってるので、ソコで何度も観てるので、もしかしたら3桁くらいは観てるかもしれない

 

も~コノ予告編からして、サイコーなんですよネラブ