吉川英梨 「新宿特別区警察署 Lの捜査官」(角川文庫)

 

東洋一の歓楽街・新宿歌舞伎町とソノ界隈(二丁目と三丁目)を管轄とする特別区扱いの警察署は、該当エリアの形状から『新宿L署』と呼ばれる

新警部となった新井琴音は、幹部として当署に初日に赴任する朝、息子がインフルに罹った為、いきなりの遅刻をするトコとなると・・・着任早々、ホテル内で猟奇的な殺人事件が発生

捜査を進める中、続いて無差別殺傷事件までが起き、イキナリ渦中に放り込まれるメラメラ

しかも、特別捜査本部には警視庁の捜査1課が投入され、ソコには警部補の夫・敦がいた魂が抜ける

てんてこ舞いの琴音を更に悩ますのは、真っ赤なジャージ&革ブーツ(しかもハイヒール)で、タメグチで語りかけれてくる巡査部長の堂原六花の存在だったスター

≪レズビアン≫を公言する六花と、てんやわんやの琴音がコンビとなって欲望の街を駆けずりまわる、異色の警察ミステリ虹

 

 

昨年の『MVB』に選ばれた(と言うか選んだ)吉川の新作

やはり主人公は女性なのだが、経歴も立場も、そしてセクシャリティも違う二人が対立しながらも、ソレでもお互いを尊重しあいながら、ソコに至るまで衝突しながらも、事件の解決を目指し転がりまわる警察バディものとなっている

特にタイトルにもある≪レズビアン≫を公言している六花が頼もしい拍手

更に、管轄が歌舞伎町を中心とする歓楽街であり、LGBT+Qの人達が闊歩し、それぞの欲求を解放・発散させに来ている為、拗れた案件が多く、更にカミングアウトしていない人がほぼなので、捜査自体が捗らないというジレンマ迄抱えるコトになる

そ~なると、新警部として幹部となった琴音の苦悩も益々増えるコトとなり、ソノ悪戦苦闘っぷりも輪をかけて混乱を招くトコとなるネガティブ

加えて家庭のコトもある 愛する一人息子のコト・階級を追い越してしまった同業の・更にエリート集団である捜1の刑事である夫との齟齬・妻であり嫁であり女であるコトへの周囲の無理解と偏見が彼女を苦しめる

頼りになるのは六花の存在なのだが・・・飄々とはしているモノの、ならではの無理解&偏見を常について回るし、理解を示してくれるのは同様の苦しみを持っているマイノリティの人達だけ泣くうさぎ

そ~した苦悩を抱えながら複雑な事件に奔走する二人の姿に、思わずエールを贈りたくなってくる・そんな物語だった飛び出すハート

 


 

森村誠一 「駅」(角川文庫)

多種多様な人々が行き交う巨大ターミナル駅(ステーション)・新宿

故に大小様々の事件が発生し、常に喧騒に包まれている・・・

歌舞伎町のメインから少し外れた公園内で、中年の浮浪者が三人の無軌道で無鉄砲な少年らに襲われ、嬲り殺されたドクロ

3日後、少年らは逮捕され少年鑑別所へ搬送され、事件は解決をみた・かに思われた

が、ソレは残虐な連続殺人事件の序章(プレリュード)に過ぎなかったッ爆弾

1年後、被害者となった浮浪者と知り合いの少女が殺され、更にソノ1年後、加害少年の一人が事故死をした

客死した息子の悲しみを抱え乗り越え、捜査に没頭する新宿署刑事・牛尾の活躍を描くシリーズの第1作目乙女のトキメキ

 

最初は’90に集英社文庫として刊行され、↑の角川で文庫化されたのが’95の時

で、ココで森村は「あとがき」に於いて、

「『駅』をモチーフにした物語・ミステリを書いてみたかった ならば場所は新宿以外にはないだろう」と語っている

現在もだが、新宿には特有の空気感があり、雑多で騒擾感があり、不安定に蠢いているのはエス二カルな匂いがあるからで、ソレを物語を綴る上で・特にミステリを紡ぐには最適な街ではなかろうか・と言い、そしてソレはその通りで過去にも現在にも新宿を舞台にした作品は、もしかしたら最も多いのかもしれない!

そんな空気感を背負って捜査をするのは、一刑事の牛尾

彼には未だに拭いきれない悲しみに包まれており、ソレを払拭するかの如く、邁進している

ソノ辺りの背景は、森村の一番のメインキャラである棟居弘一良と彷彿とさせる

まぁ~コレは森村特有の「暗さ」であり「闇」であり、ソレは以前にも紹介したが、氏の幼少期の体験・トラウマが背景にあり、持って生まれた個性と言うべきモノだろう

ソレが平成と新しい時代になっても、変わらず生き続けている

 

ご存知の方・TVを見ていた方も多かろうと思うこのシリーズ

土ワイで不定期放送されていたのだが・・・残念ながら私は殆ど観ていない

森村を熱心に読んでいた中~高校生の頃はドラマ化されるたびに楽しみにしていたのだが、原作からドンX2とかけ離れてしまうにつれ、ジョジョにFade Outしてしまっていた

シリーズの1~4作目までは「山さん」が主演していたのだが、鶴ちゃんになってからはトンとで・・・

決して彼が悪いって訳じゃないんですけどネウインク

 

 

↑にある様に、つい先年 Finalを迎えた様ですネニヤリ

まぁ~観てないんですけどネてへぺろ