貫井徳郎 「悪の芽」(角川文庫)

 

湾岸地区にある大規模会場で開催されたアニメファンの為の祭典「アニコン」

ふらりと現れた中年男性は、いきなり火炎瓶を取り出し近くの群衆に放り投げ、駆けつけた警備員2名を刺殺し、最後は自分に火を放ち自死を遂げたメラメラ

痛ましく哀しい事件ではあったが、コレも日々流されるニュースの1つに過ぎなかった

しかし、犯人の名前に覚えがあった安達は、ソレが小学校の同級生で、しかも今回の事件の遠因となってのではと疑われる『苛め』の発端が自分にあったコトを思い出すドクロ

イジメから引きこもりとなり、その後の人生設計に失敗した男・斎木に比べ、自分は一流高校~大学へと進み、現在は大手銀行で順調にエリートコースを歩んでいた

自分の遠い【過去の罪】に苛まれた安達は、コノ凶行の原点を探すべく、斎木の人生を辿り始めるが、果てに見えたモノは壮絶な怒りと絶望だったッ

誰の心にもあるであろう「小さな悪意」に迫る、衝撃のミステリ炎

 

 

貫井の作品をUpするのは久し振りとなるが、相変わらずの「エグ味」が全編に染みこんでいて、読了後には爽快感とかサッパリした感覚などとは無縁な気持ちになる泣

が、ソレは決して拒否感を抱かせるようなモノではなく、快感な訳ではないが胸に響く・痺れる様な味わいがある

その為、個人的には全部コンプリして読むには辛いが、でも忘れた頃にはまたも~一度・となる癖強めの作風だと思う

ミステリの範疇ではあるが、決して犯人が・や、トリックが・ではなく、動機面がメインに描かれ、ソノ根底には今作にも通じるが「小さな・意図しない悪意」による悪戯・反響・連鎖により起きた事件と、ソレに振り回され巻き込まれた家族の悲劇を綴っている

なので、ど~しても雰囲気はDarkメ・というか救いがない様な哀しみに包まれてしまう

そうした中で如何にドコに救いを求めるのかど~したら救われるのかがテーマとなっていると感じる

今作でも、安達の子供心ながらのチョッとした切っ掛けが、今回の悲惨な事件の要因になったのではと悩み、事件の大きさから安達の心が壊れていく様が描かれており、人間の弱さ・脆さが現実感を以って迫って来る

そ~した面でも、非常に怖い作品であったゲッソリ

だって、誰にも「イジメ」をしたコトも・されたコトも大小問わず無関係の人なぞ、いないのだからショボーン

 

 

「乱反射」(朝日文庫)

地方都市に住む幼児が巻き込まれた事件は、悲惨な結末を迎えてしまった・・・絶望

新聞記者である父親は、原因の真相を掴む為に犯人を・事件を・そして動機を追及する

やがて彼が突き止めたモノは、誰にでも心当たりのある、些細な罪の連鎖であった

決して故意ではなく、悪意すらもないかもしれない・しかし齎されて結果は最悪であり、コレは決して罪は問えない「殺人」であったッムキー

遺された遺族に残されたのは沈黙だけなのか・・・

第63回日本推理作家協会賞を受賞した、心を貫く貫井の代表作

 

単行本は’09で、文庫化は’11になるが、コレは’13の4刷目のモノ

貫井作は、デビュー作の「慟哭」を読んでいて、コレが彼のは2冊目の作品

ソレもそ~だし、今作もで、↑の新作も同テイストの作品で、事件そのものに焦点を当てるのではなく、被害者遺族であったり加害者家族の内面にフォーカスするコトにより、哀しみと怒りを読むコチラ側に訴えてくるのだが、臨場感があるのでより迫りくるのと、他人事・自分とは違う世界ニュースではあるが、いつ何時自分のコトとなるかもしれない・という身近な恐怖がRealな為、コチラの心内に染みるしある種の共感を得ているのではないだろうか

こ~した作風な為、↑でも書いたが毎回毎作読むと、コチラの神経がヤラレル様な気がしてくるのだ なので貫井作を読む際は、ある種の覚悟が必要だったりする

また、彼の前後に読むのは逆の爽やか系とかミステリにしてもホンワカ系のとか、ハートウォーミングなエンタメにして、「心の均衡」を整えたいなどと思っているドキドキ

 

作者の貫井は’68生まれなので、私の1コ↓となるし、W大S学部卒という経歴

と言うコトは・・・ドコかで私で会ってても・すれ違ってても不思議はないと言うコト音譜

何故なら 私も大学入学の為に上京していたし、近所に4年間住んでいたし、同大の同学部の友人らもいたのだから

と勝手で一方的なシンパシーを持ってたりしてにやり