奥田英朗 「コロナと潜水服」(光文社文庫)

 

妻の浮気が判明し、怒り心頭に発した作家の村上は、葉山に残る豪奢な別荘にひと夏の間、独りで移るコトとなったが・・・

早期退社を促す会社に対して、家族の為にも今辞める訳にはいかない中高年社員が警備員として配属された倉庫には、何故かボクシングがあって・・・

期待のドラ1も怪我で存在自体が危うくなってきたプロ野球選手の彼が、突如開眼し打撃絶好調でいつの間にかになり、学生時代から付き合ってきた私は・・・

コロナの蔓延により、パンデミック→緊急外出自粛の波は遂に我が家にまで押し寄せてきたが、5歳の息子には、ソノ危険なウィルスが見えるようで・・・

都内で経営する小さな広告会社もナンとか軌道に乗り、自分へご褒美として、若いコトに憧れていたフィアットパンダを購入、引き取りに新潟へ向かうと・・・

細やかな奇跡が起きる、市井の人々の普通の人生を語るラブラブウォーキングな短編集スター

 

 

と今作では上記の5編からなる、チョッとマジカルでファンタスティックな短編集で、どのエピにも不可思議なファンタジックな出来事が描かれ、人生に疲れ悩み惑わっている人達が登場するガーン

その主人公たちも、本当に普通の人々で、ナンら特別なトコもなければ格段に不幸だとか、波乱万丈な問題が山積してる訳でもないというのが上差し

*まぁ~3話目の「占い師」の麻衣子だけはチョッと『上から目線』のコだけど

↑のサブタイトルでも書いたが、奥田の作品には大まかに言って2通りの作風があり、非常にHard&Darkで、硬派なサスペンスものがあり、代表作で言えば「オリンピックの身代金」や「罪の轍」などがあるし、一躍ソノ名を知られる様になった大藪春彦賞を獲った「邪魔」なども、そ~言った類の作品

一方で、今作のようなWarm&Softlyな作品がある 代表的なので言えば柴田錬三郎賞作となった「家日和」や↓のなどがある

後はエッセイか、或いはもっとユーモラスに富み振り切った直木賞作の「伊良部」シリーズなどがある

個人的に言えば、ドチラがど~ではなく、ドチラの作風の作品も好き・つまり簡単に言えば奥田のファンである・というコトになるニコ

今回のはドレもほんわかムードのモノが集められており、肩に力を籠めずにスルフワっと読み進められるし、読後感も爽やかで穏やかになれるグラサンハート

 

 

「向田理髪店」(光文社文庫)

かつては炭鉱の町として栄え、通りには人がひしめき合い活気に溢れていた我が町・北海道苫沢町も、閉山後人々は去り、寂れ高齢化が進む一方となっている

そんな町で理髪店を営む向田康彦だが、札幌で働く息子が突然「会社を辞めて店を継ぐ」と宣言するが戸惑いは隠せず・・・汗うさぎ

その他5編の、過疎スピードがMaxで急加速中の萎れた町に起きる、大小様々な出来事を淡々と・でも哀愁とユーモアを交えて描く連作短編集

 

今作は’18の年末に文庫化された作品で、既にコノ頃には奥田は直木賞を獲り、作品が映像化されるなどする人気作家の一人となっていた時期虹

そんなある意味「派手な」時期で、元は東京でバブルの頃には広告代理店に勤務するという、イケイケな生活を送って来た筈の(*当然コレは未確認で勝手な想像爆  笑)男ならハメを外して騒ぎたいトコだろうが、一見こ~した地味で冴えないオジサンを主人公にし、舞台も明確に想像ができる破綻した某U張市をしたトコがグッ

ソノ辺りが「二面性」のE~面が出たのではと思う

読んでいて舞台が淋しいトコなので切なさもあるのだが、ソレでもが暖まるホッと一息つける感じが安心できるし面白い音譜

 

昨年末から今年に入って、暗めで重めの作品が多かったので、こ~した味わいので私も読書Mindも一旦Resetしないとネウインク