麻見和史 「賢者の棘 警視庁殺人分析班」(講談社文庫)
捜査1課の猛烈刑事だった父・如月功の娘・塔子も今や本庁の捜査1課の捜査11係に欠かせないメンバーとなっていた
しかし13年も前から不定期に、父への恨みが綴られた脅迫状が届いており、亡くなった功に変わり、母の厚子や塔子にまで危害を加えようとする内容へと変化していった
母の身を案じた塔子は、同じ11係で先輩指導員の鷹野と共に調査を開始した途端、『ワイズマン=賢者』を名乗る者から警察への挑戦状が届けられ、残酷な生死を問われるゲームに塔子を参加させるように要求をした
次々と拷問の如く被害者を虐げるワイズマンと、塔子と<無敵のイレブン>の異名をとる11係との対決が始まったッ
過去との確執と交錯に対峙する、健気なヒロインとの熾烈な攻防を描いた、人気シリーズ第13弾
昨年は塔子とコンビを組む鷹野のスピンオフ2作だけとなった今シリーズだが、元気にまた元通りに戻ってきてくれた13弾は、Op~不穏な空気が漂いつつも、塔子ファンからすると「はッもしかして・・・もしかするのかッ」というシーンがありの始まりなのだが、直ぐに元通りの・いつも通りのストーリーが展開される
特に塔子・というよりは既に亡き父の・捜査1課でバリX2活躍していた功の過去と現在が交わり、更には塔子が臨場し関係した過去の事件との関連性が見えるなど、伏線も張られた内容となっている
モチロン、コレ迄通りのハラドキのスピーディーな展開・異常な犯罪現場にシリアルキラー
・どんでん返しに意外な犯人と、テイストは些かも損なわれていないし、なんならパワーアップしている様にも感じる
シリーズもココまで長く続くとパターン化し中弛みしてしまうのだが、ソコは作者も当然承知していて、新たな趣向を組み込もうとしているし、ソレでいながらコチラ側の期待も裏切らない【御馴染みの大好きな展開】も備えているのがナンとも
とまで書くのはファンの欲目・かもしれないが・・・今作も充分に堪能させてもらった
既に次作の14も出ているし、更にソノ次の15もノヴェルスの方が刊行されている
なのでまだX2,コレからもたっぷりと楽しませて貰えそうで嬉しい
「聖者の凶数」(講談社文庫)
顔面と両腕が損壊された遺体が発見され、現場には遺体の腹に記された謎の数字と『狩りの守護聖人』が残されていた
連続殺人事件への予測をした、新人女性刑事の如月塔子と指導官役の鷹野ら、本庁捜査1課11係・通称<無敵のイレブン>のメンバー達は懸命に捜査を始める
しかしソレを嘲笑うかの様に第二の事件が起きてしまい、またしても現場には同様に記された数字があった
果たして数字が意味するものはナニか 警察への挑戦なのかッ 塔子らは威信と正義を背負い謎と犯人を追うが・・・
哀しみと哀れみに覆われた驚愕の真相に震える、益々好調なシリーズ#5
文庫化されたのは’16のコトで、コノ前年の夏にドラマ化されており、人気に拍車が掛かった時期となる
実際にシリーズも5作目ともなるとストーリー展開は基より、各々のキャラも建ち始め、読み手のコチラ側も把握しやすくなりより感情移入しやすくなってくる頃
つまり、も~途中で止めるコトなぞ出来ない、Point Of No Returnへと辿り着いたコトを意味している
そして今作は今まで以上により強烈かつ奇天烈な現場シチュエーションが提示され、謎も一層深まっている
その謎も遺体に直接記された数字と、残された不気味なタロットカードと、ある意味王道とも言える始まりとなっているし、当然こ~なったからには連続殺人とならなければならないし、狂気の犯行を重ねる犯人と、全力で阻止しようとする警察=塔子達の躍動がスリリングで堪らない
そしてちょっぴりヤキモキする塔子を巡るの展開もココら辺りから、しっかりとチョッと描かれる様になり、最終的にドチラが・あるいは突如現れた新星の別の誰かが塔子をGetするのかといったシリーズならではの楽しみも待っている
まぁ~朴念仁の鷹野と、奥手・というか今は仕事・事件のコトで頭がパンX2になっている鈍感な塔子の模様も、も~二人の親的な年齢になっている私としては、「親戚のオジサン」感覚で気になって仕方がないのでR