翔田寛 「知能犯」(角川文庫)

 

西船橋駅付近で発生した傷害致死事件に、帰宅途中に遭遇した船橋署の捜1刑事の三宅は現場で現行犯を逮捕したが、犯人は護送中のパトカー内で急死してしまう

「被疑者死亡」で送検して一件落着となる為、香山らメンバーは裏付け捜査を始めるが、徐々に小さな齟齬・矛盾が噴出してきた??

事件の背後に疑問を抱き、細かな捜査により集められた小さな事実に、背後に不審な男の影が浮上し、やがてソレは大きな疑惑にとって代わっていったッ波

歪んだ悪意が隠された犯人へ、香山らは少しずつ迫っていく

所轄の刑事たちの執念の捜査が光る、珠玉の人気長編推理小説シリーズルンルン

 

 

大体「年1」で書き下ろされるシリーズの4作目で、千葉の船橋署の捜査1課刑事・香山を始めとするメンバー達の推理・活躍を描いている

例えば警視庁の華の捜1とか、県警の捜1とかの華やかではないが、地元所轄の刑事らが主人公なので、派手な大捕り物とかではなく、一見地味で冴えない事件や捜査を担当するのだが、ソコから埋もれた・隠された事実や犯罪を暴きだす姿は、『コレこそが本来の刑事』なのでははてなマークと思わされる

モチロン、派手な事件→爽快な捕り物アクション→華々しい推理といった警察モノも面白いし、ダイナミックなので爽快感があったりはするが、コレはコレでじっくりジワジワと追い詰めいてく感が、スリルを味合わせてくれる音譜

ただ・・・今作で言えば、も~チョッとVolが欲しかったかなぁ~ 300P未満だ少し物足りない感じ

主人公は中年の巡査部長である香山なのだが、ソノ班のメンバー達も個性があり、作中でソレらが描かれたりするし、サブメイン(ナンだそりゃ爆笑)で語られたりもして興味が湧き面白くなるので、今後もシリーズは続いていくので、そ~いった面でも楽しみにしたいと思っているラブ

 

 

森村誠一 「凶水系」(角川文庫)

埼玉の熊谷市内を流れる荒川に流れ着いた男の変死体が発見された

被害者は上流に掛かる八高線の鉄橋で、通行中の列車から投げ落とされたモノと判明した

数日後、群馬県高崎市内のマンションから、中年の不動産業者が謎の転落死をしたドクロ

一見、「墜落死」という以外の共通項はなく、管轄も違うコトからそれぞれの捜査が始められたが、調査が進む内に徐々に関連性が見つかるようになり、執念の捜査の末に一人の容疑者の存在が浮上したッ

・・・しかし、その時には既にソノ容疑者は忽然と姿を消していたッDASH!

名もなき刑事たちの地道な活動が大きな疑惑に繋がる、社会派本格長編推理キラキラ

 

と、またもココで森村の登場で、2回連続だし、3個前のトコでも関連でUpしたが、こ~やって関連で紹介していくと、ソノ作者の過去作とかシリーズを全部挙げてしまってたりするし、あっても在庫の森の奥底に潜んでいて発掘できなかったりする

ソノ点、推理小説なら色んなジャンルの作品でも森村のなら関連付けられるし、ナニより一か所に纏めて<棚>してるので、探すのも楽チンなんですワOK

ただ、以前コノ翔田のこのシリーズをUpした際にも書いたのだが、彼の作品には【森村臭】が漂ってるんですよねぇ~

S30年代後半から清張が築いた所謂『社会派推理』は、地味な事件に地味な捜査を地味な刑事が関わる・という派手な要素はないが、ソレでいてジワジワと迫りくる緊迫感とリアリティが受け、ソレはS4~60年代まで続いた

ソノ流れを最も色濃く受け継いだのが森村だと思っていて、更にその嫡流にいるのが翔田のなのかなと思っている

今作の文庫化は1刷がS52で、↑のはS58の16刷(!!)のモノ

流行りの流れが急速な現代では、ココまで版を重ねるのは余程のベストセラーだけだが、コノ頃は多くの人が本を買い読んでいて、特に「推理小説」(敢えて「ミステリ」とは呼ばないニヤリ)は一大潮流だったので、6年間で何度も刷られていたのだろう

S58なら私は高3の時・やはり近所の書店で平台と棚を眺め

「あぁ~今月は新刊が出ないのかぁ~・・・うぅ~ん、ならコレにするかッ」

と抜き出した1冊

その約30年後「聖地巡礼」で熊谷市を訪れた際、ナニもないただの荒川の土手にわざわざ寄り、ソノ流れを眺めコノ作品を思い出すコトになろうとわッネお願い

 

 

本当は、↓の作品を関連でUpしたかったのだが・・・

原作が徳間文庫なんですよねぇ~

基本、森村のは角川系で揃えてるので、出てるのすら知らなかった・というのはファンとしてはナンとも・ですワ汗うさぎ

彼は↑の「○○犯」シリーズでも香山を演じていて、実は両者に所縁があるんですよネにやり