伊岡瞬 「残像」(角川文庫)
浪人生の堀部一平は、同じバイト生で倒れてしまった老年の葛城に付き添い自宅まで送っていったのだが、ソコは今にも崩れ落ちそうな寂れたアパートだった
ソコで生活を共にする晴子・夏樹・多恵という年齢もバラバラな3人の女性と、小学生の冬馬と出会う
不思議な関係性の5人に戸惑いながらも、ドコか心地良さと年齢の近い夏樹に
を感じ付き合いを始めるが、やがて冬馬から彼女ら3人全員に前科があると知らされるッ![]()
大物与党政治家の一人息子で跡取りである吉井恭一は、現在は会社員をしているが自堕落な性格と生活は変わらず、怠惰な毎日を過ごしていたが、ある日から度々送られてくる写真に悩まされていた![]()
何故ならソコには恭一のトラウマと過去の罪を問うモノが写されていたからだった
過去を隠し世間の波を避けながら寄せ合って彼女達の目的とは一体ッ![]()
怪しく秘かに蠢く陰謀がスリルを呼びこむサスペンスノワール![]()
作者の伊岡と言えば、も~コレは「イヤミス」と=と言っても過言ではない程、後味というか展開というか、灰汁が非常~に強い作風で有名&人気![]()
だが今作はそ~した面が少~しだけ薄まっており、少し楽し気なエンタメな雰囲気も漂わせている
一方で、持ち味もモチロン活かされていて、嫌ぁ~なシーンもたっぷりと描かれているのだが、以前作ではある意味「ソレのみ」的な感じがあり、読者を選ぶ傾向があった様に思う
実際私も、ソノ灰汁にヤラレ気味で最初に読んだ彼の「代償」の毒気にあたり、暫くの間敬遠していた
公務員で堅物の父親への反発・同級生で友達でバイト仲間だが現役で合格しバンドを組み彼女までGetした陽介との対比・過去が分からず不穏な空気感があるもののナンだか楽し気なおんぼろアパートの女性陣との交友・と、伊岡らしからぬ(
)エンタメ性が発揮されて、とても楽しい仕上がりとなっている![]()
今後ドチラ方面へ進むのか分からないが、持ち味は保持しながらもまた、コチラを楽しませてほしいと思わせてくれた![]()
ヒキタクニオ 「野良猫たちの午後」(光文社文庫)
アンナ・ヨーコ・ノアの3人が営む神宮前情報社に転がり込んできた伝説のブツ【ウドブノ】
飲めばどんな願い事も叶うという曰く付きのDrinkだ![]()
3人は、元々はロシアの売人から5千万で購入予定だったヤクザと丁々発止のやり取り・攻防を繰り広げながら横取りを目論む
元刑事の絵図師・ロシアの殺し屋チョルトまでが参戦し、ウドブノを巡る大争奪戦が始まったッ
果たして強烈な敵に囲まれた神宮前情報社に勝利は訪れるのかッ![]()
ひりつく緊張感が漂う、ヒキタWorldMaxのコンゲームサスペンス
ヒキタはココで何度かUpしているが、デビューから暫くは緊迫した展開が描かれるサスペンスフルで、ドコか世間との認識とはズレがある世界観を特徴とした作家だった
が、ある時から、とても穏やかなのんびりとした長閑な世界を描いた作品も描く様になった
まぁ~ソレは、諦めていた自分の子供を授かるという幸せを得たからだろう
斬った張ったのギリギリの世界に、クリエイターとしてセンスを試されるシビアな業界に身を置いていていた為、ひりつく様な感覚がずっと抜けなかったのだと思う
が、ある日人並の家庭が自分にも齎された・というコトで感覚も変わったのではないだろうか![]()
小説というエンタメの世界に於いてソレがE~コトなのか堕落なのかは分からないが、個人的にはドチラのヒキタの世界観は好きなので、今後もソノ尖ったセンスで作品を刊行していってもらいたい
最近は子育てに忙しいのか
あんまり出てないんでネ・・・
で今作に至っては、ソノ両方の感性・感覚が活かされており、ピリX2とした緊張感がアリながらも、ドコかユーモラスな雰囲気が全編に漂っていて、ヒキタのある種の癖みたいなモノが薄まっていて、誰にでも喜ばれる作品となっている様に感じていた![]()
単行本は’15で、タイトルを変えて文庫化したのは翌’16

