吉川英梨 「悪い女 藤堂伶花、仮面の日々」(朝日文庫)

 

一目を惹かずにはいられない類まれなる美貌に、抜群のプロポーションを誇り、誰もが羨む高級住宅地に住むセレブママの藤堂伶花

産まれたばかりの次女をあやしながら、長女を幼稚園に送り、その後はゲート内のお洒落な店でママ友とランチする・・・という優雅な毎日を過ごすキラキラ

お嬢様女学園ではミスに選ばれ読モをしていた・という輝かしい経歴を誇るのだが、ソレは偽りの仮面でしかなかった

あらゆる点に恵まれた人生でありながら、常に偽りの日々を送っていた彼女は、ソノ栄光の高校時代から教師との倫ならぬ関係を持っていたのだが、ソレは暴かれようとしていた

そして遂に敷地内で殺人事件が発生するッ炎

爛れた現在と過去が行き来する、とある女の生き様を描くダークミステリ

 

 

ふぅ~今年になってから何冊目だっけという吉川の作品で、ミステリというよりもノワールサスペンス風味の方が強く、そして作者ならではのダークさがより輝きを増している汗うさぎ

一見誰もが憧れる羨む日々を送りながら、表面もそして裏でも様々な感情の炎が・特に嫉妬が蠢く怪しい黒いメラメラが燃え盛っている、ゲートで囲まれた都心の一等地で過ごすセレブ妻たちの模様が、コレでもかッと言う程の筆致で卑しく描かれている

ソノ中でも最も目立つ存在なのが、『女』としてある意味完璧な藤堂伶花であるが、華麗過ぎる経歴が徐々に、瑕も見えない仮面が剝がされていく様子は読んでいて怖さを覚える

そして明らかになっていく過去の行状の凄まじさにまた戦慄を覚える魂が抜ける

こ~までして「業」が深く暗いのか・・・となってしまう

こ~した作品を読むたびに、ホンと私は独り身で良かった・などと胸を撫で下ろしてしまう

ミステリではあるが、正直、謎の部分はソレ程重要でない・というかトリックに重きは置いておらず、とにかくソノ「凄まじさ」に震え怯えながら楽しむ(ウインク)仕上がりとなっている

今作は初版ではあるが、元は’14に違うタイトルで刊行されているらしく、大幅な加筆修正が施されているとのコト 

ソノ頃はまだデビュー間もない時期で、多分作家として充分に様々な面で確立してはいなかったのだろう・・・となると、現在は人気作家として充足している今、ドレ程違うのか!?

原本と比較してみたくはなる 

*実際は旅行に出る直前に読了していたんだけど、Upする時間がなく・・・旅行記も新鮮なウチに挙げたかったので遅れてしまいました

 

 

森功 「黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人」(新潮文庫)

同じ看護学校を出た仲間・友達・同期の四人組の看護婦たちは、一見普通のドコにでもいる平凡な中年女性なのだが、次々と周囲の身近な人々を脅し、騙し、陥れ、遂にはコレ迄学んできた医療知識を駆使して、その手を黒く染めて来ていたッ

ナニが女たちを底にまで貶めたのかはてなマーク 何故そんな冷酷な犯罪を犯したのか??

全ては四人組の特殊で歪な関係性と、主犯である「吉田様」と呼ばれ崇め奉られた和子がいたドクロ

「白衣の天使」の裏の戦慄すべき恐怖の犯罪を描いたドキュメンタリー十字架

 

作者の森は、この様な世間を騒がせ揺るがす事件モノを、綿密な取材により背後に隠れた真実を暴き描き出す作家で、コレまでに幾度がUpしているし、何冊も読んでいる

個人的にこ~した事件ものノンフは大好きなジャンルで、森だけでなく他の作家のも読んでいるが、ココまで恐怖・というか「おぞましさ」を感じたのは、豊田正義の「北九州一家監禁殺人事件」以来・・・

*事実コノ2冊は一度読んだが、二度と読みたくない本ランキングで同率1位となっていて、普段もなるべくに入らない位置に置いている

あッ そ~いえば2つとも同じトコじゃん 福岡ってトコはホンなコツ怖かとこったい・・・(偏見すぎるだろてへぺろ

監禁だとか洗脳などは、ともかく周囲から隔離され、一切の情報や知識などを遮断され、孤立させてから、メインとなる人物が他者を思うまま操るコトから始まるのだが・・・

普通に考えると、逃げ出す方策や洗脳が溶ける瞬間がある・と思うのだが、そ~ならないと今作の様な、トコトンまで行ってしまうと言うのが特徴なのだが、今回では特殊な関係性とはいえ女王様である吉田を含め、看護婦として普通に社会では働いていたにも関わらず・というのが特異で殊更恐怖を感じる点絶望

その辺りについても、作者は丁寧に描いており、ソレがまた更なる恐さを感じる所だガーン

 

 

と言うコトで今回は〆るのだが・・・

最後のコノ曲をせめて置いてくことで少しでも緩和したいと思うウインク

 


同様のタイトル・テーマの作品はたくさんあるが・・・

世代的にも、また曲調や歌詞からも「ホンワカ」したので終わりにしたくって選びました音譜