麻見和史 「時の呪縛 凍結事案(コールドケース)捜査班」(文春文庫)
妻を亡くし、呆然自失に陥り半年の休職を経て元の刑事へと復帰した藤木靖彦だが、当面は閑職である特命捜査班の支援係で事務方を務めていた
しかし藤木が新たに配属されたのは「凍結事案捜査班」という、所謂未解決となってしまった事件を改めて捜査し直す部署であった
はみ出しの掃き出しばかりが集められた5人に与えられたのは、30年も前に青梅市で起きた小学生殺人事件で、当時の容疑者が近隣で目撃されたとの情報が入ったからであった
右耳を切り取られるという猟奇的な事件に、今も悲しみに暮れる被害者家族に同情し共感する刑事・藤木が見出した事件解決へと導く鍵は![]()
警察ミステリに定評がある作者が贈る、ファン待望の書下ろし作![]()
確かにファンとして待っていた新作で、人気次第では新たなシリーズとなるかもしれない書下ろしで出された警察ミステリ
コレ迄の麻見の傾向として、主人公はヒロインであるコトが多かったが、今作では冴えない・しかも妻を喪ったコトによる失意から今も立ち直れないでいる中年刑事
ソコへ個性豊かな係りのメンバーが集まり事件を追う・しかもソノ案件は冷え切った所謂「未解決事件(コールドケース)」ばかりで、即ちソレは過去の警察(官)に失敗を検め直すコトに繋がり、決して歓迎されない部署と言うやりきれない部分がある
が、ソレ故に藤木の心中と被さるし、心に傷を負いながらも徐々に立ち直りを見せ始める彼に、読者側も少しずつシンクロしていくのがナンとも![]()
また、コレも麻見の特徴の1つだが、扱う事件が基本「猟奇的な事件」で、凄惨で残酷なシーンが出てくるのだが、そ~した被害者・現場に残された証拠を根気よく集め観察し読み解いていくのが面白く、そして意外な犯人へと辿り着く経緯と結果もスリリング
文章のリズムも良く読みやすく、個人的にとても好きな作家の一人となっている
・・・が、今回の設定はど~だろうか![]()
「お宮入り」した事件を改めて捜査・しかも組織からあぶれた・放り出された・弾きだされたメンバーが集まって・というのは、昨今の流行りのフォーマットで既に↓の関連でもUpするが既に結構出ていたりする
なので、シリーズ化する・されるのではあれば、今作よりももっと刺激的で魅力的な謎・トリックがないと厳しいかもしれない
何故なら、主人公を始めとしてキャラ設定は、既にあるっちゃある・からネ![]()
今後ど~なるのか続きがあるのかを好きな作家だけに楽しみに待ちたいと思う![]()
佐々木譲 「地層捜査」(文春文庫)
無能なくせにプライドだけはマウンテンなキャリアに歯向かい、謹慎処分を受けた若き刑事の水戸部は、迷宮入りした事件を担当する「特命捜査室」へと飛ばされた![]()
たった独りの専従捜査官となった水戸部は、15年前に四谷荒木町で起きた殺しの再捜査を命じられる
退職した刑事を相棒に孤独な捜査に当たるが、そもそも資料も証言も証拠も満足に揃わなかったのだが・・・徐々に町の底に沈み埋もれた秘密と嘘に近づいていく
事件の裏に隠されてたモノとは一体ッ![]()
町の空気と雰囲気が醸しだされ味わう、余韻馥郁たる警察ミステリのシリーズ
と、↑で書いた様に既にコールドケースを扱う作品は出ていて、コチラの初出は’12で文庫化は’14と、既に10年も前になる
アメリカドラマのまんまのタイトルがアチラでHitしたコトもあるし、現実の
でも’10に法改正により時効が撤廃された
そ~した経緯を受けて、ミステリの世界にもソノ影響が波及されて、幾つかの同系統の作品が産まれている
個人的に読んでいるので思い浮かぶ作品で何本か指が折れたりする![]()
で、今作は佐々木譲だ 直木賞作となった同じ文春での「廃墟に乞う」の後に刊行されていて、シリーズとなっている
佐々木の作品はドチラかというとDryな文体で物語が進行・展開するが、ソノ中にとても叙情的なシーンやモーメントがあり、それ故にドコとなくセンチメンタルな感覚・感傷を味あわせてくれるのが堪らなく![]()
↑の麻見のがシリーズ化されれば、また関連としてコチラの続きもUp出来るのだが・・・
はてさて![]()

