神護かずみ 「ノワールをまとう女」(講談社文庫)

 

元総会屋の原田に拾われた養護院育ちの西澤奈美は、企業の裏工作を担っていた

今回のミッションは大手医薬品メーカーに仕掛けられたデモの鎮圧で、その為に市民団体へ潜入しあらゆる非合法な手段を用いるが、団体は動きを活発化し先鋭化し始める

一方、奈美の恋人である雪江と潜入した団体のミーティングで突発的な出会いをした後に、不可解な死を迎えてしまう

全てを疑い裏を探る奈美が辿り着いた策謀の影と哀しい結末とはッダウン

ハードボイルドなヒロインが暗躍する、令和1号となる第65回江戸川乱歩賞作乙女のトキメキ

 

 

ハードボイルドな世界に身を置かざるを得なかった哀しいヒロインが、企業の裏で蠢く陰謀を鎮めたり、逆に煽ったりする所謂『事件屋稼業』を描いた作品で、令和最初の乱歩賞となった作品

作者の神護は受賞時に58歳で、コレは最高年齢での受賞となっているびっくり

コレがデビュー作ではなく、その前に何作か伝奇系作品を出しいてるサラリーマン作家だった方

定年退職した後に執筆に専念して遂にメジャータイトルを獲得し脚光を浴びたキラキラ

 

奈美の哀しい生い立ちからボスである原田との出会い・同じ養護施設の出身でパートナーであった雪江との生活と悲劇

また今回のターゲットである市民団体のリーダーとの不思議な縁と影・・・

などと複数の糸が絡まり、縺れ合った末に至ったやりきれないEd

と、全くの新人ではないだけに、こんがらがりそうなストーリーを上手くまとめ上げており、受賞も納得の仕上がりとなっているグッ

ハードボイルドな世界だが、派手な大立ち回りやアクションはなく、ヒタヒタとゆっくりと重く暗い波が静かに押し寄せる展開は、『アラシス』さんならではの人生観を感じさせる

後日談が既に出ているらしいが、ソチラも気になるウインク

 

 

桐野夏生 「顔に降りかかる雨」(講談社文庫)

親友のノンフィクションライターである宇佐川燿子が一億もの札束を持って消えたDASH!

持ち主の成瀬はヤクザ上層部との繋がりもある人物で、表裏を駆使し追いかけ始める

親友というコトで疑いの目を向けられた探偵の村野ミロは、協力して捜索に出るが・・・

倒錯した性の世界や東京とベルリンの類似的な退廃的な世界の裏側を覗きながら二転三転する燿子の行方と事件の真相に果たしてミロの決断はッ!?

第39回(H5年)乱歩賞作に輝く、桐野名義でのミステリデビュー作が登場ベル

 

今では女流ミステリ作家としてNo1とも称される桐野夏生のデビュー作で、コノ後の数作続く『女探偵・村野ミロ』シリーズの1st

別名義で既にデビューも果たしているので筆もこなれているし、ナニより多層的なストーリーをハードボイルドなタッチでまとめあげ、魅力的なヒロインの造形も見事なら、脇を固めるキャラも建っている・と文句のつけようのない仕上がり星

展開的には疾走した友人を捜索する・というありふれたモノだが、サスペンスの盛り上げ方やミロが垣間見るコトになる倒錯したSex産業の影や膿・東京とベルリンの都市比較論などといったシーンを挿入するコトにより、も~1段階↑の作品となっている

 

私が購入したのは16刷目(!!)となる3年後で、以後は中古でまず追いかけ、その後は新刊をフォローするようになった「お気に」の一人

そして彼女の活躍はミステリファンなら知らぬ者はいないだろうというくらい

今後も益々の・というトコだキラキラ

今回は同じ乱歩賞作で同じ「ハードボイルドなヒロイン」というコトで桐野をUpしたOK

 

毎年、乱歩賞の文庫は追いかけていて、気に入ったら次のも・という感じなのだが、ココ3年・2作程気付かずスルーしてしまっていたガーン

まぁ~コレ以上「お気に」の「追っかけ」作家が増えてもアレなんだけど・・・

でも新しい作家がミステリの舞台に躍り出るのは嬉しいので、ぶったまげる程の作家・作品に出会いたいモノだニコ