下村敦史 「悲願花」(小学館文庫)

 

地味で冴えない暗めな事務員の幸子は、数少ない友人に誘われ参加した婚活パーティーで最高の相手と出会い付き合う様になるドキドキ

しかし、どうしても最後の一線を超えるのに抵抗があり拒絶してしまう

何故なら、彼女は一家心中を図り両親と妹弟が逝ってしまった事件の生き残りだったからだ

ソノ生い立ちから積極的になれず、交際相手の隆哉との距離も出来てしまう

過去を払拭する為に初めて墓参りをするが、ソコで似たような雰囲気の中年女性・雪絵と出会う

彼女も幸子と同じ心中に末に生き残ってしまったという

幸子は雪絵に母親の姿を投影し関係を築き始めるが、やがて歪んだ復讐心が芽生え始め・・・メラメラ

最後の衝撃の真実が明かされる社会派ドラマ

 

 

先月も堂場ので似たようなテーマの作品があったが、モチロンこちらとは無関係ウインク

だが、共に生き残ってしまった・という自分のせいではないのに強烈なトラウマに悩み翻弄される姿を描いている

今作には、幸子とは逆の心中を図りながらも自らが生き残り、子供たちを殺してしまったという業火の中に身を置く雪絵という女性を出し、心の揺れる様を対比させながら「魂の浄化と再生」をテーマとしている

そして最後の衝撃の告白からの展開が秀逸で、「なるほど」と負わせる伏線も見事に決まっているので、社会派ドラマと書いたがミステリとも捉えられ、ソレは成功しているグッ

 

 

「真実の檻」(角川文庫)

大学生の石黒洋平は母の遺品にある写真を見つけ、そこに写っていた人物が実の父親で死刑囚・赤穂信勝であるコトを知る

彼は20年ほど前に現職の検察官が殺人を犯して死刑判決を受けていた

改めて知った事実に苦悩するが、冤罪である僅かな可能性に賭け、雑誌記者の夏木涼子と再調査を開始するが・・・

人間はいかに堕ちていくのか?

司法の正義と公平は信用足るモノなのか??

そして事件の真相とは!?

様々な問いを投げかけるリーガルサスペンス

 

コチラは以前Upした乱歩賞作の「闇に香る嘘」後に出た作品で、やはりコレも表層の出来事が真実なのか!?を問う作品

そして↑のもそ~だが、下村作品のベースは「真実」についての問うモノで、トーンも暗めとなっている

*まぁ~テーマからして「明るく楽しく音譜」という訳にはいかないしネ

しかし、そのトーンが作品全体のサスペンスを盛り上げるスパイスとなっていて、最後まで惹き付ける大きな要因となっている

決して作品数は多くないが、かといって寡作という訳でもなく、E~具合のペースだと思うし、ソレに見合うだけのクゥオリティがあるので、も~一皮・というか映像化などのヒット作があるとブレイク必至だと思うので、今後も注視していきたい作家の一人アップ