細田昌志 「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝」(講談社文庫・上下)

 

元首相の若槻礼次郎男爵を襲撃した右翼で、その後上海に渡り児玉誉士夫や佐郷屋らの右翼系フィクサーとも関係を築き、戦後に帰国した後は日本一の拳闘士となった野口進を父に持ち、後に興行の世界で暗躍したのが、今回の主役である野口修である

毀誉褒貶が激しい・・・いや、実際には関係者には嫌われているが、ソノ輝かしい実績は今も色褪せてはいないッ合格

俳優志望の一空手家を新たな格闘技・キックボクシング界の星として「沢村忠」を誕生させ、デビューはしていても一向に羽ばたけない歌手を、芸能界のスターとして「五木ひろし」を産み出した

輝かしい功績と裏に蠢く暗躍を、余すトコなく長年の執念の取材で描いたノンフィクション波

 

 

今作は、第43回本田靖春ノンフィクション賞を受賞している著者渾身の1作

主な題材となっている事象や人物のネタは多く表に出ているし、特にタイトル&表紙になっている沢村忠と五木ひろしについては、大いにある時期お茶の間を沸かせた・興奮熱狂させた大スターなので資料も残っているだろうまじかるクラウン

が、ソレらを売り出した・産み出した・作り上げた縁の下のプロモーターである人物のコトは殆ど知られていない秘密

ソレも仕方ない部分があり、特にキックボクシングなどの興行や表舞台は華やかな芸能界の裏では、決して表沙汰には出来ない闇の勢力の関与が不可欠である

増してや、時代は戦前から始まっており、戦後の混乱勃興期には単純な暴力がモノを言っていたので、キレイ事だけでは絶対に片付かないのである

その辺りのキナ臭い舞台裏を包み隠さずに暴き出しており、そのUndergroundな世界が興奮を呼び、非常に興味を覚える

五木ひろしはともかく、≪真空飛び膝蹴り≫の沢村忠については、個人的に時代が少し遅れているのでRealではないのだが、格闘技好きな者としては当然知っている

また今はアーカイブが手軽に見られるので、若い方でも知っている・観たコトがある・という人もいるのではないだろうか!?

他にも、かなり有名著名な人物についてもだし、世間に名は通っていないが実力があった方・裏社会の実力者・有力者の名前がポンポンと飛び出してくるし、ソレが政治経済界~スポーツ界~芸能界の名前や出来事が出てくるので、上下合わせて900Pを超えるVolがあるのだが、ずっと面白く興奮しながら読了してしまったグラサンハート

《はるか遠くに成りにけり》となった昭和の時代を彩どった男の一代記

この1冊は絶対に外せないッグッ

 

 

増田俊也 「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(新潮文庫)

 

実に15年もの長い間不敗を誇り、13年連続で日本一となった柔道家・木村政彦

【鬼の牛島】コト、牛島辰熊に師事し柔道に命懸けで打ち込み、狂気の猛練習の末に遂に念願であった天覧試合を制したのであったが・・・

時代が木村の運命を翻弄した・太平洋戦争の開戦である爆弾

召集され、何とか帰還を果たしたモノの荒廃し焦土と化した祖国に困惑する

やがて興した「プロ柔道」の道・師匠の牛島と袂を分かちプロレス団体を起ち上げ、ハワイ本土を経てブラジルへ遠征を行う

帰国後は元大相撲関取の力道山とコンビを組み、二人は本土復興の希望の星となるッキラキラ

筈だったが・・・

「昭和の巌流島」と呼ばれた力道山との一戦のゴングが鳴ったッドンッ

不世出の柔道家・木村政彦の生涯を徹底的に追った、著者渾身のノンフィクション

 

単行本はH23の刊行で直ぐに話題となり、文庫化されたのはH26の上下合わせて1100Pを超える大Volの作品

大宅壮一ノンフィクション作品と新潮ドキュメント賞をW受賞している拍手

戦前から、ひょっとしたら今も語り継がれる「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」のコノ言葉は、多分きっと間違いなく史上最強の柔道家・柔術家・格闘家だったであろうことの傍証となっているのではないだろうか

↑の表紙の写真は若き日の木村の上半身を映しているが、その見事にビルドアップされたボディは、近年の科学的&様々な進歩した器具&コーチングなどない時代・戦前に撮られていて、身長はないが(172㎝)隆々とした筋肉は命を削った稽古によって身に付いたモノで、死が目の前にある殺伐とした戦前のコトとは言え、驚異的に思えてくるガーン

実際に、今とはルールが違う実践的な柔道の世界で13年日本一の称号は伊達ではなく、名実共に「最強の男」であった

が戦争が・・・復員後は食うや食わず上に妻は結核を患い絶体絶命のピンチに陥ってしまい、旗揚げした「プロ柔道」は惨敗・海外遠征は成功裡に終わったが帰国後待ち受けていたのは力道山というスターであったグラサン

今作では木村の生涯~生死を伴う師匠との猛稽古~悲願の展覧試合制覇~召集・参戦~・・・などを克明に描いており、「昭和の巌流島決戦」コト、力道山との一戦に於ける表裏のアレコレについての取材と著者の考察が描かれている

著者は北大で寝技中心の柔道をやっていて、ソノ頃の想い出を書いた作品などもあり(コミック化もされている)、基本的な立ち位置は<柔道・である

その著者が下した木村政彦の「敗因」が一番の読み処となっている

格闘技好き・世相史好きの方なら絶対にMustな作品なのである 押忍っグー

 

 

と今回は格闘技関連の迫真渾身のノンフィクションを取り上げた

なら最後はコノ2つを置いていかなくてはならぬのだックラッカー

 

 

当時、眼を輝かせてアニメを観ていた方もおられるのでは!?

そのOp

モチロン、この時代時期なので格闘技といえば梶原一騎が絡んでいない訳がないのであるグラサン

 

 

 

「五木ひろし」のデビューであり大ヒット&代名詞的な1曲音譜

翌年には遂に「日本レコード大賞」までをも獲ってしまうキラキラ

ソノ辺りの裏表顛末も詳細に綴られている