※風にとけてった
おまえが残していったものといえば
おそらく、誰も着そうにもない、安い生地のドレスが鞄にひとつと
みんなたぶん一晩で、忘れたいと思うような悪い噂
どこにもおまえを知っていたと口に出せない奴らが流す悪口
みんなおまえを忘れて、忘れようとして幾月流れて
突然なにも知らぬ子供が、ひき出しの裏からなにかをみつける
それはおまえの生まれた、国の金に替えたわずかなあぶく銭
その時、口をきかぬおまえの淋しさが突然私にも聞こえる
エレーン 生きていてもいいですかと誰も問いたい
エレーン その答を誰もが知ってるから誰も問えない
流れて来る噂は、どれもみんな本当のことかもしれない
おまえは、たちの悪い女で
死んでいって良かった奴かもしれない
けれどどんな噂より
けれどおまえのどんなつくり笑いより、
私は
笑わずにいられない、淋しさだけは真実だったと思う
今夜雨は冷たい
行く先もなしに、おまえがいつまでも
灯りの暖かに点った、にぎやかな窓をひとつずつのぞいてる
今夜雨は冷たい
エレーン 生きていてもいいですかと誰も問いたい
エレーン その答を誰もが知ってるから誰も問えない
エレーン 生きていてもいいですかと誰も問いたい
エレーン その答を誰もが知ってるから誰も問えない
(中島みゆき「エレーン」歌詞抜粋)
中島みゆきが住んでいたアパートに住む外国人娼婦のヘレンさんが、ある日、ゴミ袋に入れられて痣だらけで捨てられていた時に作った歌らしい。
私は、安定剤を飲んで狂いながら警察署へ駆け込んだ飯島愛が、
憂き世に宙ぶらりんになったまま、腐敗した姿をようやく発見された彼女が、
この歌詞とダブってならない。
暖かい家庭を必死に探している彼女が見える。
生き甲斐とされ、必要とされる難しさを知りながら、一番願っていたのではないだろうか。
その半面、自分はそこまでの人間じゃないと、自責の念にかられている彼女が浮かぶ。
彼女は、飯島愛は孤独、と気付きながら、飯島愛でいた。
私は、ご冥福を祈る、と言う言葉の意味を少し考えた。