スタバで繰り広げられた「痛いコーチング劇場」
先日、スタバでパソコンを開いて作業していたときのこと。
ふと隣を見ると、30代くらいの女性がノートPCを前にZoomでコーチングをしていました。
「へえ、カフェでコーチングか…。時代だなあ」なんて最初は思っていました。
でも、その数分後、私は心の中でツッコミを止められなくなったのです。
公共の場でコーチングってアリなの?
まず気になったのは、やっぱり場所の問題。
スタバは確かにおしゃれでWi-Fiも電源もあるから仕事には便利です。
でも、そこはれっきとした公共の場。
コーチングって本来「安心して自分のことを話せる守秘性の高い空間」でやるもの。
それなのに、周りに大勢のお客さんがいる場所で、堂々とクライアントとのセッションをしてしまう。
もちろん、Zoom越しだから相手の顔は見えなし声も聞こえない。
でも、コーチの声や内容は周囲に筒抜け。
コーチの声しか聞こえませんが、正直内容は容易に想像つきます。
「え、それクライアントの人は納得してるの? まさか“カフェからでいいですよね〜”なんて言ってないよね?」と心配になりました。
もし自分がクライアントなら、
「いやいや、スタバでやられたら恥ずかしいんですけど!」と即クレームを入れるレベルです。
私も、プライベートな話をする機会があった時に、周りの反応が気になりすぎて本心を話すのに躊躇した記憶があります。
コーチングは“安心できる場”を提供するところから始まる。
だから、この時点ですでにかなりアウト。
社会人としてのマナー以前に、職業倫理としてどうなの?という疑問しか残りません。
コーチが9割以上しゃべる地獄絵図
次に驚いたのは、そのセッションの中身。
耳に入ってくるのは、コーチの声ばかり。
9割どころか、ほぼ100%近くコーチがしゃべりっぱなし。
とにかく次から次へとアドバイス、説教、励まし、自信の経験談話のオンパレード。
Zoomの向こうにいるクライアントは、ほとんど相槌すら打っていないんじゃないか?と思うくらい。
もはやコーチングというより、自己啓発トークショーです。
本来のコーチングって、クライアントが考え、言葉にする時間が9割以上を占めるはず。
なのに、この女性コーチは自分の話で埋め尽くしてしまっている。
その様子を見ながら、私は心の中でこうつぶやきました。
「いやいや、それコーチングじゃなくて“私語り”だろ!」
こういうコーチが人気になる皮肉な現実
ただ、ここでさらに厄介なのは、こういう“しゃべり倒すコーチ”ほど意外と人気が出やすいこと。
なぜか?
人間って、自分の話をじっくり聞いてもらうより、耳障りのいい言葉で励まされる方が気持ちいいからです。
コーチから勢いよく褒められたり、勇気づけられたりすると、「自分は認められている!」と錯覚してしまう。
一時的にはテンションが上がるし、やる気が出た気になる。
でも、それってコーヒーのカフェインと同じで、時間が経つと切れてしまうんです。
つまり、クライアントは一瞬の高揚感を買わされているだけ。
しかも「次もあのコーチの話を聞きたい」と依存心まで生まれる。(ヤバい宗教集団と同じ構造)
結果的に、根本的な変化はゼロ。
むしろ、クライアントを自己満足コーチの信者にしてしまう。
これこそ、コーチング業界の闇のひとつです。
本物のコーチングは真逆
ここで一度、立ち止まって考えてみましょう。
本物のコーチングは、決してコーチが9割話すものではありません。
むしろ真逆で、クライアントの中から答えを引き出すのが本質です。
だから、コーチの役割は「聴くこと」そして「読解」すること!
クライアントの話に対し気になることに対し質問を投げかけたり、相手の言葉を整理したりするだけで、余計な説教やアドバイスは必要ない。
クライアント自身が自分の言葉で考え、気づき、変わっていく。(内省言語の書き換えが本質である)
そこにこそコーチングの力があります。
つまり、コーチは「話す人」ではなく「鏡」。
相手の言葉を映し出し、そこから自分自身を発見させていく存在なんです。
クライアントが本当に欲しいもの
クライアントが本当に求めているのは、
「一時的に気分を上げる言葉」ではありません。
欲しいのは、自分の中にある答えに気づくきっかけ。
そして、その答えを現実に行動へとつなげていくプロセスです。
スタバでの「励ましトーク満載コーチング」は、残念ながらそれを完全にすり替えてしまっています。
クライアントは「なんとなく元気が出た気がする」けど、次の日にはまた同じ壁にぶつかる。
そんな繰り返しでは、本当の変化は起きません。
スタバ劇場からの学び
今回、スタバで隣席のZoomコーチングを目撃して、私は強烈に思いました。
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コーチングは場所選びからすでに試されている。
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コーチがしゃべりすぎる時点で、コーチングの本質を失っている。
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一時的な高揚感ではなく、クライアントの深い気づきを導くことこそが本物の価値。
つまり、コーチングは“自己満足トーク”ではなく“深い傾聴・読解の場”でなければならない、ということです。
スタバで繰り広げられた「痛いコーチング劇場」
それは単なる一コマでしたが、コーチング業界の本質的な課題を象徴しているようにも思えました。
クライアントの未来を変えるのは、コーチのしゃべりではなく、クライアント自身の言葉。
一時的な高揚感に酔うのではなく、自分の中に眠る本当の答えに気づけること。
そのためには、守秘性のある場で、コーチが徹底的に「聴く」ことが大前提です。
さて、あなたならどうでしょう?
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しゃべり倒して自己満足に浸るコーチ
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静かに聴き、あなた自身の言葉を引き出してくれるコーチ
どちらにお金を払いたいですか?