第二段階の路上教習。
時速60キロのスピードに全然慣れない私がいました。
隣の教官が言います。
「道路はあなただけのものじゃないからね。あなた一人しかいないなら、好きなペースで走ってもいいけれど、流れに乗ることを覚えていきましょう。さあ、アクセル踏んで。強いドライバーになってください。」
こわいですーー!
別の教官も言います。
「目の前だけでなく、遠くを見る。どんなカーブなのか。その先はどうなっているのか。すぐ目の前を見ているから、スピードが速く感じるんです。遠くを見て、行きたい場所を見る!そうすれば怖くない!」
もう、禅問答みたいです!
本当にいい言葉だと思うよ!
目の前のことに必死になってるからダメなんだわ。行きたい場所を俯瞰してみなければいけなかったんだわ。
これはもはや人生に対して言われている気がするよ!
そう思い、震えながらハンドルを握る毎日でした。
わたしの体感では、一番心地よいスピードは40キロ台。
40キロ台で走っていれば心に余裕が持てるのですが、60キロに近くなると全く余裕がなくなります。なので、ふと気を抜くとスピードが落ちていて、50分の教習中に10回近く「アクセル踏みましょう」と言われていた気がします。
教官はとにかくすごい。
クルマの音で、「ギアがあってませんよ」と指摘してくれます。マニュアル車のギアチェンジは、耳で覚えるのだそう。
エンジンが「ヴィーーーン!!」と言い始めたら、アクセル離してクラッチ踏んでギアを変えます。そしてまたアクセルを踏んだ時の心地よさが、だんだんわかってきました。
例えるなら、クルマが息継ぎしているみたい。
それをそっと言ってみた時の、隣の教官の得意げな顔 ―「わかってきたな。」って顔― がなんだか結構嬉しかったです。師匠~~!
そりゃあ、仮免前の構内教習で、パニックになってとにかくエンストさせて車を止めようとしていた私を知っているわけですから、ね。その節はほんとうにすみませんでした。
路上に出てからとにかく苦戦していたのは、「減速チェンジ」と呼ばれるギアチェンジです。
加速していくときのギアチェンジは上に書いたように、クルマと相談しながら行けるような気がするんですが、減速するときのギアチェンジにはひどく手こずりました。
赤信号の交差点に近づいているけど、そろそろ信号が青に変わりそう、というタイミングになると、めっちゃ緊張します。減速チェンジがあるからです。
しかも交差点なので、たいてい右折か左折しようとしているため、合図のウインカーも出さないといけなくて、まるで手いっぱいになってしまうのです。
「クラッチ踏みながら曲がらない!!」と怒られるんですが、減速チェンジがスムーズに終わらず、クラッチから足が外せないんですもの……。クラッチを踏みながら曲がってしまうと全くエンジンブレーキが効かないので、つるつる滑るように曲がっていって、怖いのなんの。しかしそれは完全に自分で引き起こしているんです。
ちゃんと、前もって準備をする。準備が終わってから、やる。やりながら調整しない。
これって、普段からレッスンで言われてることそのものなんだな。
第二段階になってからは呪いのノートを書くことは減りましたが、相変わらず、運転することで自覚する自分の考えの癖や性格に、学ぶことばかりでした。
(つづく)
▲赤湯で食べた名物ラーメン、龍上海の「辛味噌ラーメン」美味しかった!!