毎月9日はシアターキューブリックメンバーが同じお題でブログを更新します。
今月のテーマは、『忘れられない地域のお祭り』。
私は横浜で生まれ育ちました。
街は昭和30年代から形になった新興住宅地で、伝統のあるお祭りというものを見たことがほとんどありませんでした。
地域のお祭りは、小学校でやる盆踊り大会とか、マンションの町内会でやるスイカ割りとか花火大会。
おとうさんおかあさんと、こどもが中心のお祭りです。
すこし大人になってから、様々な地域の伝統あるお祭りに行き合って、印象に残っているものもずいぶんあります。
毎年一月十五日におこなわれる、神奈川県の三崎チャッキラコ。
海の安全を祈って、海南神社に奉納される踊り。
女の子が手に持ったチャッキラコを振って掛け声をかけながら踊ります。
三郷の戸ヶ崎香取神社の獅子舞。
獅子舞の保存会はこどもからおじいちゃんまで。
三日間連続でびっしりと埋められる上演スケジュールには驚きます。
そして、墨田区のお神輿。
(写真・山村厳さん)
それぞれの町会でお神輿を持ち、おそろいの半被を持ち、
お祭りとなると道ばたに現れる、地下足袋姿の粋な男たち。
普段はきっと洋服を着て電車に乗ったりパスタを食べたりしているはずなのに、不思議です。
こどものためのお祭り以外にほとんどなじみがなかったので、
神様や、おじいさんおばあさんが登場するお祭りが、今でも不思議でしょうがありません。
ある時、劇団の帰り道に、ふと祭囃子に誘われてふらふらとそちらの方に行ったことがあります。
静かな大通りを一本入った途端に、道いっぱいに盆踊りの櫓が組まれ、たくさんの人が踊っていました。
目にとまったのは、櫓の周りを無心に踊る浴衣のおばあさん。
表情が無心そのもので、踊っていることが自然そのもので、私は、提灯の明かりで浮かび上がるそのおばあさんの顔を眺めながら、なんだか夢を見ているような心地になりました。
お祭りって、夢みたいな時間だな、とぼーっと思いました。
こどもの頃、踊るおばあさんなんて見たことがなかった。
踊りというものは、上手だとかそうでないとか評価されるもので、見せ物だと思っていた。
それが、そのおばあさんの盆踊りを見て、目からうろこが落ちたというか。
時代を飛び越えて、櫓の周りで踊るたくさんの人たちがいたことを突然感じてしまいました。
その人のお母さん、おばあさん、その上もっともっと。
たぶん、お祭りには、目に見える人たちだけじゃなくて、神様も、仏様も、魂も、きっと参加しているんじゃないかと思ったんです。
↓その時の写真、どうしても向きが直らなくて横になってしまっているのですが載せます。
お祭りって、心なんだとしみじみ感じたというのでしょうか。
わたしの忘れられない地域のお祭りでした。
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