ふるさと | 谷口礼子オフィシャルブログ「じゃこのおもしろいこと」


『葡萄酒いろのミストラル』の初日まで、驚くべきことにあと10日!
そんな今日は、朝から昭和歌謡を聞いていました。

『葡萄酒いろのミストラル』は昭和23年が舞台。
時代の雰囲気ってやっぱりあるよねえ、と思いながら、大好きな懐メロのメドレーをどんどん聞いていると……。

これ、すごい、すき!
なんだろう?
と思った曲にぶち当たりました。
それが、、、「千曲川」(五木ひろし)。

ぜんぜん昭和23年じゃなくて、1975年ということは、、、昭和40年ですね。
けれども、メロディーに魅せられた私は、YouTubeで「千曲川」を検索して、めっちゃくちゃループして聞いています。

実は、私のおばあちゃんの家は長野にあって、千曲川のすぐそばなのです。
この曲は、歌詞の中にも長野のたくさんの風景が出てきて、うれしい。
知っている場所のことを歌ってもらうと、こんなにうれしいのですね。

ここからはとても私の感覚の話なのですけれど、私は、川のことを歌う歌と、電車のことを歌う歌のリズムに、何か共通点を感じることが多いです。
そして、そのリズムが、とても好きです。

それはいったい何なのかというと、私にとって、「旅」のリズムなのです。

電車に、それも新幹線ではなく特急くらいの早さの電車に乗って、開いた窓から入ってきた風と線路の音に包まれているときに、遠くで鳴っている音楽。

川が、とまることなく流れ続けていくリズムと、線路を走る電車の車輪の音が同じリズムで弾んでいく感じ。それが、なんだか似ているのかもしれません。

……と、ここまで書いて、この曲は3拍子だということに気づく!
4拍子の曲ですら似ていると思っていることにビビるわたし。
リズムリズムと書いてきたけど、リズムじゃないのかも!

なんなんだ!


と、混乱しながら、でもこの曲を聴き続けています。

『葡萄酒いろのミストラル』は、「ふるさと」がテーマ。
「ふるさと」ってなんでしょう。
私のふるさとは長野ではありません。かといって、生まれ育った横浜かというと、強いて言えばそう、という感じで、なんだかぴったりしっくりきません。
どこかにあるような気がします。
つまり、ないような気もします。
「ふるさと」は、場所なんでしょうか?
それだけとは限らないんじゃないでしょうか。

「ふるさと」を感じる音楽
「ふるさと」を感じるひと
「ふるさと」を感じるにおい

そういうものに出会うとき、みんなとても感動したり、泣いてしまったり、ありがとうといったりします。

それが、どの程度自分の生まれ育った場所や育ったバックグラウンドと関係があるかは、どうでもよくて、なぜか突然なにかとつながって、とても懐かしい感覚になれることで、心をうたれたりするもんなんじゃないかと思うのです。

理屈や説明ではなく、なんだか分からないけれど懐かしくなれる音楽や人の表情というものが、この世にはあって、私はお芝居をやって、そういうものに近くなりたいです。
人の心をうちたいとか大きなことを考えているわけでもないけれど、
自分が子どものころからひきつけられて、ぎゅっと心をつかまれてきたいろいろなことを、解明したいし、願わくばそういうものになりたい。


かわいい、あかるい、たのしそう、げんき
そんなの、くそ食らえ。
まだまだ、やれることがたくさんあるはず。頑張りたいと思います。