雨ニモ負ケズ | 谷口礼子オフィシャルブログ「じゃこのおもしろいこと」

宮沢賢治の古い詩集がうちにあります。

中学生の時に、好きで、書き写していました。


雨ニモ負ケズは、おぼえたなあ。

と思って、こないだ思い出そうとしたら、ほぼ完全な形で暗唱できました。


中学生の暗記力!ビバ!


今読んでも、私、この詩は、やっぱり、好きです。


雨ニモ負ケズ
風ニモ負ケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテイカラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米4合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノ子供アレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニ疲レタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイイトイヒ
北ニケンカヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ


それからね、もう一つ紹介しておこう。

「小岩井農場」という詩の中の一部です。


なんべんさびしくないと云ったとこで
またさびしくなるのはきまってゐる
けれどもここはこれでいいのだ
すべてさびしさと悲傷とを焚いて
ひとは透明な軋道をすすむ


大学に入ってすぐの頃、この部分を好きだといったら、

そんな子には見えないって言われたことがあります。

でも私は昔からそんな子だったのでした!


あとね、これ。「眼にて云ふ」。


だめでせう
とまりませんな
がぶがぶ湧いてゐるですからな
ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから
そこらは青くしんしんとして
どうも間もなく死にさうです
けれどもなんといゝ風でせう
もう清明が近いので
あんなに青ぞらがもりあがって湧くやうに
きれいな風が来るですな
もみぢの嫩芽と毛のやうな花に
秋草のやうな波をたて
焼痕のある藺草のむしろも青いです
あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが
黒いフロックコートを召して
こんなに本気でいろいろ手あてもしていたゞけば
これで死んでもまづは文句もありません
血がでてゐるにかゝはらず
こんなにのんきで苦しくないのは
魂魄なかばからだをはなれたのですかな
たゞどうも血のために
それを云へないがひどいです
あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
わたくしから見えるのは
やっぱりきれいな青ぞらと
すきとほった風ばかりです。



うわー、救いようがないね。

そんなのが好きな中高時代。


もう一度宮沢賢治を読み直してみよう!

と思った夜でした。