一心不乱 | 元祖!ジェイク鈴木回想録

元祖!ジェイク鈴木回想録

私の記憶や記録とともに〝あの頃〟にレイドバックしてみませんか?

 
 表題は、確か小学校6年生の冬休みの宿題だったと思うけど、クラスメイトであり、名門から既に凋落しきっていた(笑)昭和48年度(:1973年度)の坂本5丁目子供会ソフトボール部のチームメイトであり、そして何よりも町内きっての神童に違いなかった〝みちる〟が正月の書き初めに選んで、その小柄な体つきからはおよそ似つかわしくもない、威風堂々とした立派な文字で書いていた言葉である。
書道塾なんぞに通うのが流行ったのは、それもまた確か小学校4年くらいからだった思うんだけど、小学生の分際で5段なんちゅう段位を既に受けていたのはやつだけで、その作品にはそれまで生真面目に積み重ねてきた修練は元より、何よりも一心不乱なんちゅう言葉そのものが見事に表現されていた。

 だいたい先ず、ごくごく一般的な小学生がすぐに思い付く言葉じゃないだろ?
かと云って、とてつもなく難し過ぎるわけでもなく、しかも4月には中学に進学する新年の心構えとして、こんな言葉を呈示できるセンスがまた、まさしく神童だろ?
 バック・スクリーンに叩き込まれた感じだったね・・、まじで。

「さすが、みちるくん!」

 作品そのものは観ていないはずなのに、母親同士は2009年の現在でも近所で鉢合わせているうちの母親などは、私の報告だけでも先ず単純に大絶賛していたものだった。

 みちるの父親と私の父親もまた同じ旧坂本小学校の同級生同士であり、お互いの母親同士・・、否、連れ合い同士はそのライバル関係(?)が子の代にも及ぶものと腹の底で思っていた・・、うんにゃ、いまでも思っているのかも知れん・・、ご苦労なこったい!(笑)
何たって近所なんだからねえ・・、スーパー・マーケットやら肉屋やら魚屋やら八百屋にてお互いの腹の底を探り合い・・、うんにゃ、お互いの情報を交換し合って、それこそ一心不乱に私たちは育てられていたっちゅうこっちゃ!
やつの環境は特に中学に入ってから、やつの弁当箱の中身から充分に窺われていたもんだったよ。
何たって、母親同士が同じスーパー・マーケットやら肉屋やら魚屋やら八百屋やらに通っていたんだから、もちろん、うちもそれに違わずだったんだけど・・。

「みちるくん(:当時は未だこんな呼び名ではなかったが。笑)は、一度云いだしたら絶対に利かないんだって!」

 なんちゅう話しばっかしを始終耳に入れられていれば、そんなもん愉快でもタノシーはずもなく、また当然「そうか!おれだって!」なんちゅうガッツやら気合いやら負けん気やらを発揮できるような単純居士でもないんだからね・・、あ、いまでも、私は。(笑)
そんな話しもまた、ただただ鬱陶しいだけでしかなく、小学校5年生になって直接本人と知り合う以前は「そんなやつと関わり合うのはめんどーくせーなあ。」くらいにしか思っていなかったものだった。

 しかし、男の子同士を焚き付けるような母親同士の教育合戦・・、うんにゃ、見栄の張り合いも時には功を奏す場合もあるのかも知れん・・。

「うちの子はひと見知りをするので、ジェイクくん(:もちろん、当時は未だこんな呼び名でもなかったが。笑)と同じクラスになれてよかったわ・・。」

 これは5年生に進級したころに、これもやっぱし近所のスーパー・マーケットだか肉屋だか魚屋だか八百屋だかで、やつの母親と鉢合わせたうちの母親が仕入れてきた情報なんだけど、おいおい・・、みちると私はそれまで確かに名門!坂本5丁目子供会ソフトボール部で一緒だったことは一緒だったけど、やつは何たってレギュラー3塁手で、こちらは補欠の下のおけつだったんだから、知り合いどころか、ほとんど口をきいたことさえないんだぞ・・?
 ところが、この情報を傍らで訊いていた小学校の教師生活40年の父親が、

「ひと見知りはわるいことじゃなく、むしろ人見知りをする子には注意深い子が多い。」

 っちゅうのを訊いて、「そうか!みちるは注意深いのか!」と思い、それから5年間・・、やつからはその注意深さを大いに学ばせて頂いていたことは確かなのだ。

 その高性能な脳細胞を活発に働かせているときに、やつはその細い目をパチパチパチパチさせるクセがあって、特に何か急激におもしろいことを思い付いて興奮しているときや、或いは焦っているときなどにその速さや勢いがmax.に達するんだけど、基本的にはどんなときでも冷静な判断ができる慎重居士であることもまた神童の神童たる所以なのだろう。
 その注意深いはずの神童の、まさに一生の不覚が、

「おれのことはこれからドーサンと呼んでくれーい。」

 なんだってば。(笑)

※参照:「I・その2」http://ameblo.jp/jake-suzuki/entry-10405287934.htmlの後半以降
※文中敬称略