I・その1 | 元祖!ジェイク鈴木回想録

元祖!ジェイク鈴木回想録

私の記憶や記録とともに〝あの頃〟にレイドバックしてみませんか?

 
 Iについて癪に触るのは、母親も小中学校のクラスメイトたちも本当のやつを知らず、やつが考案して喜んでいたギャグっちゅうよりも愚行の数々の責任が全部、私に押し付けられていることだ!
 やつが真面目で大人しいやつだと?、ふざけんなよ!?(笑)

 まだ見知らぬやつを初めて見掛けたのは、やつはW幼稚園に、私はM幼稚園にそれぞれ通っていた頃で、その雨の日に私はほとんどおもちゃに近いカサをさして、2つ歳下の妹を引き連れて自宅近辺を散策していた最中だった。
やつの家の前を通ると、玄関の軒下に突っ立っていたやつが、ただ不思議そうな面持ちでこちらをじっと眺めていた。
そのときのことを後年になってから、本人に問い質してみたところ「おもちゃのカサなんかさして、よく歩けるな、って思っていたんだよ。」
 そうか・・、やっぱしやつは常識人で、やっぱし私が非常識人なのか。

 私のほうは、その見知らぬツラが母親方の同イ歳の従兄弟の尚ちゃんに似ているなと思っていたんだけど、その後まもなく、どうしてそう思えたのか分からなくなった。
親しければ気にもならず、遠ければこそ観えていた部分なのか。
ちなみにいまでもTVで上戸 彩を見掛けると、やつのツラを想い出す・・、と、先日お会いした中学時代の面々に話してみたところ「解らないこともない。」っちゅうご賛同を多々頂戴した。
 初めて上戸 彩を観たときには、やつの娘かと思っていたくらいだからな。

 小学校に入学すると同じクラスにやつがいた
その後、同級生だったのは小2、小4、それに中3と、9年間の小中学校生活のうちの4年間と、実は半分以上は違うクラスだったのに、そんなことは大した問題ではなく、彼こそ中学を卒業するまでもっとも親しくさせて頂いた友だちの筆頭格だ。

 ただし!すげーセイカクの持ち主だった。

 そして、そのすげーセイカクはどうやら私といるときにばっかし発揮する、実にいやあ~な裏表野郎で、それが現在の私の癪や、母親やほかの皆んなの誤解のタネになっているのだ。
反対に云えば、やつにとっての私はその本領を思う存分発揮できる、やや特別な存在だったのかも知れないけど、メーワクな話しだぜ!(笑)

 その初期・・、小学校1、2年生のころはやっぱし同級だったHを含めた3人体制だった。
Hはやつの家のすぐ前に住んでいて、やつとはW幼稚園から一緒だったから、やつらの中に私が新たに加わった感じで、3人で登校した記憶はないけど、3人で下校していた記憶なら多少ある。

 そのころ、やつが率先して好んでいた遊びは何と!〝仲間外れ〟。(笑)
それは云う迄もなく、3人の中でだれかひとりだけが仲間外れになるネタをわざわざ探して笑いものにする、っちゅう実に陰湿で差別的でしかない遊びだ。
 例えば、やつの順番だとすると・・、

「Hは何幼稚園だった?」
「ん?おれはW幼稚園だったよ、一緒だったじゃんかよー。」
「おまえ(:私)は?」
「おれはM幼稚園。」
「んじゃあ、おれはW幼稚園だから、おまえ(:私)だけ仲間外れ!いーっひっひっひっひっひっ!!!」

 と、両手拳銃射撃のような独特の指の差しかたをしながら憎々し気に笑う。
ちなみにこの「いーっひっひっひっひっひっ!!!」のものまねは私の妹もできるから、彼女はI=くだらねーやつの貴重な証人・・、っちゅうよりもかつての被害者のひとりだったような気もする。(笑)
通学距離は3人の中でもっとも短かった私でさえ1.4km、やつらは1.8kmくらいあったから、その膨大な時間にこんな暗い遊びを延々と続けていたのだ・・、ほんとだよっ!
仲間外れの標的はまあだいたいが新参者の私だったけど、Hは生まれつき足の骨が弱くて、度々骨折しては欠席していたため、ふたりだけでその遊びが成立しなくなると「Hの悪口大会をやろうぜ!?おもしろいことを云ったほうが勝ち!!!」(笑)

 こんなやつとほとんど9年近く毎朝毎夕登下校を共にしていたんだからねえ・・、1970年代の終わりに所 ジョージ、1980年代の初頭にビートたけしが現れたとしても、私には刺激的でも何でもなかったばかりか、あの程度で笑えるひとたちのそれまでの交友関係の貧しさや不運をいまでも憐れに思っているよ。

 やつがもっとも好んでいたのは〝けつ〟だった。

 本人の名誉のためにいちおう断っておくけど、それはモーホー的なそれでは決してなく・・、っちゅうよりも、そのほうがまだマシだったっちゅうかまだ自然だったっちゅうか、やつの興味や嗜好はあくまでも他人に屈辱感を与えるための〝けつ〟だったのだ。
変態は変態でも完璧にサディスト。(笑)
 例えば、やつに消しゴムを貸してくれないか?などと頼むと、

「貸してやるから、けつ見せろ。」

 私は一度も応じたことがなく、また、そんな要求に応じるやつも滅多にいなかったものの、たまたま応じたやつがいると、その喜びようは凄まじいものだった。
やつはまず絶対に泣かなかったのに、ひとのけつを見ると泣きながら笑い転げる。
 驚喜乱舞っちゅうのはまさにああいうサマを指すのだろうけど。

 それ故に、特に同じ坂本小学校出身者に於けるやつの通称は〝けつのI〟。
Iなんちゅう苗字はそう珍しくもなく、同姓の女の子と区別するために皆んなはやつの苗字に〝けつの〟を付けて呼び、それは何と!現在でも有効だったりするのだ。(笑)


 つづくぅ!!!

※初出:2005年11月27日「某Iくん」より改ざん
※文中敬称略