エイリアン ラヴ シークレッツ / スティーブ・ヴァイ | jakeのブログ 

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夫・父親・会社員・社労士有資格者・アマチュアミュージシャン・・・

いろんなキャラをこなしながら日々思ったこと・感じたことなんかを書いてみます。

マイ・フェイバリット・ギタリストの一人、スティーブ・ヴァイの作品群で一番好きなのが、こちら。

1995年にリリースされたミニ・アルバム「エイリアン・ラブ・シークレッツ」ちなみに今は再生できないので手放しましたが、当時はビデオ・テープ作品(!)もリリースされており、そちらも買いましたね。

 

“ミニ”アルバムなので、収録曲は8曲(日本版ボーナストラックを含む)

ヴォーカル・プロジェクト『VAI』としての活動終了後、インストをメインにしたソロ・アルバム制作(「ファイヤー・ガーデン」)に着手したものの予定よりも大幅に遅れたため、ファン・サービス的に急遽制作&リリースされたのが、本作と言われています。

 

ここからは恒例(?)、jake Mizutaniの独断と偏見に満ちた収録曲の印象を、徒然なるまま書いてみます。

 

①BAD HORSIE

彼が悪魔のギタリスト・ジャック・バトラーとして出演している映画「クロス・ロード」で演奏しているリフを発展させて作った曲と言われています。ちなみに楽曲のモチーフは馬と機関車。この組合せが出てくるこちとからして既に理解を超えた天才って感じですね(笑)

イントロで登場するへヴィーなサウンドから、もう1つのシグネイチャーモデルである7弦ギター“ユニバース”を使用していそうですが(リリース当時そう表現しているレビューもあった…)、実際にはノーマルな6弦ギターのチューニングを全音下げ+6弦のみ更にもう1音下げた(つまり6弦=Cになります)状態で演奏しているようです。

このチューニング、自身のJEMでも試してみましたがへヴィ・サウンドの代償として各弦のテンションが損なわれるため、とてもコントロールし辛かった印象があります。(ちなみにヴァイ自身はテンションを稼ぐため、この曲を演奏するギターは通常の弦より太めのものを張り、またスライド・バーで演奏しやすいよう弦高も高めにセッティングしているそうです)

 

 

更なる余談で、彼のシグネイチャー・ワウの名前もBAD HORSIEです。

僕の所有モデルは限定品なので「LIBERTY WAH」というサブ・ネームもついてますが。

 

②Juice

ブギー・スタイルのストレートなロック曲。当時のインタビューでG3で共演したエリック・ジョンソンや師匠でもあるジョー・サトリアーニの影響を受けている…なんてのを読んだ記憶があるのですが、僕には…いつものヴァイじゃんって感じ…(笑)

中間のソロで出てくる速弾きや大胆なアーム・プレイといったいかにもヴァイらしい派手なテクニックもすごいのですが、メイン・テーマで聴けるハンマリングやスライドといった基本テクニックの確実性や音のクリアさもずば抜けており、「やっぱ上手な人って基本からして凄いんだよなぁ…」なんて当たり前のことを再認識した1曲でもあります。

 

③Die To Live

イントロのコード弾き+オクターブ上のタッピングによるサウンドと、コードとメロディーを同時に奏でる奏法による幻想的な雰囲気が漂う1曲で、このアルバムの中でも異彩を放っている感があります。

ハイライトは中盤で出てくる複雑なコード進行に合わせたソロ!これまたなんとも幻想的で美しく、何度聞いても惚れ惚れする名演奏だと思います。

 

④The Boy From Seattle

本人曰く敬愛するギタリスト、ジミ・ヘンドリックスへのトリビュート曲。

ヴァイと言えば、ディマジオのエボリューション・ピック・アップに代表されるハム・バッカーを使用したパワフルかつワイルドなドライブ・サウンドのイメージが強いのですが、この曲ではジミ・ヘンに習って歯切れの良いシングル・コイル・ピックアップを使用した歯切れの良いクランチ・サウンドによる演奏を披露しているのがポイント。

そうは言いながらも中盤ではリバース・ディレイを使用したトリッキーなパートが飛び出てくるあたり、やはりこの人、一筋縄ではいかないなって感じではあります。

 

⑤Ya-Yo-Gakk

息子さんの幼少期の謎の口癖「Ya-Yo-Gakk」をサンプリングし音程調整して1曲作った…という親バカソング(笑)。一生懸命息子さんのしゃべりを録音しようとしているヴァイの姿を思い浮かべると…ちょっと笑えますね。ちなみにこの音程調整、時間もお金もすごくかかったんだそうです。邦題は「愛しのばぶ・ばぶ・ファイヤー」…う~ん…もう少し、なんとかならなかったんかいな…というネーミングです。

そんな親バカソングですが、息子さんの微妙なピッチ変動にギターで追従できるのは超人的音感と柔軟かつハイ・レベルな演奏センスをあわせ持つ彼だからこそできる芸当だと思います。

 

⑥Kill The Gut With The Ball/The God Eaters

邦題は殺戮の舞踏会というおどろおどろしい邦題が付いていますが、こういうゲームがあるらしいです。「Ya-Yo-Gakk」なんてほのぼの親子共演してる人と同一人物だと思えないくらいの、本作中もっとも激しく過激で攻撃的な1曲。

冒頭で出てくる人の声のようなサウンドは、ワウやワーミー・ペダル、ハーモナイザーといったエフェクターを駆使したギターによるもの。当時のレビューに「この人に、これ以上新しいオモチャを与えてはいけないッ!」なんて書いていた人がいたような記憶があるのですが、常人では思いつかない発想を次から次へと繰り出してくる発想にはホント脱帽です…。

ちなみに、本作の映像版では「Bad Horsie」と「Kill The Gut With The Ball/The God Eaters」の2曲を、アルバム・ジャケット同様に全身を銀色に塗った姿で(しかもバンド・メンバー全員)演奏しており「撮影も後片付けも、ものすっごく大変だったんだろうなぁ…」なんて思いながら見ていました(笑)

 

⑦Tender Surrender

「アルバムの7曲目はバラードの指定席!」という彼のこだわりはミニ・アルバムでも健在。これはもう…スンバらしく切な美しいバラード曲です。個人的に7曲目シリーズの中では一番好き!

指弾きとピッキングの使い分けや、ピック・アップとギター本体のボリュームコントロールの組み合わせによる音質のコントロール・センス、基本的なテクニックの安定感に、ここぞ!というところでカマしてくるお得意のワウ&高速フレーズに、泣きのヴィブラート…。ギタリストならこの曲のどこを切り取っても感化されること必至の名曲!

まがりなりにも私もJEMの使い手。いつかこんなふうに弾けたら…と思いウン十年、今だ足元にも及びませぬ…(泣)

 

⑧SAN-SAN-NANA-BYOUSHI

こちらは日本版ボーナストラック。日本の応援でおなじみの「三・三・七拍子」を取り入れた楽曲で、日本をライブツアーでまわったときに、この手拍子のリズムに興味を持ったのだとか。

ここまでストレートに「三・三・七拍子」されちゃうと、ちょっと気恥ずかしくなるのですが(笑)、途中のギター・プレイとハンド・クラップによるリズム遊びのような、彼のライブでもおなじみの演出に、ニヤリとさせられます。

 

「エイリアン・ラヴ・シークレッツ」は冒頭に書いたような経緯で制作されたこともあって、スティーブ・ヴァイの真骨頂ともいえるギター・オーケストレーション・アレンジ(=ギター・パートのオーバーダビング)が少ないこともあり、サウンド面での華美さは控えめですが、それゆえに彼のギタリストとしての凄さが、よりストレートに伝わってくる名盤だと思います。