本日は、読み終えた1冊から。今月はホームズ・パスティーシュ作品読破強化月間です(笑)。
田中啓文『力士探偵シャーロック山』。こちらも刊行された昨年10月に書店で見つけて購入しているのですが、半年以上寝かせてしまいました。
「相撲」×「シャーロック・ホームズ」なんて発想をよく思いついたなぁ…と感心したのですが、著者のあとがきにあった物語誕生の経緯は「思いつき」というやや脱力感のあるものでした(笑)。
そんな「思いつき」から生まれたとされる全4編の物語は…
①薄毛連盟
②まだらのまわし
③バスターミナル池の犬
④最後の事件
と、いずれもドイルによるホームズ物語の中でも超有名どころのタイトルを 茶化した 踏襲したもの(④に至っては、そのまま)。
更に登場人物達も、主人公となるホームズかぶれの力士が斜麓山(しゃろくやま)、彼によりワトソン役を強要されるハメになった付き人が輪斗山(わとさん)、彼らが所属する相撲部屋の親方の名前が銅煎(どういる)で、その現役時代の四股名は虎南(こなん)。
…とまぁ、「どんだけ原作をイジりゃ気が済むんだッ!」という感もありますし、「フィクションとはいえやりすぎだろ…」なんてハチャメチャなシーンも多かったりするのですが(苦笑)、その根底にドイル作によるホームズ物語への敬意や愛情があるため、怒りやら呆れやらを通り越して…大笑いしながら読んでしまいました。
振り切ったハチャメチャさゆえの面白さと、根底にあるホームズ愛を感じる、楽しいパスティーシュ作品だと思います。
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力士探偵シャーロック山 (実業之日本社文庫)
780円
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ちなみに、輪斗山(わとさん)と、いい感じになる女性の名前も芽阿利(めあり)さん。また、ホームズの宿敵・モリアーティの名前も、変則的な手法ながらも登場するなど、主要人物をしっかりフォローしてるところも好印象。どうせここまでやるなら…ハドソンさんも出してほしかったな(笑)。