ミスター・ホームズ 名探偵最後の事件 / ミッチ・カリン | jakeのブログ 

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いろんなキャラをこなしながら日々思ったこと・感じたことなんかを書いてみます。

先日読み終えた1冊です。



ミッチ・カリン:著 『 ミスター・ホームズ~名探偵 最後の事件~ 』.

本作に登場するホームズは、93歳。探偵業を引退し、隠居先であるサセックスの地で養蜂(とミツバチの生態研究)と執筆を手がける静かな日々を送る彼の身に…。とまあ、思わせぶりに書くと、そんな感じですか(^^;)。

シャーロック・ホームズと言えども、やはり人間。寄る年波には勝てず、体力が低下して移動にはステッキが欠かせないし、かつての驚異的な記憶力も落ち、つい数分前のことすら思い出せないときがある一方で、あの推理力や観察眼は健在。そんな、自身に発生しているギャップに、イラだつこともしばしば。

ホームズの年齢設定やそれによる“衰え”のため活発さとは無縁だし、本作で発生する事件もセンセーショナルなものでは、ない。

それゆえに、最初は『静かで地味な作品』という印象を受けたのですが
、この『静かで地味』という印象がやがて『厳かさ』に変化し、物語の世界にぐいぐいと引き込まる…。

常人が経験しないであろう人生を歩み、様々な人間の“光と影”を見てきた人間ゆえの苦悩、
あるいは経験や年齢を重ねた“老ホームズ”だからこそ辿りついた境地が非常に丁寧に描かれていて、心にじわじわ~っと染みてくる素晴らしい作品でした。

物語の味わい深さを感じると同時に、自分が老いたときのことも考えさせられてしまいました。(いくらなんでも、早いかもしれませんが…^^;)


映画化されて日本では来年2016年に公開されるとのこと。こりゃ、ハンカチ用意して観にいかなきゃね(^^;)。

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