青紀ひかりさんの1stアルバム『Indigo』。
アマゾンのレビューで、今まで聴いてきた『Ice House Street』『Bond Street』とは方向性がかなり違っているため、特に最近のアルバムで彼女のヴォーカルを知った人には賛否両論らしい…ということを承知の上で購入しました。
“声”が若干若いかなぁ…という印象はありますが(今から10年前の作品なので当然)、特徴的なウィスパー・ヴォイス、力まないふんわりとした艶やかな歌い方といったスタイルは、デビューの時点でほぼ完成しており、今と極端な違いは感じませんでした。
一方で決定的に違うのがバックのサウンド。いわゆる“打ち込み”を多用しており、かつアレンジやギター・キーボード・サックスといったウワモノ楽器をフュージョン・バンドの雄“ディメンジョン”のメンバーがサポートしているため、かなりデジタルかつテクニカルなクラブ系ミュージックという印象。
こういうアレンジやサウンドは当時の流行・時代性による部分もあるでしょうけど、比較的安定した高い評価を見受けることが多い彼女の作品群の中で、このアルバムだけが賛否両論真っ二つになっているのは、彼女の囁くような有機的な声とデジタル&テクニカル…誤解を恐れず言えばやや無機質なバックのサウンドとの親和性にあるのかな…なんて思いました。
結果的に時代を遡って聴いている僕にとっては、こういうデジタルなサウンドをバックに歌うスタイルがかえって新鮮で「こういうスタイルも、アリだな。面白いな。」なんて感じたのですが、その一方で、微妙という判定をした方の気持ちもわかるかな…。
もし仮にリリースされた当時この作品を聴いていたら、「格好いいな。歌上手だな。」とは思っても、ここまで彼女にハマって作品を購入し続けるようなことは、しなかったかもしれない。
もっとも僕の場合、そもそもが彼女のヴォーカルじゃなくサポート・メンバー(ギターを担当している天野清継さん)への興味という不純な動機で購入したヤツですから、高慢にもこんな風にその作品群やアレンジの変遷を語ったり、分析したりできるような立場じゃないんですけどね…(^^;)。
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